長島☆自演乙インタビュー「大みそかは特別。絶対に出たい!」

茂田浩司

長島☆自演乙にK−1の現状、プロレスでやりたいこと、大みそかへの思いを直撃 【茂田浩司】

 9.25K−1 WORLD MAXのスーパーファイトに登場した長島☆自演乙☆雄一郎。格闘技の試合は昨年大みそかの青木戦以来、K−1での試合となると昨年11月のMAX世界大会決勝以来となる。
 だが久々の復帰戦は、金的と頭突き、さらに倒れたところを蹴られるという荒れた試合に。乙自身、相手の頭を殴ってケガをしてしまった。ダウンを奪って判定勝ちしたものの、試合後、彼が言ったのは「格闘技をしようと思ったら喧嘩みたいなことをされた。純粋に格闘技がしたいなあ」。
 9カ月ぶりの格闘技復帰で長島☆自演乙☆雄一郎は何を感じたのか。K−1の現状、プロレスでやりたいこと、大みそかへの思いや未来への「妄想」など、その胸中に迫った!

とりあえずK−1のスケジュールが聞きたい

久しぶりのK-1のリングは不完全燃焼に 【t.SAKUMA】

――9月25日のK−1から1週間が経ちました。改めて格闘技復帰戦を振り返ってどんな感想を持ちましたか?

長島☆自演乙☆雄一郎(以下、乙) そうですね……。(相手は)地下格闘技でもK−1ルールで戦えることを示すのかなと思ってたら、全然噛み合わないし、バッティングもらうし、倒れたところを蹴られちゃうんですから。「この人はK−1ルールでは戦えない人なのかな」って。

――珍しくリング上でキレたので驚いたんですけど、試合後に「首相撲の時に頭を当てられた」と聞いてなるほどと

 後半は呆れてましたけどね。「こんなんせな、戦えへんのかな?」って思ったら、俺を応援する観客も含め「この人たちは何をしたいんでしょうかね?」って。

――レフェリーの注意は「倒れた時に蹴ったこと」だけだったので、反則があったことが会場に伝わっていなかったんです

 レフェリーは注意しないし、金的を蹴られてアピールしたら「続行!」って言われましたから(苦笑)。でも僕は2010のチャンピオンやし、K−1ルールの中で戦うのが僕の役目やし、ポリシーやしプライドなんで。

――乙選手自身、11カ月ぶりのK−1で試合勘の部分はどうでした?

 練習では結構体が動いとったんですよ。でも試合になると「倒さなあかんやろ」っていう場の空気に飲まれちゃいましたね。

――公開練習の時、大宮司トレーナーに「シルバーウルフの練習で倒しまくってる。長島君は強くなってます」と聞きました

 強くなってると思います。でも逆に、今回は良きところを全然見せれなかったんで良かったのかな、って。次の、K−1ファイターとのシビアな戦いの中で本来の僕を見せれたら。次に出る時はもっと変わってると思うので。

――今回は88kg→78kgの地獄の減量でした

 地獄の「増減量」ですよー(笑)。ダイエットの広告の「使用前・使用後」みたいに、人間の体ってこんなん変わるんやなって(笑)。結果的に、あと1カ月あれば70kgまで落とせましたね。

――あ、そうですか

 僕、K−1に参戦した頃(09年)はウェルター(約67kg)がベストやったと思うんですよ。今、70kgは結構いい感じになったというか、適正体重になってきたかなって思いますね。

――なるほど。スパーで倒しまくったのは、今年のトレーニングで「本格的な70kg」の体が出来たこともあるんですね

 実感しましたね。多分、軸がブレないから、拳に体重が乗るんでしょうね。

――これから元に戻すんですか?

 考え中ですけど、とりあえずK−1さんのスケジュールが聞きたいんですよ。今回も決まったのが1カ月もなかったんで。MAXというカテゴリーがある以上70で出たいっていう気持ちもあるし「今、70でやったらどんだけ動けるのかな?」っていう期待もあるし。大宮司さんには「ドラゴンボールの亀仙人の修業みたいだ」って。「亀の甲羅を外した時にそういう感じになる」と。

――大宮司さん、乙選手のために「アニメ例え」を考えたのかも(笑)

 気をつかってくれたんですかね?(笑) 今回の試合ではほとんど試し切れてないんですよね。僕は「対格闘技者」の練習しかしてないので。やっぱりもっと自分が燃えるような試合、燃えるような相手とやらなあかんかなあって思いましたね。

決勝前に名城さんが「優勝したらもう1回やって下さい」

11年日本王者・名城との再戦は実現するのか!? 【t.SAKUMA】

――その意味で名城選手が優勝して「乙選手との再戦希望」を表明してましたけど

 そうですねー。ちょっと面白い裏話があるんですよ。僕、大阪のジムなんで名城さんとよく喋るんですよ。あの人は嫌いでもなんでもない、尊敬できる人なんで。で、決勝戦の前に、名城さんに「優勝したらもう一回やって下さい」って言われたんですよね。

――おお! それで答えは?

 僕は「“前もって”試合が決まったらやりますよー」って答えました(笑)。

――あ、スケジュール(苦笑)。乙選手は昨年、名城選手を1RKOしましたけど、名城選手の強さは知っていたんですか?

 はい。僕は去年の大会の前かな? 六島ジムに行かしてもらってスパーをさせてもらってるんです(名城はリザーブ戦出場予定から小比類巻の欠場で急きょ乙の相手に)。会見でも「名城さんは強いです」ってはっきり言ってるんですよ。あの人が強いのも、ハイキックが上手いのも知ってるし、そういう意味では僕は一番名城さんの実力を知ってたんで、誰に聞かれても「弱くないですよ」って言いますけどね。今回も「(名城の優勝は)ラッキーやったな」って言われるんですけど「ラッキーやないですよ、あの人はホンマ強いです」って言ってます。

――昨年のKOは名城選手の動きを知ってたから対応できた?

 上手いことカウンターが入って。すごいガンガン前に出て来る選手やったんで「来るかな?」と思ってたら案の定来たっていうのがあったし。あのカウンターは勝手に体が動いたんですけど。でもあれからスタイルも変わられてるんで、もっと難しいし、湊谷さん(正道会館トレーナー)が付いてると思うんでまた戦術的にもいろいろと考えてきはるんやろうし。僕が教わったのが大宮司さんと三好さん(魁塾トレーナー)、名城さんが湊谷さんというセコンド対決は見たいですね(笑)。

――セコンドが全員正道会館育ち(笑)。ただ、MAXの現状を見ると、名城選手が優勝しても「では次は乙選手」という気運が高まった感じがしないんですよ

 ストーリーがないんですよねー。

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著者プロフィール

94年から週刊の情報誌でスポーツページを編集。野球、サッカー、NBA、テニス、F-1など様々な競技や選手を取材。96年からフリーに。99~02年「ゴング格闘技」編集ライター。現在は格闘技、お笑い、教育、健康、舞台・テレビ、政治・時事などを幅広く取材・執筆中。

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