豪州No.1が導いた! ジャガーメイル悲願の盾=天皇賞・春

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6歳にして咲いた遅咲きの大輪、古馬の新エースへ

古馬の新エース・ジャガーメイル、さらなる活躍に期待がかかる 【スポーツナビ】

 また、この日の馬体重はマイナス8キロ。このシェイプアップも大きかったと、トレーナーは語る。
 「去年の秋から馬体が充実してきたんですが、その分、なかなか体が絞れなくなっていました。去年の香港でも本当はもうちょっと絞りたかったぐらいで、今回の馬体重を見て、今日は切れる脚が使えるなと思いました」

 6歳を迎えて馬体が完成の域に入り、それに伴っての素質完全開花。3歳にして日本ダービー、ジャパンカップ制覇と頂点に立った父ジャングルポケットとは一味違う、遅咲きの大輪を咲かせている。堀調教師は次戦、また今後のローテーションについて「まずは馬の様子を見てからになりますね」と明言を避けたが、「オーナーと相談して色んな選択肢の中から、一番いいところを使いたい」と語っているように、夏の大一番GI宝塚記念、または秋GI戦線へ向けてどのような進路を踏んだとしても、古馬の新エースとして大きな期待が持てそうだ。

 もちろん、ジャガーメイルの可能性はこれまでの国際GI香港ヴァーズで3着(08年)、4着(09年)の奮闘があるように、国内にとどまるものではない。ウィリアムズがこの時ばかりは満面の笑みで1つの“リクエスト”を送った。
 「ぜひメルボルンカップに来てほしい! 今日のような馬場だったら絶対にチャンスがあります。その時はぜひ騎乗したいですね」
 重賞未勝利馬から一躍“日本の顔”にジャンプアップしたジャガーメイル。王者の証しとなった豹の鎧を身にまとい、目指す次の戦場はいずれになるのか。

マイネルキッツ悔しさは秋の豪州で晴らす!

無念の2着……連覇ならなかったマイネルキッツは秋の目標を豪州のメルボルンCに 【スポーツナビ】

 「いやあ、悔しいなぁ……」
 レース後、周りを囲んだ記者陣の前では冷静に振舞っていた松岡だったが、11レースの騎乗馬を待つ間、ポツリとこうつぶやくと、何度も悔しげな表情をにじませた。
 競馬自体は完ぺきだった。好スタートからサッと2番手を取りに行くと、リズムよく軽快にラップを刻んでいく。
 「前回(日経賞)も最初から押していったので、今回は思っていた通りの競馬ができました。いいリズムでした」
 近走は追走に苦労し、後方からの競馬が指定席となっていたマイネルキッツ。だが、そこまで切れる脚を持っていない同馬にとって、瞬発力が必要な京都での後方一気では分が悪い。それを見越して松岡は、日経賞ではスタートから積極的に前を取りに行かせた。結果的に行き脚がつかず、日経賞も後方からの競馬となったものの、この松岡の“教え”が功を奏しこの日はスッと番手をキープ。「上がりの速い競馬は嫌だったので」と、教科書どおりの“王者の競馬”を展開してみせたのだったが……。

 「まあ、仕方ない。でも、GI馬にふさわしい走りをするようになったよね」
 一方、国枝栄調教師はさばさばとした表情でレースを振り返ると、肩を落とす松岡をねぎらった。この後はGI宝塚記念をパスし、リフレッシュ休養を経て、秋にはオーストラリア競馬の祭典GIメルボルンカップ(11月2日、フレミントン競馬場3200メートル芝)を目指すことになる。
 「ひと息入れてから向こう(オーストラリア)に行くことになると思います。まだ正式には決まっていませんが、前哨戦から使うことになると思いますね」
 オーストラリア騎手にやられた分の借りはオーストラリアで返そうと、松岡は早くもやる気満々。メジロマックイーン(1991年〜92年)、テイエムオペラオー(2000年〜01年)に続く史上3頭目の春の盾連覇の快挙こそ逃したが、この日の走りでもう誰もマイネルキッツをフロック視するものはいないだろう。堂々の日本代表ステイヤーとして、天皇賞の悔しさの分まで南半球で大暴れを見せたい。

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