石岡沙織&長野美香スペシャル対談 女子格闘技トップ2へいざ挑戦!

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女子格闘技新世代の旗手、石岡沙織(左)と長野美香が打倒・辻、打倒・フジメグへスペシャル対談 【スポーツナビ】

 女子総合格闘技ジュエルスの7月9日・新宿FACE大会では、注目のビッグカードが2試合実現となった。辻結花vs.石岡沙織、そして藤井惠vs.長野美香。日本の女子格闘技界を象徴する2枚看板(辻、藤井)に、新時代を担う若手の旗頭2人(石岡、長野)が挑戦する形だ。

 石岡と長野は08年11月のジュエルス旗揚げ戦でメインイベントを戦い、以後、“華も実もある”美しき女子ファイターとして、同団体をけん引。互いにライバルと認め合い、女子格闘技界のトップを目指し切磋琢磨してきた。
 石岡・長野が同時に辻・フジメグを撃破すれば、1つの時代が幕を閉じ、1つの新しい時代が幕を開ける、世代交代の合図ともなる分水嶺の大一番。スポーツナビではそんな“ジョシカク2大山脈”に挑む直前の石岡沙織、長野美香にインタビューした。

 辻・フジメグ戦を前にしての心境、ライバルと認め合う互いをどう意識しているのか。また、なぜか日本酒の話などに脱線しつつ、2人が共通に思っていた最高のシチュエーションの再戦とは?

石岡もビックリ! プロデビューは長野と同じ大会

ふたりはお互いをどう意識してる? 【スポーツナビ】

――本日はよろしくお願いします。

石岡&長野「よろしくお願いします」

――いきなり試合の話というのもアレなので、ひとまず置いておきまして、お二人は仲良しなんですか?

長野「普段から遊びに行くとかいう感じではないんですけど、私は石岡さんのことをいつもどこか特別な感じに見ていますね」

石岡「そうですね、私もどこかで長野さんのことは気にしています。何かあったときにメールしたり連絡したりというわけではないんですけど、特別なことがあったときに長野さん今どうしてるかな?って思ったり」

長野「実は、私のデビュー戦はグラップリングだったんですけど、石岡さんのプロデビュー戦と同じ大会だったんですよ」

石岡「えーっ!? 4年前の3月11日?」

長野「そうそう。私は小寺麻美さんと試合して、アッと言う間に一本取られちゃったんですけど(笑)」

石岡「え、取られちゃったんですか? へぇ〜、でも長野さんと同じ大会でデビューしてたって、全然知らなかった」

長野「そう、それでデビューした日もいっしょだったし、スマック3姉妹?三銃士?というのがあって、私と石岡さんと岡田円ちゃんの3人でそうやって売り出されたり……」

石岡「はい、はい、あの時すごいつらかったですよね。デビューしたばっかりで全然実力もないのに、なんかもてはやされちゃってというか……。でも、デビューから4年経つんですね。まだ4年かぁ。ジュエルスが始まってから、すごい長い期間やっているような気がしますけど、キャリア的にはそんなことないんですね」

長野「辻さんとか藤井さんはもっと長いんですよね」

石岡「藤井さんは3歳から柔道始めたって聞きましたよ」

長野「え、3歳!?」

石岡「やっぱり、あの2人は大先輩という感覚がありますよね」

――そうですね。で、意外にもデビュー戦が同じ大会だったことが分かった石岡選手と長野選手ですが、そのデビュー戦から1年半後のジュエルス旗揚げ戦のメインで試合することになりました。その試合を経て、何かお二人の関係が変わったりだとか、意識するものが変わったりとかはありましたか?

石岡「私は、あの試合はジュエルスのスタートでもありましたし、結果がどうこうよりも、次にまた試合をすることになった時の方が意味があると思っていました。あの試合から何年か後にお互いに成長して、次にやるときにはもっと大きな舞台だったら、って思っていますね」

長野「私はですね、あの試合がきっかけというわけではなくて、スマックガールの後楽園大会(2007年12月)の前に1度、船上パーティーで石岡さんに会ったことがあって……」

石岡「あー! あった、あった(笑)。なんか招待されちゃったんですよね」

長野「そうそう(笑)。その時くらいから取材でいっしょになることが多くなったり、顔を合わせる機会が多くなって、いつかは試合したい、いいライバルとしてずっと一緒に頑張っていきたいって思うようになりました。自分の気持ちの中で、他の選手には思わないことを石岡さんに対しては意識しますし、そういう感じで徐々に気になる存在になっていきましたね」

石岡「これは私の想像なんですが、藤井さんと辻さんは“相手を倒したい”という感じのライバル関係かもしれないですけど、私が長野さんに対して思うライバル関係は、“長野さんが頑張っているんだから、私も頑張らないと”という気持ちですね」

ヴァルキリーからの参戦は大歓迎です!

