新生ヒートは“ビッグ3”かみ合わず黒星発進=NBA2010−11シーズンが開幕
レブロン「ローマは一日にして成らず」
全米の注目を集めたNBA開幕戦。(左から)ボッシュ、ジェームズ、ウェードのビッグ3を擁したヒートはセルティックスに敗れた 【Getty Images】
そして10月26日(日本時間27日)、ついにその日がやってきた。新生ヒートを一目見ようと、ボストンのTDガーデンに1万8624人の観客が詰めかけた。米国内だけで500万世帯以上がヒート対セルティックスの試合にチャンネルを合わせ、その視聴率はケーブル局で放映されたNBAレギュラーシーズン試合としては史上最高を記録。会場の雰囲気も、まるでNBAファイナルが行われているかのように盛り上がった。
しかし実際に試合が始まると、コート上のヒートはスーパーチームにはほど遠かった。ビッグ3はまったくかみ合わず、外からのシュートも入らず、第1クオーターはわずか9点に終わった。試合を通してのフィールドゴール成功率はわずか36.5%で、ジェームズとウェードの二人で計14本ものターンオーバーを犯した。後半に入ってジェームズの活躍で点差を詰め、試合残り1分余には3点差まで追い上げたとはいえ、期待されたスーパーチームにはほど遠い姿をさらけ出した。80−88で敗れた後、ジェームズは「ローマは一日にして成らずだというのはわかっていた」と語った。
ヒートのヘッドコーチ(HC)エリック・スポエルストラも言う。
「これはプロセス(過程)だ。まだパニックするときではない」
偶然だが、セルティックスのドック・リバースHCも、試合前のロッカールームでのスピーチで、同じ“プロセス”という言葉を使っていた。
「これはプロセスだということを理解する必要がある。6月までに私たちはきょうよりいいチームになっている。しかし、きょうの時点でどこが相手でも勝てるだけの力はあるはずだ」
開幕戦の魅力は“未完成の楽しさ”
とはいえ、開幕戦はそれでいいのだとも思う。最初から完ぺきな試合をしてしまっては面白くない。シーズン終わりに向けて成長の余地があるからこそ、戦いがいもあるし、ファンにとっても見る楽しみができる。開幕戦の最大の魅力は“未完成の楽しさ”なのだ。この後、6カ月近くをかけてどこまで理想のチームに近づけるのか、その夢を楽しむ日でもあるのだ。
翌日、NBAデビュー戦(※)で20得点、14リバウンドの活躍をみせたロサンゼルス・クリッパーズのブレイク・グリフィンが試合後に、いみじくも言った。
「この試合を実際以上に大げさに考えたくない。これは生きるか死ぬかの状況だったわけではなく、最初の試合に過ぎないのだから」
<了>
※2009年のドラフトで全体1位指名を受けるも、昨季は故障で全休した。
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