大混戦の前半戦 団子状態から抜け出すのはどこか=bjリーグ前半戦総括

柴田愛子

巻き返しを図る浜松。エースのアーノルドを生かすためにも周囲のサポートが必要だ(写真は昨年のもの) 【加藤よしお】

 2011年も残すところあとわずか。10月から始まったプロバスケットボール・bjリーグの2011−12シーズンは、早くも折り返し地点に近づいている。岩手ビッグブルズ、信州ブレイブウォリアーズ、千葉ジェッツ、横浜ビー・コルセアーズの4チームが新たに加わり、19チームでスタートした今シーズンは、今までにない大混戦となっており、どのチームが上がってくるのか予測不可能な状態だ。
 今回はbjリーグコミッショナーの河内敏光氏にリーグ前半戦を振り返ってもらうとともに、後半戦の注目ポイントを伺った。

秋田の躍進と千葉の奮闘が光ったイースタン

 イースタン・カンファレンスで3位につける(12月27日時点)秋田ノーザンハピネッツは、中村和雄ヘッドコーチ(以下HC)が就任して生まれ変わった。結果が出ないとすぐに選手を交代させる中村HCの方針もあり、いい緊張感の中で選手がプレーしている。首位の浜松・東三河フェニックスとは勝ち点差1の状況なだけに、後半戦も首位争いに加わってくるだろう。

 他には新加入ながら5位の千葉ジェッツの奮闘ぶりが印象的だ。千葉は連敗することが少なく、負けてもリカバーできている。ガードのモリス・ハーグローを中心に展開する速いバスケが持ち味で、大柄の選手相手にジャメル・スタテンがインサイドで踏ん張ることで、外からシュートも狙える。それぞれの状況に合わせた対応力の高さが千葉の強さにつながっている。
 ただ2枚看板であるハーグローとスタテンが抜ければ、一気に戦力はダウンしてしまう。片方でも欠けると攻撃パターンが単調になり、ディフェンスも絞りやすくなる。彼らに頼っている部分が大きく、そこが千葉のウィークポイントでもある。

浜松の巻き返しに注目、そして台風の目は富山か

 浜松は11月の8戦を7勝1敗で乗り切り、一気に首位へと浮上した。開幕直後に4連敗を喫するなど、負けが続いたのはポイントガードとセンターが不在だったためだ。昨季の主力は残留し、戦力ダウンはほとんどなかったが、ゲームメイクできる選手がいなかった。シーズン序盤、多くはポイントガードのところでつぶされて接戦を落としていた。またエースのウェイン・アーノルドがボール運びも兼任し、シュートに専念出来なかったのも敗因の一つだろう。
 しかしポイントガードのジャメイン・ディクソンが戻ってきたことでボールが回るようになり、センターのジーノ・ポマーレが加入したことによって、弱かったインサイドの強化ができた。それが浜松の復調につながった。

 一方、平均得点83.8とイースタンでナンバー1の得点力があるにも関わらず、なかなか勝利に結びつかないのが富山グラウジーズだ。点取屋である城宝匡史らの個々の能力は高いものの、まだまだチームとして機能していない。それを裏付けるのがターンオーバー(※オフェンス側の選手がミスプレーやバイオレーションによってボールの保持を失うこと)の多さだ。特に得点を稼いでいる選手ほどターンオーバーの数が多い。数字が示しているように個々がボールを持ちすぎることで、せっかくのチャンスを無駄にしているということだ。
 スターティング5はどこからでも点数が取れるメンバーだけに、まずはターンオーバーを減らし、チームディフェンスをたたき込むことが、勝率アップへの最重要課題だろう。チームとして機能してくれば、必ず上位争いに食い込んでくる。そうなった時、後半戦イースタン・カンファレンスを大いにかき乱してくれるのは富山だろう。

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