2戦連続の快走! 可夢偉、トップチーム移籍の可能性は!?=F1 

田口朋典

一時は2位までポジションアップ

ウエットコンディションの中で2位まで順位を上げた可夢偉 【Getty Images】

 2週間前のモナコでわれわれをあっと言わせた小林可夢偉(ザウバー)が、再びカナダでF1ファンを魅了した。日本では深夜から早朝にかけてのライブ中継にくぎ付けとなり、月曜は寝不足となった方々も多いことだろう。

 事前の雨の影響でセーフティカー(SC)スタートとなった2011年F1世界選手権第7戦カナダGP。序盤、13番グリッドから臨んだ可夢偉は、するするとポジションアップを果たし、トップ10圏内に進出。路面が乾いてきたことを受けて、タイヤをインターミディエイト(ドライタイヤとウェットタイヤの中間)に履き替えるためにピットインするマシンが続出する中、コース上に居残った可夢偉はさらに上位へと進出。ジェンソン・バトンとルイス・ハミルトンの同士打ちという、お粗末なマクラーレン勢の後退があった上、雨脚が突如強まり、レースは赤旗中断。この時点では、なんとセバスチャン・ベッテル(レッドブル)に次ぐ2番手につけていた。

 赤旗中断は、なんと約2時間にもおよんだ。この段階でレースが終了となっていれば、ハーフポイントながら可夢偉は2位を得られたわけで、それを望んだファンは多かっただろう。だが、雨は徐々に回復の兆しを見せ始め、レースは再開。バトンがファイナルラップでベッテルをかわして逆転優勝という劇的な結末とともに、終盤でタイムを落とした可夢偉は7位でフィニッシュし、初表彰台は彼の手から滑り落ちてしまった。

非力なマシンで見せた可夢偉の可能性

 無論、可夢偉の表彰台を見たかったのは筆者も同じだ。ザウバーというチームとマシンのパフォーマンスを考えれば、千載一遇のチャンスであったことも間違いはない。長い中断の間、このまま終了して可夢偉に2位をという思いもあった。しかし、一方でマシンの格差が大幅に減り、ドライバーのポテンシャルが如実に現れる悪条件の中で、トップチームのドライバーたちと渡り合う可夢偉の姿をもっと見たいとも願っていた。それは、いつか可夢偉が“勝てるマシン”を手にしたときの戦いぶりを連想させてくれたからだ。

 再開後、ミハエル・シューマッハ(メルセデスGP)の後塵(こうじん)を拝する51周目まで、可夢偉はフェリペ・マッサ(フェラーリ)と攻防を繰り広げるなど、2位に居座り続けた。最終的に7位、6ポイントを得るに留まったことは、表彰台への期待が大きかっただけに、可夢偉にとってもザウバーにとっても複雑な思いはあっただろうが、見る側としては充分、可夢偉の奮闘をたん能させてもらった感がある。

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著者プロフィール

1966年生まれ。大学卒業後、趣味で始めたレーシングカートにハマり、気がつけば「レーシングオン」誌を発行していたニューズ出版に転職。隔週刊時代のレーシングオン誌編集部時代にF1、ル・マン、各種ツーリングカーやフォーミュラレースを精力的に取材。2002年からはフリーとなり、国内外の4輪モータースポーツを眺めつつ、現在はレーシングオン誌、オートスポーツ誌、CG誌等に執筆中。自身のブログ“From the Paddock”(スポーツナビ+ブログで)では、モータースポーツ界の裏話などを披露している

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