家長昭博がKリーグを選んだ理由=助っ人外国人選手としてACL・FC東京戦で凱旋

キム・ミョンウ

“第2のイ・チョンス”と高い評価

韓国を新天地に選び、マジョルカから蔚山に移籍した家長。Kリーグ開幕後からすべての試合に出場し、勝利に貢献している 【Getty Images】

 今季、スペインのマジョルカから韓国Kリーグの蔚山現代に1年間の期限付きで移籍した家長昭博が20日、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)・グループFのFC東京戦に姿を見せる。

 昨年1月にマジョルカに加入した家長は昨季14試合2得点の成績を残すも、今季は監督交代の影響で出場機会が減り、ゴールからも遠ざかっていた。とはいえ、昨年8月の日韓戦にも出場し、かつてJリーグでも活躍した姿は記憶に新しく、ポテンシャルの高さは誰もが認めるところだろう。

 そんな家長が韓国のKリーガーとしてJリーグ勢の前に立ちはだかる。現時点で先発出場するかは分からないが、今季のKリーグでの戦いぶりからして、出場するのはほぼ間違いない。そう言えるのは、Kリーグ開幕から家長がすべての試合に出場し、チームの勝利に貢献しているからだ。

 3月3日、アウエーで迎えた浦項スティーラーズとの開幕戦では、後半22分から4−3−3の右MFとしてピッチに投入された。積極的な攻撃参加がチームにリズムを与えただけでなく、2度の右CKも任されてチャンスを演出した。チームは1−0で勝利し、攻撃の中核を担っていく期待が高まったデビュー戦となった。

 11日の慶南FC戦には左サイドのFWとして先発出場(後半5分に交代)し、2−1の勝利に貢献。続く16日の城南一和戦でも同じく左FWで先発起用(ハーフタイムで交代)された。ゴールこそなかったが、今季、ガンバ大阪から移籍したイ・グノがKリーグ初のハットトリックを達成して3−0で勝利した。これで蔚山は開幕から3連勝、さらにACL初戦でも北京国安を2−1で下して破竹の勢いを見せている。

 まだフル出場こそなく、ゴールも決めていないが、今年で4年目を迎えるキム・ホゴン監督も家長がチームに欠かせない存在であることを認めている。
「家長はこれまで移籍してきた外国人選手の中でも、最もチームへの適応が早い。ゴールを決める日もそう遠くはないだろう」

 ソン・ドンジン副団長も「かつて蔚山でイ・チョンスがプレーしたが、“第2のイ・チョンス”と評価されている。スピードと突破力があり、パスの精度も高い。クラブ内での期待値はとても高い」と語っている。

「J復帰よりもKリーグを経験してみたかった」

 それにしてもなぜ、家長はKリーグを選んだのか。

 最初のきっかけはキム・ホゴン監督が昨季終了後、日本人MFを探していたことにある。
「スピードがあり、突破力とパス精度の能力が高い日本人MFを入れることで、単調な攻撃にリズムを与えたい」

 そこでスペインでくすぶっていた家長に白羽の矢が立った。声が掛かった家長にも迷いはなかったようだ。
「Jリーグ復帰よりもKリーグを経験してみたかった」と韓国メディアに語っている。

 蔚山を選んだことにも理由がある。それは2006年のG大阪時代のこと。韓国、日本、中国のリーグ優勝チームが参加するA3チャンピオンズカップが開催され、そこでG大阪は蔚山と対戦し、0−6で大敗を喫する。
「あの時の蔚山には驚かされました。まさかの6失点で大きなショックを受けたのを今でも忘れません。イ・チョンス選手のプレーもレベルが高くて、とても驚異的なチームという印象でしたね」

 それだけではない。昨年までG大阪でプレーしたイ・グノが蔚山に移籍したことも大きな力になっている。家長はイ・グノと各年代の代表戦で顔を合わせており、Jリーグの話や言葉など共通の話題で疎通を図れるのは心強い。そのため、チームメートと溶け込むのもそう難しくはなかった。

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著者プロフィール

1977年、大阪府生まれの在日コリアン3世。フリーライター。朝鮮大学校外国語学部卒。朝鮮新報社記者時代に幅広い分野のスポーツ取材をこなす。その後、ライターとして活動を開始し、主に韓国、北朝鮮のサッカー、コリアン選手らを取材。南アフリカW杯前には平壌に入り、代表チームや関係者らを取材した。2011年からゴルフ取材も開始。イ・ボミら韓国人選手と親交があり、韓国ゴルフ事情に精通している。

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