梅野またも快挙、ムエタイMVPを完全粉砕!=M-1ムエタイ

長谷川亮

日本ムエタイ界の至宝・梅野源治(左)がまたも本場ムエタイの超強豪タイ人を完全粉砕! 【長谷川亮】

 M−1ムエタイチャレンジ「RAORAK MUAY Vol.3」が11日、東京・ディファ有明で開催された。

 メーンイベントにはムエタイの殿堂ラジャダムナンスタジアムのランカーをKOする快挙を7月にやってのけた梅野源治が登場。勢いに乗る“日本ムエタイ界の至宝”が、もう一つの殿堂であるルンピニースタジアム現フェザー級3位にして2008年のムエタイMVPという超強豪ウティデート・ルークプラバートを迎え撃った。

超強豪タイ人KOでファン総立ち

梅野の左ローはこの日も威力抜群! 【長谷川亮】

 梅野は初回から前回のKOを生み出した左ローを見舞っていく。しかしウティデートも足、ボディ、そして金的周辺を狙った前蹴りを絶え間なく飛ばし梅野をストップする。だが梅野はウティデートの前蹴りをたびたび浴びてもフェイント、パンチの連係から変わらず左ローを打ち込んでいく。ウティデートは初回からこの左ローを嫌がる素振りを見せる。

 右足にダメージのあるウティデートは、2R以降しきりに梅野の蹴り足をキャッチする。バランスを崩され、キャッチの後でパンチも浴びる梅野だが、それでもやはり左ローを止めることなくヒットさせていく。

 3R、ウティデートのキャッチと前蹴りは頻度を増し、梅野にパンチで攻勢を取る。被弾して一瞬腰の落ちた梅野だが、ここは瞬時に体勢を戻したためレフェリーはダウンを取らず。劣勢になっても気持ちを折られず、梅野は左ローを浴びせていく。

 3Rはポイントを失った梅野だが、ウティデートも右足のダメージが隠せない。4Rに入り梅野の左ローに遂にウティデートの動きが止まると、梅野はここでパンチから入り「序盤から結構当たる感じがあった」という右ヒジをグサリ。これにウティデートがまさに大の字という形でダウンを喫すると、場内は総立ちの大騒ぎとなり4R2分23秒、梅野がノックアウトで勝利した。

 12月に同級の日本人ライバル・森井洋介との対戦が決まっている梅野だが、試合後「あいつはもういいかな」と語り、リング上でもマイクを持って「12月にオレがタイのチャンピオンクラスとやるのを見たい人?」と問うと、興奮状態の観客が大歓声でこれを後押し。
 森井もこの日、元ボクシングWBO世界スーパーバンタム級王者のラタナチャイ・ソーウォラピンを1RにローキックでKOしたが、こちらは戦線を離れて久しい35歳のファイターということもあり、梅野との差は如実となった。

 大殊勲を成し遂げながら、梅野はリングで「まだこんなもんじゃ終わらないので、応援よろしくお願いします」と宣言。強さの源であり、今後もさらなる強さへ導くだろう志の高さを示していた。

元ショウタイム王者、待望の日本デビューのはずが…

対戦相手の大失態のアオリを食う形で元ショウタイム王者ヴィールセンにもブーイング 【長谷川亮】

 今大会では欧州最大のキックボクシング団体「IT'S SHOWTIME」の61キロ級元世界王者セルジオ・ヴィールセンが初来日。山本真弘を寄せつけなかった実力をWPMF世界ライト級王者カノンスック・ウィラサクレックとの一戦で披露するはずだった。しかし――

 試合はカノンスックが計量オーバーで失格という大失態を冒したため、急きょエキシビションマッチに変更。通常のエキシビションと異なり、レッグガードなどの防具は一切つけず向き合った2人だが、どちらも威力を十二分に弱め、マススパーと言うよりない内容に終始。
 場内からは「これがショウタイムかよ」、「レフェリーどうにかしてくれ」、「練習はジムでやれよ」といった罵声が飛び交い、これを受けてか当初は3分3Rとコールされたが2R終了後に打ち切り。

