斎藤佑、春の“再試合” ダルビッシュはノーヒットノーラン プロ野球選手たちのセンバツを振り返る
2006年春にも引き分け再試合を経験した斎藤佑樹(左) 【写真は共同】
早実・斎藤が231球の熱投
雨の中プレーボールとなった早実高対関西高の対戦は、延長15回を戦っても決着はつかず、7対7の引き分け再試合となった。
早実高の先発は斎藤佑樹(現・北海道日本ハム)、関西高はエースのダース・ローマシュ匡(現・北海道日本ハム)ではなく、中村将貴が先発した。先攻の早実高は、3回に先制を許したものの5回に逆転すると、小刻みに得点を重ねて9回表終了時点で7対4とリード。勝利は目前に迫っていた。ところがその裏、失策と2死球で満塁のピンチをつくると、続く打者に三塁打を許し同点に。それでも斎藤はサヨナラは許さず延長戦に突入。6回1死から登板したダースとの投げ合いは決着がつかず、延長15回規定により引き分け再試合となった。翌日に行われた再試合では、早実高が2対3と1点ビハインドで迎えた9回に2点を奪い逆転。前日に231球を投げた斎藤は3回からマウンドに上がり、5回にソロ本塁打を放つなど、投打に活躍を見せて8強入りを果たした。
東北・ダルビッシュがノーヒットノーラン
東北高のエース・ダルビッシュ有(現・北海道日本ハム)が大会史上12人目、10年ぶりとなるノーヒットノーランを達成した。
“前年夏準優勝投手”という看板を引っさげて、初回のマウンドに上がったダルビッシュ。先頭打者を三失で出すが、犠打を狙う2番を三邪飛に打ち取ると、3番・4番を2者連続三振に仕留めてピンチを脱した。3回からは6者連続で三振を奪うなど、9回を投げて12奪三振。球速は最速147キロをマークした。
一方、敗れはしたものの、熊本工高の岩見優輝(現・広島)は、東北高打線を9回・4安打・2失点(自責点は0)、4回以降はノーヒットに抑える好投が光った。1回戦から見応え十分な投手戦を繰り広げた東北高は、この後準々決勝で福井優也(現・広島)を擁する済美高に6対7でサヨナラ負け。ダルビッシュはこの試合でマウンドに立つことなく、甲子園を去ることとなった。
横浜、涌井−成瀬のリレーも実らず準優勝
甲子園でも安定した投球を披露していた横浜高の2枚看板が、決勝で突如乱れた。決勝までの4試合で計7失点、2完封。全試合でエース・成瀬善久(現・千葉ロッテ)が先発。そのうち3試合は2年生の涌井秀章(現・埼玉西武)が救援として好投するという、抜群の継投を見せていた。
ところが、決勝戦の先発マウンドに上がったのはエースではなく、リリーフ投手の涌井だった。成瀬は左手人さし指のつめを割り先発を回避。緊張が見える涌井に対し、広陵高打線が初回から容赦なく攻め立てる。涌井は3回3分の2を投げて9安打6失点でノックアウト。成瀬に交代しても、失った流れをたぐりよせることはできなかった。結局、20安打を許して大敗した。
3季連続でエースとして甲子園に臨んだ広陵高・西村健太朗(現・巨人)は、9安打ながらも3失点に抑えて頂点をつかんだ。両チーム合計29安打、18得点は、ともに決勝での大会最多記録を塗り替えた。
<了>
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