C大阪、初のACL挑戦に立ちはだかる壁=今、自分がいる場所で、やるべきことを

小田尚史

ACLでの挑戦をあっけなく終わらせないために

山東魯能戦のキックオフ前、東日本大震災の犠牲者に黙とうをささげるC大阪イレブン 【写真は共同】

 メンタル面での不安定な状況に、かみ合わない攻撃陣――。今後の巻き返しに向けては険しい要素が並ぶが、ACLは短期決戦であり、立ち止まっている暇はない。中国から帰国した翌日の18日も、チームはさっそく紅白戦で汗を流した。レヴィー・クルピ監督は「山東魯能戦は残念な結果。ノーマルなプレーを見せたのは、2、3人くらいだった。大災害の影響が、無意識のうちにあったのかもしれない」と、選手の心理面に言及しつつ、「チームとして機能していない部分もあった。連係を高めるには実戦を重ねることだが、改善されないようなら、メンバーやシステムの変更もあり得る」とコメント。チームパフォーマンスそのものに課題があったことも認めた。

 だが、「実戦を重ねること」と言っても、依然としてJリーグ再開のめどは立っていない。グループリーグ突破に向けて大一番となる、来月の全北現代モータースとのホーム&アウエーを前に、公式戦を重ねながら課題を修正することができない可能性もある(そもそも、ACLの日本のホーム試合の開催自体も不透明なのだが……)。コンディションや集中力も保ちづらい状況だ。しかし、来たる日に最高のパフォーマンスを発揮するために、今ここで気持ちを落としてはならない。

「幸い、大阪は被害がない。今、自分たちがサッカーをやれている状況に感謝しないといけない。それぞれが、自分の持ち場でベストを尽くすことが大事」(茂庭照幸)
「Jリーグが中断されているのは仕方がない。公式戦がなくても、気持ちを切らさず練習から集中する」(高橋大輔)
「今できることは、試合に向け、とにかくしっかりと準備をすること」(播戸竜二)

 経験豊富なベテラン選手を中心に、チームは懸命に意識統一を図っている。クラブにとって初挑戦となる今回のACLをあっけなく終わらせないために、「1人ひとりが、やれることを一生懸命やる」(クルピ監督)姿勢が求められている。

「普段通りにサッカーと向き合っていく」

「今、この状況でサッカーをやっていていいのかなという思いと、今だからこそ、サッカーができる環境にある自分たちが率先してやらないといけない。そんな2つの気持ちがあります」
 小松塁は、率直な胸の内をこう述べた。

 3月下旬、災害の影響がほとんどない西日本のクラブを中心に、被災地への復興支援を目的としたチャリティーマッチが続々と企画され始めている。C大阪は3月26日、西京極スタジアムで京都サンガF.C.と慈善試合を行うことが決まった。

「サッカーが社会に貢献できる側面もある。ノーマルな状態にあるチームや選手は、活動を止めてはならない。活動をストップせざるを得ないクラブのためにも、われわれは、普段通りにサッカーと向き合っていく」

 クルピ監督はこう述べ、ピッチから日本を鼓舞していく考えを示した。フットボールライフが当たり前に存在する日々を取り戻すには、相当の時間を要するかもしれない。フットボールよりも前に、すべきことがあるのかもしれない。しかし、サッカーを生業(なりわい)とする選手たちは――少なくとも筆者が取材し、じかに見ているC大阪の選手たちは――淡々と懸命に汗を流し、状況が整ったしかるべき時に、大勢のサポーターの前で素晴らしいプレーを見せることに必死になっている。今、自分がいる場所で、やるべきことをやる。その1つひとつの思いを全体の力に変え、復興への足掛かりにしていくしかないのだと思う。

<了>

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著者プロフィール

1980年生まれ。兵庫県出身。漫画『キャプテン翼』の影響を受け、幼少時よりサッカーを始める。中学入学と同時にJリーグが開幕。高校時代に記者を志す。関西大学社会学部を卒業後、番組制作会社勤務などを経て、2009年シーズンよりサッカー専門新聞『EL GOLAZO』のセレッソ大阪、徳島ヴォルティス担当としてサッカーライター業をスタート。2014年シーズンよりC大阪専属として、取材・執筆活動を行なっている。

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