天龍、12年ぶり復活の6人タッグ王座獲りに失敗

高木裕美

天龍組は惜しくも敗れ、王座獲りに失敗。試合後、高山が天龍を自身の“指名打者”にすることを宣言 【t.SAKUMA】

“ミスタープロレス”天龍源一郎がプロデュースする「天龍プロジェクト」第2弾興行「NEXT REVOLUTION」が9日、東京・新宿FACEで行われ、400人を動員した。 
 天龍プロジェクトは4月19日に旗揚げされ、同所を拠点に隔月ペースで興行を開催。次回大会は8月25日に決定した。
 メーンイベントではWAR世界6人タッグ王座が「天龍プロジェクト認定世界6人タッグ王座」に名称を変えて12年5カ月ぶりに復活。天龍が北原光輝、百田光雄と組んで、高山善廣、関本大介、後藤達俊組と対戦した。

高山が天龍を“指名打者”に

還暦超えが2人、2年ぶりのリングが1人の天龍組は劣勢を強いられるも健闘 【t.SAKUMA】

 WAR世界6人タッグ王座は94年に誕生し、WARの看板タイトルとしてUWFインターとの団体対抗戦などでも争われたが、98年1月、第15代王者であった北尾光覇、平井伸和、望月成晃組が初防衛に成功した後、WARの崩壊に伴い封印されていた。
 今回の王座復活に伴い、ザ・グレート・カブキがタイトル管理責任者に就任。また、天龍のアイデアにより、「プロレス界のDH制」という新ルールも採用され、タッグ王者チームのメンバーを1人だけ“指名打者”との選手交代が認められることになった。

 チームの“リーダー”を務める関本が1日限定で金髪ヘアで登場し、金髪軍団を結成した若手チームに対し、2人は還暦を超え、1人は約2年ぶりのリング復帰という天龍組はいきなりの奇襲攻撃を食らい早くも劣勢に。開始早々、天龍が5分以上に渡るローンバトルを強いられ、高山のヒザ蹴り、後藤のバックドロップ、関本のチョップなどを浴びせられる。
 しかし、天龍のタッチを受けた百田が打たれ強さを発揮し、北原が得意のキックで活路を切り拓くと、関本を標的に定め、天龍のグーパンチ&チョップ、ラリアット、百田のバックドロップ、北原のラリアットの連係がズバリ。しかし、後藤のカットにあい3カウントは奪えず。逆に北原が高山のバックドロップから関本のフライングボディープレスを食らってマットに沈んだ。

 試合後、天龍が掲げた「プロレス界のDH制」ルールにのっとり、かつてゴールデンカップス時代に戴冠経験のある高山が「オレは忙しいからやってくれよ」と自分の“指名打者”として天龍を指名。高山に「必ず金髪だからな」という前置きと共にベルトを手渡された天龍は「まさか自分の身に降りかかるとは夢にも思わなかった。これから家族相談します」と、負けてベルトを持つという事態に困惑しながらも、「敗れはしたけど、この3人で組めてよかった」と百田、北原と手を取り合い、このチームでの未来のリベンジを誓った。

IJ新王者となったシャークにHIROKIが挑戦表明

シャークが望月との激戦を制し、IJ新王者に輝いた 【t.SAKUMA】

 セミファイナルでは前回大会でIJ王者に返り咲いた望月成晃にタイガー・シャークが挑戦。「このベルトは墓場まで持っていく」と永久王座を誓っていた望月からシャークがベルトを奪い取った。
 望月は前回の旗揚げ戦でDRAGON GATEの横須賀享、谷嵜なおきと3WAYマッチで対戦。谷嵜をツイスターで倒し見事王座返り咲きに成功すると、試合後にHIROKI、プロモジェル、ブラックシャドー、タイガーシャークの4人が次期挑戦者に名乗りを上げたため、「誰の挑戦でも受ける」と受けて立つことを宣言。タイトル後見人である百田が「格闘技色の強い戦いができる相手」とタイガーシャークを挑戦者として直接指名したことから、今回のタイトルマッチが実現することになった。

