奈苗“女子プロ頂上戦”制す、ゆずポン組はタッグ王座初防衛=スターダム

スポーツナビ

高橋奈苗が宿敵・里村を破り、女子プロレス頂上戦を制す! 【前島康人】

 女子プロレス団体スターダムの後楽園ホール大会「STARDOM THE HIGHEST2012」が20日に行われ、満員となる1320人の観衆を集めた。

 メーンイベントではワールド・オブ・スターダム選手権として王者・高橋奈苗と、仙台女子プロレスの里村明衣子が激突。23分20秒にわたる激闘の末、奈苗がワンセコンドEXからの片エビ固めで里村に勝利し、2度目の防衛に成功した。

『ベルトの価値』論争で、試合前から火花

ベルト論争で試合前から激しく火花を散らした 【前島康人】

 全日本女子プロレスのWWWA世界シングル最後の王者・高橋奈苗、GAEAジャパンのエースで“長与千種の後継者”とも呼ばれた里村明衣子。ともに育てられた団体はなくなったが、現在の女子プロレス界において“2大横綱”として、業界を引っ張る存在となった2人。互いが意識する存在でありながら、これまでにシングルマッチで交わったことは1度しかなく、それも時間切れ引き分けに終わっている。(この時は仙台女子主催の『戦場トーナメント』で戦ったため、体重差判定で里村の勝利となっている)
 その後は、昨年10月の女子プロレス団体対抗戦『FLASHトーナメント』決勝で対峙したが、結果はパートナーの花月が世IV虎を仕留め、2人の間で決着はつかず。そして今年1月のブル中野引退興行『女帝』では、元アイスリボン代表のさくらえみとともに同じコーナーに立ったが、そこで生まれたのは、お互い『シングルで戦うべき相手』という強い思い。そこから、2010年以来のシングルマッチをスターダムのリングで行うことが決定し、今回のタイトルマッチとなった。

 ただ、この対戦を発表した1月10日の会見で勃発したのが『ベルトの価値』論争。自分が保持するベルトに新しい歴史を作り出し、価値を高めていきたいとする奈苗に対し、「今の女子プロレスにあるベルトは単なるお飾り」と言い切り、タイトルマッチに疑問を呈した里村。「ベルトの価値」に対する意見が真っ向から衝突し、戦う前から激しい火花が散っていた。

壮絶なしばき合い 最後は奈苗の意地の一撃で仕留める

必殺のワンセコンドEXでついに撃破! 【前島康人】

 試合のゴングが鳴ると、会場は奈苗コール一色。しかし、そんな雰囲気にも動じない里村は奈苗とにらみ合うと、激しいビンタとエルボーの応酬に。1発1発に気迫のこもった打撃が入り、ともにおさまることなくつかみ合いになり、ロープ際までもつれる。そこへ特別レフェリーを務める和田京平が強引に間に入り、いったん2人を沈めた。
 序盤から、感情むき出しの攻防が続き、里村が強引にジャーマンスープレックスで投げると、奈苗は顔面へナックルパンチ。これで口を切って流血が見られた里村だが、ひるむことなくトップロープに上った奈苗にオーバーヘッドキック、そして顔面キックと容赦ない蹴りを見舞った。

 試合時間が5分を過ぎると、レスリング的な展開が増える。バックを取りあい一方がスリーパーを掛けると、負けじとスリーパーで応戦し体力を奪いにかかる。一度エルボーやビンタが入ると、再び打撃系の技を繰り出し激しく感情がぶつかり合う。そして場外に落ちた里村に奈苗がトペ・スイシーダを敢行すれば、里村は奈苗とのエプロンサイドの攻防に勝ち、場外マットへ投げ捨てる。さらに里村の雪崩式ブレーンバスターやデスバレーボム、奈苗のバックドロップ、延髄蹴りなど大技も飛びだし、いつどちらが倒れてもおかしくない状態が続いた。
 しかしお互いの意地が3カウントをたたかせることを許さず、時計は20分を経過。再び、スリーパーで奈苗の意識を落としにかかった里村だったが、いったんブレークした後のオーバーヘッドキックをよけられ、そのすきをついた奈苗にナナラッカでたたきつけられる。腕ひしぎ逆十字固めで形勢を逆転しかけた里村だったが、奈苗がラリアットから再びナナラッカを成功させ、冷蔵庫爆弾(ダイビングボディープレス)を敢行。これを里村がカウント1で返すと、再び里村の体を持ち上げ、必殺技のワンセコンドEX(腕を極めた状態で、そのままエメラルド・フロウジョンのようにたたきつける技)を完ぺきに決めると、里村は返すことができず、ついに決着がついた。

松本と世IV虎が挑戦表明。奈苗「私は逃げない!」

立会人のブル中野さん(左)からも祝福された奈苗はさらに“女子プロ最強”をばく進していくことを誓った 【前島康人】

 試合後にマイクを持つと、「赤いベルトのチャンピオンは高橋奈苗だ。今の試合で、このベルトに価値がないとは言えないだろ?」と改めて、自分が保持する『ベルトの価値』を高らかに宣言した。そして、この試合の立会人となったブル中野さんから手渡されたベルトに「重みが増しました。これからは今まで以上に情熱と信念を持って戦っていきます」と、さらに“女子プロレス最強”を証明すべく、防衛ロードをばく進していくことを誓った。

 また、奈苗のマイクアピールの途中に、松本浩代と世IV虎がリングに登場。ベルトへの挑戦を表明すると、奈苗はその場では結論をはぐらかし、どちらと戦うか明言しなかった。しかし、「私は逃げません。逃げようともしません。大丈夫」と誰からの挑戦でも受けると改めて宣言した。

1/2ページ

著者プロフィール

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント