“男の友情”によって実現する工藤公康の花道=4月7日 西武ドームで最後の勇姿

中島大輔

ストイックに体質改善に取り組んだ工藤

2010年には監督と選手としてシーズンを戦った 【写真は共同】

 工藤が誰よりも長くプレーすることができたのは、88年オフの結婚を期に、体質改善を行ったことが大きかった。渡辺が言う。
「工藤さんは結婚してから、いろんなことに関してストイックになっていった。すごく野球に対してマジメというか。別に、俺が不マジメというわけではないんだけどね(笑)。工藤さんはよりストイックになっていった」

 10年、渡辺は監督として工藤を起用する立場になり、選手としての“化け物”っぷりが一層目についた。
「工藤さんは酒もタバコもやるし、コーヒーもすごく飲む。いろんな節制をしながら長く現役を続けたなら分かるけど、そうではない。29年も現役でできたのは、すごくいろんな勉強をしていたからだろうね」

工藤、秋山、渡辺が登場 ファンにとって待望のセレモニー

 来る4月7日、工藤は2年ぶりに西武ドームのマウンドに立つ。ソフトバンク戦で始球式を行い、セレモニーが予定されているのだ。捕手を務めるのは渡辺で、打席に入るのは西武時代のチームメートで、現在はソフトバンクを率いる秋山幸二。黄金時代を知るファンにとって待望のセレモニーは、渡辺の強い意向で実施されることになった。

「工藤さんは西武に貢献してくださった人だし、そういうチャンスがあればいいなと思った。ひとつのプロ野球界の歴史が終わったので、けじめとして、最後の勇姿という形でマウンドに立ってほしい。心待ちにしているファンも多いと思う。かける言葉? 俺は引退試合のセレモニーをやったことがないから、『どんな感じでした?』って聞こうかな(笑)」

 盟友の工藤が立つ、最後の西武ドームのマウンド。捕手を務める渡辺は、その勇姿を目に焼き付けるつもりだ。

<了>

2/2ページ

著者プロフィール

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。05年夏、セルティックの中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『プロ野球 FA宣言の闇』。2013年から中南米野球の取材を行い、2017年に上梓した『中南米野球はなぜ強いのか』(ともに亜紀書房)がミズノスポーツライター賞の優秀賞。その他の著書に『野球消滅』(新潮新書)と『人を育てる名監督の教え』(双葉社)がある。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント