ペレ「サントスは優勝できる。重要な選手はそろっている」=FIFAクラブワールドカップ ジャパン 2011

バルセロナはサントスより経験が豊富

1962年のベンフィカとのインターコンチネンタルカップ第1戦、ペレは(中央)は2ゴールを決めた 【写真:アフロ】

――サントスは準決勝でモンテレイ、オークランド・シティ、Jリーグ優勝クラブのいずれか、勝ち抜いたチームと対戦します

 まさしくサントスは、冷静さを保ってその準決勝に臨まなければならない。決勝進出の本命と見られているチームにとって、準決勝の勝利は果たすべき義務だ。その上、若いチームであるわれわれには初戦のプレッシャーも加わる。だが、それでもわたしはサントスが決勝に勝ち進めると信じている。

――バルセロナのことはどう見ていますか? あなたは60年代から70年代にかけて、世界最高のチームと言われたブラジル代表でプレーしました。当時の評価は今も変わっておらず、しばしば現在のバルセロナと比較されることもあります。この比較は正しいのでしょうか?

 そうだね、比較されるのも理解できる。今のバルセロナは、当時のわれわれのようにプレーしているからね。ボールを愛し、常にポゼッションを心掛け、不安に駆られて走るのではなく冷静さを保ち、常により良い状況にあるチームメートにパスをつないでいく。
 現在のバルセロナ、そしてバルセロナの選手が8人もプレーしているスペイン代表は、当時のブラジルに似たサッカーをしていると思っている。ただし、W杯で3度の優勝を成し遂げたわれわれとは違い、彼らのサイクルは始まったばかりだ。バルセロナはサントスより経験が豊富だと思う。だが、試合はやってみなければ分からないものだ。

――バルセロナで最も好きな選手は誰ですか?

 リオネル・メッシはあのチームにおける偉大なクラック(名手)であり、現代では珍しく驚異的な数のゴールを決めている。だが誰か1人を選ばなければならないのであれば、わたしはシャビ・エルナンデスをとる。彼は昔のわたしを思い起こさせるからだ。彼はボールを支配下に置きつつ後方から攻め上がるのが好きで、ピッチ全体を把握できる視野の広さを持ち、3人目のプレーヤーとして攻撃に参加することができる。わたしが昔やっていたようにね。彼がわたしより後ろのポジションでプレーしているのは確かだ。わたしは彼より前のポジションでプレーし、彼より相手ゴールに迫る回数が多かったため、もっと多くのゴールを決めていた。

――メッシの天性の才能を、あなたのそれと比較することはできますか?

 わたしはまだ待つべきだと思っている。メッシにはわたしがプレーしていた時のビデオを送ると約束したから、いずれ送るつもりだ。彼は偉大なクラックだと思っている。テクニックに優れた選手で、相手ゴールに近いエリアでプレーしつつ、チームメートと連係しながら攻撃のフィニッシュにも絡むことができる。だが、まだ24歳であり、この先も長いキャリアが残っている。

――多くの人々が彼とクリスティアーノ・ロナウドを比較しています

 それはわたしには不可能なことに思える。C・ロナウドはメッシとは異なる選手だ。よりゴール前に顔を出すプレーが多く、パワーと決定力に長けている。異なるポジションでプレーしているし、特長も異なるので比較の対象にならない。

――14年W杯では、スペイン対ブラジルの決勝が見られますか?

 それは夢のような決勝だね。だが、まだ先は長いし、サッカーにはサプライズがつきものだ。

<了>

(協力:FIFAクラブワールドカップ事務局)

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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