 非がないにも関わらずブーイングにさらされたヴィールセンには気の毒な形となり、「機会を改めきっちり再戦させます」となされたアナウンスもお粗末な顛末ゆえむなしく響くだけだった。
■M−1ムエタイチャレンジ「RAORAK MUAY Vol.3」
9月11日 東京・ディファ有明

<ダブルメインイベント2『Top of Feather Vol.2』フェザー級 WPMF日本ルール 3分5R>
○梅野源治(PHOENIX/M−1同級・WPMF日本スーパーバンタム級・WBC日本スーパーバンタム級王者)
(4R2分23秒 KO)
●ウティデート・ルークプラパート(ルークプラパート/ルンピニースタジアム認定同級3位、2008年ムエタイMVP)

<ダブルメインイベント1『Top of Feather Vol.2』フェザー級 WPMF日本ルール 3分5R>
○森井洋介(藤原/WPMF日本同級王者)
(1R2分09秒 KO)
●ラタナチャイ・ソーウォラピン(ソーウォラピン/元プロボクシングWBO世界スーパーバンタム級王者)

<第11試合 WPMF日本ルール 58kg契約 3分5R>
○長嶋大樹(ONE’GOAL/WPMF日本同級2位)
(5R判定2−0)
●シティーチャイ・センモラコット(尚武会/元ルンピニーフライ級王者)
※50−48、49−48、49−49

<第10試合 エキシビションマッチ IT’S SHOWTIMEルール 3分2R>
−セルジオ・ヴィールセン(スリナム共和国/コンチネンタルFFC/元同級王者)
(勝敗なし)
−カノンスック・ウィラサクレック(WSRフェアテックス/WPMF世界ライト級王者)

<第9試合 M−1ライトヘビー級次期挑戦者決定戦 3分3R延長1R>
○スウィレック・ラジャサクレック(タイ国/ラジャサクレック)
(3R判定3−0)
●悠生(=ゆうき/レンジャー品川/元M−1ミドル級王者、WPMF日本ミドル級4位)
※3者30−27

<第8試合 WPMF日本スーパーフェザー級王者決定トーナメント 3分3R延長1R>
○SHIGERU(新宿レフティー/WPMF日本ライト級8位)
(3R判定3−0)
●木村天鮮(レグルス池袋/同級8位、J−NETWORK同級王者)
※30−27、29−28、30−28

<第7試合 WPMF日本ウエルター級ランキング戦 3分3R延長1R>
○高修満(エイワスポーツジム/元日本ライト級1位)
(3R判定3−0)
●板倉直人(スクランブル渋谷/同級4位)
※30−27、30−27、30−28

<第6試合 WPMF日本女子ルール 47kg契約 2分3R>
○飯田なお(新宿レフティー/ITFテコンドー全日本2007、2008、2009年王者)
(3R判定3−0)
●坂本柚佳里(錬成塾)
※30−29、30−28、28−30

<第5試合 WPMF日本フェザー級ランキング戦 3分3R延長1R>
○梅原ユウジ(ストラッグル/同級5位)
(2R1分51秒 KO)
●コンデット・エスジム(タイ/エス)

<第4試合 WPMF日本スーパーバンタム級ランキング戦 3分3R延長1R>
○鷹大(ウィラサクレック・フェアテックス/同級4位)
(3R判定2−0)
●裕喜(KIX/同級10位)
※30−28、29−28、29−29

<第3試合 WPMF日本フェザー級ランキング戦 3分3R延長1R>
○清川祐弥(新宿レフティー/同級10位)
(延長判定3−0)
●堀口貴博(ウィラサクレック・フェアテックス/元全日本同級9位)
※3者10−9

<第2試合 WPMF日本ルール 88kg契約 3分3R ※ヒジなし>
○デイビス・アラン(M−FACTORY)
(2R0分11秒 KO)
●巻渕淳(BONDS)

<第1試合 WPMF日本ルール ウエルター級 3分3R>
○斉藤智洋(エイワスポーツ)
(3R判定3−0)
●チャップリン木山(フリー)
※30−29、30−29、30−27
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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