ドイツの効率に屈したポルトガル=ドイツ 1−0 ポルトガル
優勝候補筆頭のドイツはやはり強い
数少ない決定機をゴールに結びつけたゴメス。勝負を分けたのはこのストライカーの存在だった 【Getty Images】
特筆すべきはGKノイアーを中心とする守備陣。実は、枠をとらえたシュート数ではドイツよりポルトガルの方が多かったのだが(ドイツが4本だったのに対し、ポルトガルは7本)、常に体を張ったドイツ守備陣は最後までゴールを許さなかった。GKがノイアーでなかったら、C・ロナウドのミドルシュート(82分)も、バレラのシュート(87分)も得点になっていたかもしれない。
攻撃面ではメスト・エジルがチームの頭脳として躍動。パスコースの選択にもさえを見せ、ベローゾとの競り合いでも優位に立っていた。レアル・マドリーのチームメイト、ケディラのポジショニングも的確で、きちんと攻守のバランスを取っていた。ゴメスのゴールはケディラのクロスから生まれたことは忘れてはなるまい。また、バスティアン・シュバインシュタイガーの出足の良い動きはポルトガルにとって脅威となっていた。
そして、何よりも決勝点を決めたゴメス。ポルトガルにはいない上背とフィジカルの強さを誇るストライカーは数少ないゴールチャンスを効率よく生かし、英雄となった。ポルトガルにこういう選手がいれば……と思わせるゴールであった。
ポルトガルは生き残れるのか?
初戦を落としたポルトガルは次の第2戦で、2010年W杯・南アフリカ大会の欧州予選でも、今回のユーロ予選でも、ポルトガルをプレーオフへと追いやったデンマークを相手に何が何でも勝利する必要に迫られた。しかも、デンマーク戦の後には、やはり初戦を落としたオランダとの戦いが控えている。まさにがけっぷちである。
試合後のC・ロナウドは、「2004年大会でもポルトガルは初戦を落とし、そのあと盛り返して決勝まで勝ち上がった」と強気なところを見せてはいるが、祖国を遠く離れた国での大会で、地元開催の時と同じことができるだろうか。救いはそのC・ロナウドの調子が決して悪いわけではないこと。だが、もし選手たちが必要以上に戦術に縛られ、いつものポルトガルらしい大胆さを欠いたままプレーするならば、ポルトガル代表の前に一気に立ち込め始めた暗雲を消し去ることはできないだろう。
<了>