──バイエルンという大きなクラブで、どんなプレーを見せたいと思うか？

宇佐美　今と変わらず、Ｇ大阪でやっているプレーをそのまま出していければいいと思います。自分の持ち味はドリブルなので、ドリブルを前面に出していければいいなと思います。

──自身のサッカー人生という部分で、このバイエルン移籍というのは、段階としてどういったものになるのか？

宇佐美　正直、全然想像していなかったです。最初は２２歳ごろまでにステップアップできるリーグに行って、そこからチャンスがあればビッグクラブに行きたいという思いがあったので、この段階でバイエルンというビッグクラブに行けるという、こういうチャンスが来るとは思っていませんでした。正直、自分が一番びっくりしています。まだ実感があまりないですね。

──ここが秀でていると思われている部分と、今回の移籍について家族はどう言っているのか教えてほしい

宇佐美　技術の面は通用するんじゃないかと考えています。ボールを持ったときのプレーには自信を持っているので、そこは通用すると思いますし、通用するように向こうへ行ってからもやっていきたいと思います。家族は、自分が海外へ行くことを全く止めませんでした。良いチャレンジだと思うから頑張ってこい、と背中を押してくれました。

──ドイツでの生活について、代表選手の誰かに話を聞いたり対策はしているのか？

宇佐美　それは特にありません。向こうに行ってからでないと分からない部分があると思いますし、聞いているだけでは感じられないというか、行ってから吸収していければいいと思います。結構どこでもやっていけると思っています。今までいろいろ厳しい環境のところに行きましたけど、全く苦にならなかったので、問題にはならないと思います。

──今回の移籍は欧州での第一歩となるが、最終的な目標はどのようなものか？

宇佐美　バロンドール（世界年間最優秀選手賞）を獲るという目標は持っています。バイエルンでスタメンを勝ち取り、主力になれれば、そういうチャンスはあると思うので、バロンドールを目指していきたいと思います。

──１年目の具体的な目標を教えてほしい

宇佐美　試合に出ることですね。できるだけ多くの試合に出ることだけを考えて。最初からロッベンやリベリーに対して、負けを認めたくないというのはあります。あがいて日ごろから練習でアピールして、チャンスを得られるようにやっていきたいと思います。

──来年にはロンドン五輪があり、自身も「自分にとって大切な大会」だと言っていた。海外に行くと招集も難しくなることもあるかと思うが、どのように考えているか？

宇佐美　自分が行きたいと思っても、選ばれなければ行けないので……。目指す気持ちはあります。

──先ほど金森社長から、海外の選手の活躍に奮起されたのではないかという話があったが、宮市のような同年代の選手の海外での活躍をどう見ていたか？　また、これまで育ててくれたＧ大阪というクラブへの思い、サポーターへの気持ちを教えてほしい

宇佐美　宮市選手だけじゃないですけど、若い選手が欧州に行っていたのは刺激になりました。海外に行ってどんどん成長しているのを見ていると、自分もそういう環境に入っていって成長したいと思うようになりましたし、負けていられないという気持ちもわいてきました。
　ガンバに対しては、中学生のころからお世話になっていますし、本当に育ててもらったクラブなので、シーズン中に出るというところが一番悩みました。チームに迷惑をかけてしまうんじゃないかっていう思いもあったのですが、自分が夢とか目標を持って、そういう目標にチャレンジしていかないといけないというのがあって決断しました。ガンバで育った自分が向こうで活躍することによって、世界の目がガンバに向けば、それも１つの恩返しになると思いますし、そういう思いを持ってドイツで頑張りたいと思います。

──金森社長にお聞きしたい。「ガンバの至宝」と呼ばれる選手を出すにあたって、１年早まったことについて考えているか？

金森社長　先ほどの宇佐美選手の「ドイツで活躍することがガンバへの恩返し」ということを言えるようになったことで、もう欧州で活躍する資格はありますよね。僕はこういう言葉を聞きたかった。いろいろな方々に対する気持ちをいつも大切にしていく、先ほどからそういう話を聞いていて、彼は欧州で活躍するだろうと思ったし、資格があると感じました。これがわたしの回答です。

＜了＞