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オリックスの新助っ人、李大浩はブーマーの再来!?
韓国の三冠王が日本球界に挑戦

岡田監督が期待を寄せる右の4番打者

豪快な打撃で韓国代表の中心選手としても活躍する李大浩
豪快な打撃で韓国代表の中心選手としても活躍する李大浩【Getty Images】

 オリックスは5日、韓国・ロッテの李大浩(イ・デホ)の獲得を発表。6日に韓国・釜山で行われた入団会見には、岡田彰布監督がわざわざ現地に出向き同席するという、期待の大きさがうかがえるものとなった。この模様は現地メディアでも大きく報じられ、岡田監督は「右の4番打者が必要だった」と李大浩獲得の理由を説明。李大浩は「韓国で最も活躍した選手が、日本でも活躍できるということを証明したい」と話した。また契約は2年で、インセンティブを含めた総額が7億6000万円であると李大浩本人が明らかにした。


 李大浩は2006年と10年の2度、三冠王を達成した韓国を代表する強打者だ。今季は打率3割5分7厘で首位打者を獲得し、本塁打(27本)、打点(113点)の両部門でもトップとは僅差の2位につける好成績を残している。

 身長194センチ、体重130キロの巨漢。その姿は08年の北京五輪日本戦で、和田毅(福岡ソフトバンク)からレフトへ特大の同点弾を放ち、日本人に強い印象を与えた。また、10年8月には9試合連続本塁打を達成し、「世界新記録」と報じられたことがある。

「対応力の高い選手」と評価される

 体格からは豪快さを感じるが、巧みさもあるのが李大浩の特徴だ。プロ11年間の通算打率は3割9厘。チャンスにも強く、今季の得点圏打率は3割8分5厘(リーグ2位)を記録している。どのボールカウントでも結果にムラがなく、2ストライクに追い込まれてからの打率も2割7分7厘を残している。苦手を作らず、左右どちらの投手からも3割5分以上をマーク。昨年までの2年間で17打数無安打に抑えられた唯一の天敵、サイドスローの鄭大ヒョン(SK)に対しても、今季は6打数3安打ときっちり借りを返した。好不調の波が小さく、レギュラーとしてプレーした8年間で、長期離脱がないのも李大浩の強みだ。


 その李大浩の技術面について、09年から今年まで韓国で李大浩と対戦してきた、門倉健(前サムスン)はこう話す。「リーチがあってアウトコースに強いです。いいコースに投げても長打を打てるし、難しい球はファウルにできるという、いい打者の条件を備えています。年々進化し続ける、対応力の高い選手です」 これらについては、08年に韓国でプレーした高津臣吾(現・BCリーグ新潟)や他球団スカウトも同様の見解だ。

元阪急・ブーマーとの共通点とは?

 右のヘビー級アベレージヒッターという、日本では珍しい存在となる李大浩。李大浩には84年に三冠王を獲得した、身長2メートル、体重100キロの最強助っ人、ブーマー・ウェルズ(元阪急−オリックス−ダイエー)のような活躍に期待が膨らむ。ブーマーと李大浩。この2人について、来季から西武の投手コーチを務める杉本正氏に聞いた。杉本コーチは西武での現役時代にブーマーと対戦経験があり、ダイエーではチームメイトだった。また、李大浩については10年に韓国・起亜の投手コーチとして対峙している。

「この2人はどちらも内角低めをうまくさばきます。そしてリストが軟らかくてどんなボールにも対応できます。また、逆方向に打つのもうまく、柔軟性があるという点で共通していると思います」。

 ちなみにブーマーと李大浩の各部門の成績を比較すると、その数字はよく似ている。また、共に三冠王を獲得した年の成績も同様だ。


ブーマー(84年):打率3割5分5厘、171安打、37本塁打、130打点、出塁率4割2分1厘、長打率6割4分1厘

李大浩(10年):打率3割6分4厘、174安打、44本塁打、133打点、出塁率4割4分4厘、長打率6割6分7厘

韓国からの打者に成功事例が少ないが……

 では李大浩に弱点はないのか。李大浩を14打数2安打5三振に抑えてきた門倉はこう話す。「縦の変化球には弱い面があります。ただ、一辺倒の攻め方ではダメですね。抑えるにはいろんな球種を投げて、悩ませることではないでしょうか」

 また杉本コーチも門倉同様に「様々な球種を使うことが必要」とし、「ブーマーとも共通しますが、インハイには弱いです」と話した。

 

 韓国プロ野球からはこれまで5人の打者が日本へやってきた。しかし、05〜07年時の李承ヨプ(元オリックス)を除くと、期待に応えたとは言い難い。いずれも技術のみならず、環境面で適応できず、精神的にダメージを受けて帰国していった。

 今回、先人たちより高い評価を受け日本でプレーする李大浩。韓国では愛らしいキャラクターから、複数の広告モデルを務めるなど、地元・釜山を中心に絶大な人気を誇っている。かつてブーマーは「阪急(サンキュー)ベリーマッチ」というCMで全国区になったが、李大浩はオリックスファンから「神様だ!(カムサハムニダ!)」と(ダジャレも継承しつつ)、感謝されるような存在になれるだろうか。


<了>

室井昌也
室井昌也
1972年東京生まれ。韓国プロ野球の伝え手として、2004年から著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』を毎年発行。韓国では2006年からスポーツ朝鮮のコラムニストとして韓国語でコラムを担当し、その他、取材成果や韓国球界とのつながりはメディアや日本の球団などでも反映されている。現在「室井昌也の韓国野球を観に行こう!」(ラジオ日本)に出演中。またWBCでは公式プログラムの執筆や中継局の情報提供を担当している。有限会社ストライク・ゾーン取締役社長。