黄金期のフィリーズに立ちはだかるチームは?=MLBナショナルリーグ見どころ
優勝候補フィリーズに不安要素も
フィリーズはリーグを代表する左腕、クリフ・リー(写真)をオフに獲得。リーは09年以来のフィリーズでのプレーとなる。 【Getty Images】
しかし、アメリカンリーグの大本命レッドソックスほどのチーム力があるとは思えない。開幕直前にはオープン戦で精彩を欠いていたクローザーのブラッド・リッジが右肩痛でDL(故障者リスト)入りとなり、不安要素のひとつだったブルペンに大きな穴が空いてしまった。また、攻撃面でも3番のチェイス・アトリーがひざを痛め、長期欠場も視野に入れなければならない状態だ。選手層の厚さからみてフィリーズ有利は揺るがないが、他球団にチャンスが広がり、面白い展開になるのは間違いないだろう。
ブレーブスが東地区の対抗馬
昨年ひざの手術を受けたチッパー・ジョーンズがカムバックする打線には、4年連続30ホーマーのダン・アグラが補強されてスケールアップ。さらに、2年目を迎えた伸び盛りのジェーソン・ヘイワードに加えて、同じ21歳の同期フレディー・フリーマンがデビューする。こうしたタレントをフレディ・ゴンザレス新監督がまとめあげることができれば、打倒フィリーズは現実のものに近づくだろう。
パワフルなマイク・スタントンに注目が集まるマーリンズはバランスが取れてきたが、手薄なブルペンが命取りになりそうだ。メッツは身売り問題もあり、チーム内部がガタガタ。戦力不足のナショナルズへの期待は豪腕スティーブン・ストラスバーグが復帰し、2010年ドラフト全体1位指名の超大物、ブライス・ハーパーがデビューする来年以降ということになる。
中地区は古豪復活を遂げたレッズに注目
昨季105マイル(約169キロ)を出したチャップマン(写真)が所属する古豪レッズが復活 【Getty Images】
現役最強打者アルバート・プホルス率いるカージナルスは、20勝投手のアダム・ウェインライトがトミー・ジョン手術(側副じん帯再建手術)でシーズン全休、致命傷になりそうだ。むしろ、積極的な戦力補強をしたブルワーズにチャンスがあるだろう。移籍のサイ・ヤング投手、ザック・グリンキーはDLで開幕を迎えるが、2週間程度で戻れる見通し。先発陣がそろえば、斎藤隆が加わったブルペンと合わせて地区最強の投手陣になるかもしれない。打線はプリンス・フィルダーとライアン・ブラウンの左右2枚看板に、29ホーマーのリッキー・ウィークスがいる。投打ともかなり充実したチームになっている。
福留孝介所属のカブス、アストロズは駒不足。万年再建チームのパイレーツは、今年も指定席の最下位脱出を目指す。
西地区は王者ジャイアンツが厳しい戦いか
2年目を迎えたバスター・ポージーが中心になる打線の頑張りが必要とされるが、巧打者はいても強打者に乏しい。昨年のように、日替わりのヒーローが出てこないと、厳しい戦いを強いられることになる。
面白い存在なのは、トロイ・トゥロウィツキーとカルロス・ゴンザレスが打線の中核を担うロッキーズだ。どのチームより爆発力がある。終盤の追い上げも、いまやお家芸だ。黒田博樹が所属するドジャースは打線に不安があり、今年も投高打低チームから脱却できそうもない。パドレスは主砲エイドリアン・ゴンザレスが抜けて、ドジャース以上の投高打低では勝ち目がない。ダイヤモンドバックスはケビン・タワーズ新GMのもと、チーム作りに着手したばかりで、上位進出も難しそうだ。
結局のところ、本命のフィリーズは変わらないが、下馬評のように圧倒的な強さがあるとは思えない。ブレーブス、レッズ、ブルワーズ、ジャイアンツ、ロッキーズまではリーグ優勝の可能性は十分にあるだろう。
<了>
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