札幌山の手が苦しみながらも2連覇を達成 さらに進化を見せた長岡萌映子=高校選抜バスケ

舟山緑

自分たちのバスケットを貫いた山形商

初の決勝進出を果たすなど躍進を見せた山形商。自分たちのバスケットを貫いたチームワークに秀でたチームだった 【加藤よしお】

 準優勝の山形商も見事なバスケットを見せた。初の決勝進出ながら気負うことなく自分たちのリズムで試合に入り、リードを奪って札幌山の手を慌てさせた。攻守で献身的な働きをする大沼美琴(174センチ)を軸に、センター仲野由美は177センチと決して大きくはない。だが、相手の足元に入る厳しいディフェンスとリバウンドへ飛び込む執念は際立っていた。加えてどこからでも得点できるオフェンス力を有していた。

 決勝では多彩なパスワークと果敢な攻めで大沼が28得点、加藤臨が22得点とあげたが、第4ピリオドでセンターの仲野が5ファウル退場したのが痛かった。キャプテン大沼は「山形商の新しい歴史が作れたが、負けたのは悔しい」とも語った。最後まで挑戦者として自分たちのバスケットを貫き通した山形商は、準優勝にふさわしかった。

下級生主体の桜花学園が番狂わせを演じる

下級生主体で大会に臨んだ桜花学園は馬瓜(写真中央)を含めU−16代表を5人擁する。今後が期待されるチームだ 【加藤よしお】

 総体優勝の金沢総合を破ってベスト4に駒を進めたのは名古屋短付時代を含めて17回の最多優勝を誇る名門・桜花学園だった。今年は総体で敗れて以降、1年生3人をスターティングメンバーに起用。3年はガードの三好だけという下級生主体の布陣で大会に臨んだ。

 金沢総合との準々決勝は、拮抗(きっこう)した展開から終盤の勝負所でミスを誘った桜花学園が88−82で逃げ切った。井澗絢音、山田愛、馬瓜らの3人は、12月初旬にU−16代表としてアジア初優勝を飾った中心メンバーだ。その個人技の高さと落ち着きぶりは1年生とは思えないほどで、来年が大いに期待される。

 そして2年連続でベスト8に終わった金沢総合の宮澤夕貴(180センチ)だが、巧みなステップワークからの1対1の強さと安定したシュート力は群を抜いていた。札幌山の手の長岡とともに、次代の日本代表を背負っていく逸材であることに変わりはない。 卒業後は長岡は富士通に、宮澤はJXにそれぞれ進む。次なる舞台はWリーグ。さらに日本代表での活躍に期待が高まる。

<了>

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著者プロフィール

月刊バスケットボールで12年にわたりミニバスから中学、高校、大学、トップリーグ、日本代表まで幅広く取材。その後、フリーランスとなる。現在はWEBを中心にバスケットの取材・執筆を続けている。ほかに教育分野での企画・編集なども手がけている

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