東海大・菅野、「意識した」ノーヒットノーラン=全日本大学野球選手権リポート

松倉雄太

154キロを2度計測も自己採点は「80点」

 全日本大学野球選手権準々決勝が10日、神宮球場で行われ、第1試合では東海大のエース・菅野智之(3年=東海大相模高)が同大を7回コールドの参考記録ながら無安打に抑える快投。7対0で破り2年ぶりの準決勝進出を決めた。

 最後まで打たれる予感を感じさせなかった。7イニングを98球で10奪三振、同大打線は手も足も出なかった。
「朝起きたときは体が重たくてどうなるか」と不安を感じていた菅野。しかし、いざマウンドに上がると「いい感じで投げられた」と適度に力を抜いた投球が生きて、「140キロに満たない球でも空振りを取ることができた」。三振の山を築いたキレのいいボールに、昨秋の大学日本代表でバッテリーを組んだ経験がある同大の5番・小林誠司(3年=広陵高)も「予想以上だった」と言わしめたほど。中盤以降はスピードも乗り出し、154キロを2度計測。味方打線の大量援護もあってスイスイと投げてノーヒットピッチングが完成した。

 菅野にとって今春は少しだけ苦い思い出がある。首都大学リーグの武蔵大戦で完全試合を逃したことだ。「あの時は意識しないでおこうとしたが、7回途中で打たれてしまった」と振り返る。だからこそ今日は「思い切り意識しました」と狙っていたことを明かした。7回に味方が7点目を取り、参考記録になってしまったことについては、「それは個人的なことで、チームのためにはコールドで良かった」と意に介さなかった。
 快投を演じても、「死球などいらない走者を出してしまった。今日は80点です」とまだまだ納得していない様子で、「今日のことはこれで終わり。また次にしっかりと投げていいピッチングをしたい」とあくまでも謙虚に話した。2001年以来、9年ぶりの頂点へ向け、まずは準決勝の慶大戦に挑む。

<了>
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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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