“大化け”CM・パンクに喝采=WWE日本公演2日目レポート

斎藤文彦

2日続けてのメーンで王座を守ったCM・パンク、その“大化け”に喝采! 【t.SAKUMA】

 WWE日本公演『ロウ・ワールドツアー2011』のメインイベントは初日、2日目ともCM・パンク(王者)対アルベルト・デル・リオ(挑戦者)のWWEヘビー級選手権試合だった。2日間のツアーで同一カードがメインにラインナップされるケースはひじょうにめずらしいが、CM・パンク対デル・リオのタイトルマッチはWWEがそれだけ自信をもって提供する現在進行形の“結びの一番”ということになるのだろう。

共通するのは無名時代に日本のプロレスを体験したこと

飛びつき十字を仕掛けるデル・リオ(右)、かつてはドスカラスJrとして日本のマットに参戦した 【t.SAKUMA】

 CM・パンクとデル・リオにはある共通点がある。それはふたりが無名時代に日本のプロレスを体験したのちにメジャーリーグWWEと契約し、スーパースターの道を歩んだという点だ。CM・パンクはいまから8年前の03年7月、ZERO−ONE「火祭り03」に初来日。翌04年には新日本プロレスLA道場(当時)でおこなわれた獣神サンダー・ライガーのプロレス・セミナーに自費で参加した。いっぽう、デル・リオはマスクマンのドス・カラスJrとして00年に初来日。その後、DEEP、PRIDEで総合格闘技の試合に出場した。

 もちろん、こういったプロフィル上のディテールを知っているのは日本のマニア層だけで、アメリカのいわゆるWWEユニバースはWWEスーパースターとして“加工”されたCM・パンクとデル・リオしか知らない。情報量は多ければ多いほどプロレスはよりディープに堪能できるし、またそういった情報をまったく持たない“イチゲンさん”でも試合そのものを十分に楽しむことはできる。プロレスとはそもそもそういうジャンルである。

日本のプロレスと日本人レスラーに対する深いリスペクト

パンクが放つモンゴリアン・チョップには日本人レスラーに対する深いリスペクトが感じられる 【t.SAKUMA】

 CM・パンク対デル・リオのシングルマッチは、カラー・アンド・エルボー式のロックアップからはじまるきわめてオーソドックスなレスリングの攻防、日本のプロレス用語に置き換えればストロング・スタイルの闘いだった。CM・パンクの必殺技はプロレスリング・ノアのKENTAが開発したG2S(ゴー・トゥー・スリープ)で、デル・リオのそれは柔術スタイルの飛びつき十字固め。アメリカではいずれもオリジナル技ということになっているが、日本のファンにとっては見慣れた光景であることはいうまでもない。

 CM・パンクの得意技のレパートリーはコーナーへの串刺しニー(永田裕志)、モンゴリアン・チョップ(天山広吉)、ゼロ戦キック(菊地毅)など日本人レスラー考案のものばかりで、今回の日本公演では公開しなかったが、WWEではアナコンダ・バイス(天山)やナガタロック(永田)も愛用している。ここまで徹底して“日本の技術”をWWEのリングに導入しようという姿勢は、単なるパクリというよりは大いなるオマージュ、日本のプロレスと日本人レスラーに対する深いリスペクトが感じられる。

 タイトルマッチ2連戦の“決まり手”は、両日ともCM・パンクのG2S。試合終了後、CM・パンクはアリーナの四方に向かって“正座”し、ジャパニーズ・スタイルのあいさつでWWEユニバース・イン・ジャパンにしばしの別れを告げた。(文・斎藤文彦)
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