大阪体育大学レスリング部出身の総合格闘家・前薗渓 8日初のメインイベント「安定と夢の両立人生」

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 大阪体育大学レスリング部出身の総合格闘家、前薗渓選手(25)=吉田道場=が12月8日(日)、国内総合格闘技DEEPの「DEEP TOKYO IMPACT 2024 6th ROUND」(東京・ニューピアホール)で初めてメインイベントに出場する。これまでの戦績は7勝1敗。「タイトルマッチにつながるよう、何が何でも勝ちに徹して自分をアピールしたい」と意気込む。

【大阪体育大学】

 前薗選手は大阪・泉佐野市出身。大阪体育大学浪商高校では柔道部。大体大からレスリング部に所属。大学3年だった2020年の西日本学生選手権グレコローマン67キロ級で、体幹の強さを武器に、大体大としては姫路文博現監督以来20年ぶりの優勝を果たした。
 卒業後は、レスリングを続けず、普通に企業でサラリーマンをするつもりで、3年生の後半にいくつか内定をもらった。
 しかし、キラキラ輝く親友の姿をみて考えが変わった。大学時代は柔道部主将で、その後総合格闘技の道に進み、2024年度アマチュア修斗中国選手権大会で優勝した本松要選手だ。「本松君は『プロになる、なる』と言い続けていた。彼を見ていると、就活をしている自分に比べて輝いていた。自分もできるかなと思った」
 内定をもらった会社に断りの連絡を入れた。4年の4月から地元の格闘技道場の吉田道場に通った。格闘技だけでは、すぐには食べていけない。地元の小売・ネット販売の企業に、「総合格闘技でプロをめざしているが、それでもいいのだったら雇ってください」とありのままに告げて、就職した。
 卒業から5か月後の2022年8月、DEEPのフェザー級(65・8キロ)でプロデビュー。背後から首を絞めるバックチョークで1本勝ちした。フルタイムで倉庫管理や車のカスタムパーツの作業などをしながら吉田道場に通い、年3、4回試合をした。レスリングで鍛えたフィジカル面、パワーで優位に立つスタイルでDEEPでは7戦全勝。今年9月に初出場した国際団体「ONE」では、タイでの試合で韓国選手に判定負けしたが、「ONEは夢のような舞台。出場できたことが予想外だった」と前向きだ。
 12月8日の「DEEP TOKYO IMPACT 2024 6th ROUND」は10試合あり、前薗選手はファイナルで登場する。現在の目標は、もちろんベルトを巻くこと。フェザー級タイトルマッチで現王者の青井人(あおい・じん)選手に勝つことだ。挑戦者として認められるためには、戦績、知名度の双方が必要。メインイベントは夢に一歩近づく重要な場となる。
 進路を「普通のサラリーマン」から総合格闘家に変え、メインイベントまでたどり着いた前薗選手。大胆な人生にみえるが、「自分は正直、安定志向で、挑戦はできない性格だ」と明かす。「だから、就活で理解ある会社を見つけて、自分なりに安定の基盤を整えたうえで、挑戦できる環境を作りました」と振り返る。理詰めで合理的な「安定と夢の両立」なのだという。
 夢か安定かで悩む後輩に、「何か一つ自分で安心材料を作れたら、やりたいことを見つけ、挑戦ができる環境を作れると思う」とアドバイスを送った。
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