王国ブラジルの威信回復のために=ブラジル代表マノ・メネーゼス監督インタビュー

選手たちには自由に、試合を楽しむ感覚を取り戻してほしい

メネーゼスはブラジル代表でどういうサッカーを実現するのか 【Getty Images】

――ここ20年ほどで、ブラジルサッカーはヨーロッパへの選手輸出国へと変容した。80年代までは自国でプレーする選手がほとんどだった。こうした変化が、ゲームシステムにおける選手のメンタリティーを大きく変えただろうか

 そう思うね。選手たちが欧州でプレーするようになったことで、あらゆることが変わった。仕事のやり方すらね。選手たちは現在、ほぼ1年中ヨーロッパにおり、複雑な戦術システムや規律に慣れている。だから、われわれブラジル代表もこうした状況に順応し、テクニックや戦術を発展させなければならない。場合によっては、世界のトレンドをキャッチアップすることが必要だ。

 また幸いにも、われわれ代表チームは選手たちと良好な関係を築いている。実際、手術を受けたり、メディカルケアが必要な場合、所属チームのドクターよりも先に、代表付きのドクターに見てもらうことを好む選手が多い。ブラジルの選手たちは自国のシステムに信頼を置いている証しでもある。

――あなたの指揮下でブラジルのシステムはどのようになる

 選手たちには自由に、試合を楽しむ感覚を取り戻してほしい。ブラジルの人々が望むようにね。戦術は選手がプレーするにあたり、問題解決を助けるよりどころのようなものであるべきだ。時が経てば、次第に慣れるようになる。だからこそ、わたしはこの機会に国内リーグ、海外リーグを問わず、若い選手たちを招集したのだ。興味があるのは選手の資質であって、どこでプレーしているかはあまり関係ない。先入観は持ちたくないと思っている。

アルゼンチンとの試合に“フレンドリーマッチ”は存在しない

――今回のアルゼンチンとの親善試合の位置付けは

 われわれの現在地を確認するために大切な試合だが、今回は、特に何か重要な意味を持たせようとは思っていない。とはいえ、アルゼンチンとの試合に“フレンドリーマッチ”というものは存在しない。ブラジルとアルゼンチン双方にとって有益な試合となるだろう。今回も含めて、2試合行うことで合意している。

――11年コパ・アメリカの組み合わせ抽選会の結果は、ブラジルにとって厳しいものだったのでは? パラグアイ、エクアドル、ベネズエラと同じグループに入った

 各組ともバランスが取れていると思う。グループBでは、ブラジルとパラグアイはエクアドル、ベネズエラより一段階上にいると考えている。だが、過信は禁物だし、ハードワークしなければならない。ブラジルは常に優勝候補であることを義務付けられているのだから。

――あなたはソーシャルメディアをうまく利用していると言われる。実際、ツイッターやフェイスブック(ソーシャル・ネットワーキング・サイト)などを使っている

 ああ、こうしたコミュニケーションメディアが好きなんだ。それに、こうしたある意味でメディアのような仕事はやっていて楽しいんだよ。

<了>

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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