進化し続けるバルセロナに死角はなし=セスク加入がもたらすさまざまな恩恵
顔ぶれは同じだが、サッカーには変化が
2年前にクラブW杯を制したバルセロナ。当時とメンバーはそれほど変わらないが、サッカーは進化している 【写真:徳原隆元/アフロ】
それから2年が経った。バルサのベンチには変わらずグアルディオラの姿があり、ピッチの上の選手も、その多くが2年前と同じ顔ぶれである。しかし、ピッチの上のサッカーには確かな変化が見て取れる。2009年のクラブW杯決勝のメンバーを見てみよう。
GK:ビクトル・バルデス
DF:ダニエウ・アウベス、ピケ、プジョル、アビダル
MF:ブスケツ、シャビ、ケイタ
FW:メッシ、イブラヒモビッチ、アンリ
今季のメンバーと大きく異なるのが、何よりも前線の構成だ。イブラヒモビッチとアンリはチームを去り、現在、彼らの代わりにはビジャとサンチェスがいる。2年前は右サイドかトップ下でのプレーが多かったメッシは、今ではずっとセンターFWのポジションでプレーしてきたかのような風格を見せている。プジョルとピケは負傷中だが、クラブW杯には間に合う。2年前は負傷していたイニエスタは今回は先発で出場するはずだ。
チーム全体の得点力は上がっている
今季加入したサンチェスも、攻撃面だけでなく守備の献身を評価されて加入したほど、指揮官の「チーム全体で高い位置から素早くボールを奪い返す」という意識は強い。2年前のアンリもそんな姿勢を見せてはいたが、今季の3トップのそれは、当時を大きく上回る。
グアルディオラが目指す、高い位置でボールを奪い返し、再びポゼッションに移るサッカー。そのためにチームは少しずつ形を変え、新たな選手を加え、変化をつけながら、この2年間進化し続けてきた。
一方、攻撃面においては個々の技術を生かし、高いポゼッションを保ちながら攻めていくという姿勢は変わらない。前線の重さという意味では、イブラヒモビッチが抜けたことでマイナスになるかもしれないが、メッシをより前で、自由にプレーさせることで、チーム全体の得点力は上がっている。
イブラヒモビッチという強烈な個性は、グアルディオラが目指すスタイルの中で、やや異質な輝きを放っていた。しかし現在のバルサのサッカーはより全体的で、統一された感がある。