長州力インタビュー「藤波さんはリングの中でも降りてもライバル」

名勝負数え唄が今度は名古屋、札幌に上陸! 気合満点の長州(上)に直前インタビュー 【t.SAKUMA】

 1月10日の後楽園ホール、5月7日の大阪府立体育会館で昭和のファン、そして今のファンを熱狂させたレジェンド・ザ・プロレスリングにおける藤波辰爾vs.長州力の名勝負数え唄の復活。日本全国のファンのラブコールに応えるべく、今度は名古屋、北海道に上陸することが決定した。

 そして9月23日の名古屋国際会議場イベントホール、10月30日の札幌テイセンホールでも両雄の一騎打ちが行われる。これまで2連敗を喫している長州の藤波に対する想い、レジェンド・ザ・プロレスリングに対する想いとは……。

[提供:レジェンドプロレスリング実行委員会/聞き手=プロレスライター小佐野景浩>

せっかく3人が同時に会ったんだから「何かやれるんじゃないか」

――レジェンド・ザ・プロレスリング、後楽園ホール、大阪府立体育館(第二)、超満員の盛況。立ち上げのコンセプトは“プロレスの復興”でしたよね。

長州「みんな、この業界の中で遠回りしたよ。いろんな部分で遠回りした。それがどこかでバッタリ(この3人が)会ったんだろうな。会った時は時間も経ってるし(微笑)。だから『最後ぐらい同じ方向でやれるんだったら……』っていう話で、レジェンド・ザ・プロレスリングが始まった。この世界に近道があるのかどうかわからないけど、みんな遠回りしたんじゃないの?
“プロレスの復興”? そんな重いもんじゃないよ。せっかく3人が同時に会ったんだから『何かやれるんじゃないか』っていう。そこからですよ。そうしたら人生の中で経験するかしないかっていうような震災もあったし。立ち上げてスタートしたのは1月なんだけど、ビックリしたよね。ホント、開催地候補の中には東北も入っていたんだけど……来年、九州が終わったら入ろうと思っています」

――このレジェンド・ザ・プロレスリングは、プロレス復興であると同時に震災の前からボランティアをやっていくというのもテーマだったと思います。

長州「ボランティアっていうのは俺たちにとって重い言葉だよね。まあ、出来ることがあるんだったら、それはもう進んでいこうと。みんな個々でやっている最中です。俺たち3人(長州、藤波、初代タイガーマスク)に、貢献が出来ることもあるんじゃないかなって。だから素直に出来るよね」

好きな奴がやっていればプロレス業界は潰れることはない

――さて、レジェンド・ザ・プロレスリングは、1月10日の後楽園、5月7日の大阪を経て、9月には名古屋、北海道を回ります。

長州「新春からやって、今年は早く感じているよね。日が経つのが凄く早く感じていて、頭の中では九州ぐらいまであったんだけど、時間かけてゆっくりゆっくりやっていこうっていうのが、今、微妙にいい具合になっているのかな。今は身軽だよ。藤波さんも単体でドラディションやったり、佐山(初代タイガーマスク)も、リアルジャパンやっているから、ゆっくり時間をかけて決まったものを打ち出していける。それが俺たちのメリットかもしれないね。だから、そんなに重いものが出るわけでもないし。これが、今から20〜30年前だったら爆弾ばっかり考えていたけどさ。今はそういうものも要らないし、個々の価値観と考え方だけで」

――肩に力が入らない自然体というか……。

長州「ここ2〜3年いろんな団体を見てるけど、しんどいよね。各団体、動かしてるものがデカイからさ。レジェンドはそんなにものを抱えて動いているわけではないから非常に良い感じでやってるよ、ウン。藤波さんや佐山の価値観や考え方で動かしているだけだから。大きく団体で動いていくんだったら、しんどいと思うけどね。そこのところで今はまだプロレス業界は大変な時期だよね。でも、この業界は根強いからね、潰れることはないんだよ。好きな奴がやっていれば潰れることはない。これは間違いない」

――レジェンド・ザ・プロレスリングの場合、1月も5月も超満員でしたけど、長州さんとしてはどう分析していますか?

長州「それはね『最初はイケる!』っていう確信はあるよ、最初はね。まあ、最初言ったように時間があるから、この1年は種を撒いているのかなって。来年は試合数増えますよ。この状態で試合数が増えるから、まだ各団体よりも楽だよね」

――レジェンドには懐かしさで来るファンもいますけど、若いファンにとっては新しいものだと思います。

長州「そんなにキバって、どうのこうのっていうものを打ち出すつもりはないですよ、ホントに。でも間違いなく時間をかけて『石橋叩いてでも……』っていうのが強味……。っていうもんでもないんだけど、やっていけるっていう。荷が軽いっていう。それと3人の『やってみよう!』っていう気持ちに強いものがあるから。ある部分では楽しんでいるかもしれないね。リングの中は別だけど、ある部分で楽しんでいる。何か……今のこの時代だったら、間違いなく俺たちしかできないんだろうって。そういうものを10年後、20年後には今の選手がやっていくかもしれないね」

藤波との対戦は“刺激”であり“安心”

藤波との戦いは“刺激”であり“安心”であると長州は語る 【t.SAKUMA】

――レジェンドの前段階として、ドラディションやリキプロ、リアルジャパンで組んでいた頃に長州さんの方から藤波さんに『集大成として一騎打ちを付き合ってください』というラブコールがありましたが……。

長州「もう集大成は通り越してるよ、時間は通り越してる、ウン」

――でも長州さんの口から「一騎打ち」という言葉がポンと飛び出したというのは?

長州「あのままで行ってたら、多分、何の変化もないだろうし、ある意味では俺自身は疲れちゃう。『しんどいな』っていうのはあったよね。何て言うのかな、インパクト、刺激がないっていう。やっぱり何十年経ってもリングに上がる時の気持ちっていうのは、俺は変わらないからね。どういう状態だろうが、リングに上がる前の気持ちっていうのは、何十年前も今も変わらないですよ。それで『リングの中は怖いな!』って感じる時もあるし。そういうものがあるから『これはもうヤバイな!』と思うことがあったら黙ってリングを降りるよ。もう、1回引退してんだから、ああだこうだやるつもりはまったくない。だから、やれるだけのことはやってリングに上がるつもりではいるよね。藤波さんのところだろうが、佐山のところだろうが、上がる時の感覚は昔とまったく変わらないですよ」

――そういう意味で言ったら、藤波さんとは組むよりも戦った方が……。

長州「そうですね。やっぱり、ぶつかった時の刺激っていうのが自分を安心させるんだよね。どういう動きになろうが、どういう状況になろうが、自分を安心させることが出来る。多分、彼もそうじゃないかと思いますよ」

――刺激であり安心、ですか?

長州「俺、一番『クソーッ!』と思う時は、そのリングの上でのテンションと自分自身の動きがギクシャクした時だよね。気持ちと体のギャップって言うのかな。流れが作れなかった時は凄く後悔して腹立たしいよね。作れないんじゃなくて諦めたり……。これは自分にしかわからないじゃん。『なぜ、ここで止まったんだろう?』『なぜ、ここで行っちゃったんだろう?』とか。そういうのがあるよね。それはもう現実問題としてしょうがないことであって。30年前と同じだったら凄いよ(苦笑)。ただ、そういう姿勢だけはもう、昔と変わらないですよ」

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