進化し続けるバルセロナに死角はなし=セスク加入がもたらすさまざまな恩恵
セスクの加入がチームの総合力を上げる
バルサ加入後さっそく輝きを放っているセスク(左)。彼の存在がチームの総合力を上げている 【Getty Images】
セスクは次のように語っている。
「バルサでの練習は僕がこれまでで見た中で最高のものだった。聞こえるのはボールの音だけ。タッ、タッ、タッと。こんなレベルの練習は見たことがない。毎日の練習が、試合よりもずっと魅力的なんだ」
セスクがかつて所属したアーセナルの練習も、イングランドの中ではテクニックとパスワークを重んじたものである。にもかかわらず、バルサの、グアルディオラの練習は、わずか数日でセスクを虜にし、恐らくは晩年のアーセナルで欠けていた新鮮な刺激を与えている。
セスクは古巣にすんなりと適応すると、プレシーズンに行われたガンペール杯(対ナポリ)と欧州スーパーカップ(対FCポルト)、そしてリーガ開幕戦となったビジャレアル戦と3試合連続ゴールを決めている。
グアルディオラは、セスクをメッシのポジション、つまりセンターFWでプレーさせたこともあった。4−3−3のミッドフィルダーとして、また3−4−3のトップ下に置いたこともあった。指揮官はセスクの良さを「前のスペースへ飛び込んでいくプレー」としている。
2年前のチームよりあらゆる面で上回る
しかし得点という点に絞れば、必ずしもバルサのミッドフィルダーが多くの数字をたたき出しているわけではない。
例えばイングランドでは、「セントラルミッドフィルダーは1シーズン15点」というのがひとつの目安とされる。フランク・ランパード(チェルシー)やスティーブン・ジェラード(リバプール)らのシーズン得点数と比較すれば、その差は浮き彫りになる。
そんなプレミアリーグでプレーしてきたセスクには、得点への意識、そしてスペースを見つけ、飛び込んでいく動きが染みこんでいる。シャビ、イニエスタ、ブスケツにないものを、セスクはもたらすことになるだろう。
「シャビやイニエスタはそのほかの選手のプレーを容易にしてくれるんだ」とセスク。
2011年のバルサにおいて、セスクの持ち味は生かされ、そしてチームはその得点に恩恵を受けることになるだろう。
前線からのプレッシングの強化。セスク加入による得点力の増加。そして2年間という時間の中での成熟。2011年のバルサは、さまざまな面においてアブダビで世界一になったチームを上回っている。12月の日本で、彼らは2年前とは違う新たな姿を披露するはずだ。
<了>
(協力:FIFAクラブワールドカップ事務局)