V.V Meiらヴァルキリー勢の参戦はウェルカムです! 【t.SAKUMA】

――なるほど。お互いに切磋琢磨しあえる関係と。

石岡「でも、話は全然変わりますけど、この大会ポスターを見てると、特に52キロ級は濃いメンバーが揃いましたよね。普通に面白そう(笑)」

長野「うん。選手として出る方じゃなくて、お客さんとして見るときっと楽しいと思う(笑)」

石岡「あー、絶対そう。いちファンとして見たいですよねー」

――ヴァルキリーからも参戦選手がやってきて、人数が多くなったり、層が厚くなったことに関してはどう思っていますか?

石岡「いやあ、これから熱くなっていくと思いますよ。ただ、ベルトに挑戦できるのが遅くなるかもしれないですね。ヴァルキリーにも高林(恭子)選手、V選手(V.V Mei)と自分が負けた相手がいますし、ジュエルスにはハム・ソヒ選手、能村さくら選手といますからね。ジュエルスだったらこれの半分で済んだのに(笑)」

――モチベーション的には?

石岡「いや、多い方が楽しいですよね。すごい豪華なトーナメントなんかもやれそう」

――8人参加で、1回戦は全部ジュエルスvs.ヴァルキリーで?

石岡「8人よりもっと多い人数でもやれそうですよ。10何人トーナメントとかできたらすごいですよね」

長野「うん、トーナメントいいかも。でも、もし本当にやるとしたら、まずはジュエルスの選手がチャンピオン獲りたいですよね」

石岡「うんうん、プラス、自分が獲れたらなお良し(笑)」

長野「アハハハハ(笑)」

――長野さんはどうですか、ヴァルキリーからも選手が参戦してくるのは?

長野「私もそれはうれしいと言いますか、女子格闘技自体がすごく盛り上がっていくと思います。選手層が厚くなって、いい方向に行くんじゃないかなと思いますね」

辻結花戦は石岡「半分ノリというか、勢いと言いますか……」

辻結花戦へラオスで武者修行してきました 【スポーツナビ】

――それで、ヴァルキリーの選手がジュエルスのリングに上がるようになったことで、辻結花選手の参戦も実現し、いきなり石岡さんとの対戦が決まりました。これの経緯について教えていただけますか?

石岡「これはもう、半分ノリと言いますか、勢いと言いますか……」

――え、どういうこと?

石岡「前回のジュエルス新木場大会で辻さんが復帰宣言して、『誰でもいいから試合したい』って言っているのを聞いて、じゃあ私でもいいですか?って。まあ、その辺が半分ノリですよね。そんな感じだったので、私に決まるわけないじゃないですかーって言っていたら、本当に決まってしまったという……」

――じゃあ、実際に辻選手との試合が決まったと聞いたときは……

石岡「マジすかっ!?ですよね(笑)」

長野「アハハハハ(笑)」

石岡「でも、勢いとチャンスは大事だなって思いますね。辻さんのような、世界トップ3に入るような選手と試合させてもらえるなんて、そうはない機会だと思うので」

――海外に武者修行に出たとも聞きましたが、これも辻戦用に?

石岡「そうですね、まあ、これも半分勢いみたいなもんでしたけど、辻さんとの試合が決まったし、練習に集中したいと思って、ラオスにある禅道会の修練場で1カ月間練習してきました。だからこんなに焼けたんです(笑)。お昼からは暑すぎて練習できないので、朝6時に起きて、午前中に4〜5時間練習して、夜は9時に寝るというすごく健康的な生活でしたね」

――練習の成果はどうですか?

石岡「もうすごい練習してきてましたよ(笑)。それに、今回海外で練習してくるなんて初めてだったんですが、ラオスでの修行を通して、細かいことを気にしなくなりましたね。穏やかになったというわけじゃないんですけど、ゆとりが出てきたと言いますか、視野が広くなったと思いますね」

――1カ月のラオス修行を経て、辻戦まであと2週間ほどになりました。今の気持ちは?

石岡「ノッてますね! 追い込みが始まるとまたちょっと落ちるかもしれないですけど、今は不安に思ったりするよりもノリノリです(笑)」

――ちなみに長野さん、辻選手と同じ中京女子大レスリング部出身として、長野さんから石岡さんにアドバイスとかありますか?

石岡「長野さんだったらどう戦う?」

長野「う〜ん、難しいなぁ。でも、辻さんとはいっしょに練習したことがあるんですけど、やっぱり体幹が強いですね」

石岡「やっぱり身体能力は高そうですよね。私も最近、バク転の練習してるんですよ」

長野「え、バク転!? なんで(笑)」

石岡「いや、身体能力を上げようと思って(笑)。身体能力には身体能力で対抗して戦わないと。身体能力だけだったら、私も負けてないと思うんだけどなぁ〜。あ、あとパウンドですね」

――辻選手のパウンドをもらわないように気をつける?

石岡「違います、違います。私がパウンドやるんですよ! やだなぁ〜(笑)」

――これは失礼しました(笑)。いや、辻選手ってすごいパウンドが好きだったと思うので、てっきり。

石岡「でも、そうやって殴るのが好きだったり、辻さんと私って似た感じなのかもしれないですね。反対に藤井さんと長野さんもお互いに似てるなぁと思いますし」

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