混戦必至なセンバツを制するのは!? 北海道・東北、北関東に不気味なチームあり

松倉雄太

健大高崎・三木、横浜・柳 好投手がひしめく

岡野−長井のバッテリー、斎藤が引っ張る打線と攻守に隙が少ない聖光学院 【写真は共同】

 同じく投手に自信を持つのが夏春連続出場の健大高崎。エースの三木敬太(3年)は関東大会で2試合連続完封。最後の試合で大量失点したため防御率を落としたが、それまでの安定感は抜群だった。捕手で主将の長坂拳弥(3年)は強肩で1試合平均の許盗塁が0.22。竹内司、内田遼汰(ともに3年)といった夏の経験者が中核にいるのも心強い。
 横浜は防御率0.82のエース柳裕也(3年)のピッチングが生命線。関東大会で割れた爪もほぼ完治しており、投球には問題なさそう。痛めた指を使わないサークルチェンジを使えるようになり、幅が広がった。昨夏4強の作新学院は大谷樹弘(3年)、山下勇斗(2年)のバッテリーら11人の経験者が残る。大谷は冬場の練習で体が絞れ、左打者に対する新たな球も習得。課題のスタミナを克服できていれば、大旗は近づいてくるだろう。関東王者の浦和学院は、佐藤拓也(3年)がエースに戻った。5連敗中の初戦を突破できれば、上位進出の力は十分備わっている。

 中国地区NO.1投手と評判なのが早鞆の間津裕瑳(3年)。周囲の期待が高いことがプレッシャーとなり調子を落としていたが、甲子園練習では吹っ切れたようで、力強い投球を披露していた。ほかにも三重の三浦浩太郎、地球環境の漆戸駿(ともに3年)、関東一の中村祐太(2年)などが今大会注目の投手だ。

守りが安定したシンプルなチームが優勝に近い

 北海道大会を制した北照の吉田雄人(2年)は打率6割3分2厘で出場校の主力選手でトップの成績。それまでの1番から神宮大会では3番になり、攻撃での役割も重要になった。

 大阪桐蔭の1番・森友哉(2年)と4番・田端良基(3年)は長打率が10割を超えている。ともに思い切りの良いスイングで相手投手にプレッシャーを与えるのが持ち味だ。

 昨春4強の履正社はメンバーのほとんどが入れ替わり、投手陣には不安が残る。ただ、近畿大会で見せた、ここ一番での勝負強さは底知れぬものがあり、力勝負できるチームが最も戦いにくいチームと言えるだろう。

 さて、混戦模様の大会を制するのはどこか?

 昨年優勝の東海大相模は初戦、2回戦とエースが先発せず、不安が見られたが、多彩な攻撃パターンと、ここぞという場面での守り、さらに1戦ごとに力をつけていったことが優勝につながった。一昨年優勝の興南もエース島袋洋奨(中央大)が大会直前に体調不良だったが試合ではしっかりと調整してきた。

 大会直前にいくら調子が良くても、必ずしも優勝できるとは限らない。肝心なのは初戦、それに大会の中で流れをつかむことだろう。
 現状は守りが安定したシンプルなチームが優勝に近いと言える。そういった意味では、平均失策が最も少ない北照や聖光学院、健大高崎といったチームに不気味さを感じる。

<了>

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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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