 シャークは望月をドロップキック連打で場外へ落とし、プランチャを見舞うなど序盤から闘志全開。望月は足4の字固め、ニークラッシャー、ローキックなどでシャークの左足を徹底的に狙うも、シャークはこの強烈な攻めに屈することなく、ツームストン・パイルドライバーでダメージを与え、シャーク・デス・バイ・ロックII(変形羽根折リ固め)で望月からベルトを奪い取った。
 試合後、前回の旗揚げ戦でのベルト挑戦を志願していたHIROKIが再びリングに上がり、「そのベルトはオレの方が似合ってる。挑戦させろ」とアピールすると、シャークも「やってやる」と呼応し、17日のリアルジャパン・後楽園ホール大会での初防衛戦を平井代表に直訴。初めて手に入れた栄冠を握りしめ、「リアルジャパンの本当の強さを見せる」とベルト死守を誓った。

西口勢が今後の継続参戦を熱望

西口勢が初登場、野次が飛び交うなか、お笑いプロレスを貫く 【t.SAKUMA】

「安全第一」をモットーとする西口プロレス勢が天龍プロジェクトのリングに初登場。アントニオ小猪木が見た目が邦彦と組んで、ジャイアント小馬場、ユダン・ハンセン組と対戦した。
 小猪木は5.31西口DXプロレス・渋谷O−EAST大会で天龍と一騎打ちを行った際、容赦ない張り手や逆水平チョップ、グーパンチを何発も食らい、衝撃で歯が内側から欠けた上にレフェリーストップ負け。しかし、その体を張った戦いが天龍に評価され、天龍プロジェクトへの出場を認められた。

 会場実況を東京ペールワンの2人が行い、ポーク林レフェリーが試合を裁くいつもの西口スタイルに対し、天龍ファンの観客からは「プロレスをナメるな」「真面目にやれ」といった厳しい野次も飛ぶ中、小猪木たちは心が折れることなくあくまでお笑いプロレスを貫き、見た目がのダイビングフットスタンプから小猪木が延髄斬りでユダンのカツラを吹っ飛ばして勝利を収めた。
試合後、小猪木はリング上からちゃっかり6.29西口プロ・新宿FACE大会を宣伝し、「小1、小2、小3、ダァーッ!」で大会を中締め。天龍戦で折れた歯の治療を明日に控えて試合に臨んだ小猪木は「僕らが試合をすることで逆にプロレスのすごさを見せたい。天龍さんの歴史を応援してきた皆さんの中に、自分たちの色を付け加えていけたら」と、今後も同大会への継続参戦を熱望した。

天龍プロジェクト「NEXT REVOLUTION」

6月9日(水)東京・新宿FACE 開場18:00 開始19:00

<メーンイベント 天龍プロジェクト認定世界6人タッグ王者決定戦>
天龍源一郎(天龍プロジェクト)、百田光雄(フリー)●北原光輝(フリー)
(15分55秒 フライングボディープレス→体固め)
高山善廣(高山堂)、○関本大介(大日本プロレス)、後藤達俊(フリー)
※高山組が初代王者

<セミファイナル インターナショナルジュニアヘビー級選手権試合>
●[王者]望月成晃(DRAGON GATE)
(15分26秒 シャーク・デス・バイ・ロックII)
○[挑戦者]タイガー・シャーク(リアルジャパンプロレス)
※第14代王者が初防衛に失敗、シャークが第15代王者

<第3試合 タッグマッチ>
見た目が邦彦、○アントニオ小猪木
(9分20秒 延髄斬り→体固め)
●ユダン・ハンセン、ジャイアント小馬場

<第2試合 タッグマッチ>
○井上京子(フリー)、金村キンタロー(XWF)
(12分30秒 パワーボム→片エビ固め)
●植松寿絵(フリー)、吉江豊(フリー)

<第1試合 シングルマッチ>
●折原昌夫(MOBIUS)
(9分41秒 消火器使用→反則)
○ヘイト(全日本プロレス)
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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