柴崎、宮市らプロ注目選手が覇を競う=JFAプリンスリーグU−18 2010 東日本編

安藤隆人

関東の両雄、FC東京U−18と横浜FMユース

昨年の高円宮杯決勝でハットトリックを決めた横浜FMの小野。今年のチームのエースを務める 【スポーツナビ】

 関東はJユースが好調だ。近年の関東を代表する存在であるFC東京U−18と横浜F・マリノスユースが、今年も関東を引っ張っている。FC東京U−18は昨年の主軸が多く抜けてしまったが、U−19日本代表のDF廣木雄磨松藤正伸を軸にした守備をベースに、安定した戦いを見せている。
 横浜FMユースの今年のウリはFW小野裕二とMF熊谷アンドリューの2枚看板だ。重心の低いドリブルと、ワンタッチ、ツータッチでのコントロールパスで、バイタルエリアで脅威の存在となる小野と、長短のキックを使い分け攻撃の起点となる熊谷のホットラインは破壊力十分。ここにFW高橋健哉、MF星広太とDF星雄次の双子や、守備の要・保田隆介らがアクセントを加える。今年もドリブルと流れるようなパスワークで崩していくアタッキングサッカーは健在で、関東の覇権奪還のチャンスの年となりそうだ。

 この2チームを浦和レッズユース、三菱養和SCユースが猛烈な勢いで追う。浦和ユースは昨年のメンバーのFW磯部裕基矢島倫太郎が攻撃の軸、U−19日本代表でトップチームにも帯同しているDF岡本拓也広瀬健太が守備の軸となり、攻守のバランスが非常に良いチームとなっている。特に岡本は1年生のころから主軸として活躍し、高いフィジカルコンタクトを生かしたボール奪取能力と、機を見た攻撃参加を武器に、センターバックだけでなくサイドバックもこなせる。昨年はU−17ワールドカップに出場、今年はすでにプロデビューを果たしており、これからが楽しみな逸材だ。
 三菱養和では昨年はけがでほぼ1年を棒に振ったFW田中輝希の復活に期待したい。名古屋グランパスを中心にJクラブがラブコールを送る田中は、開幕戦でチームファーストゴールを決めると、第2節でもゴールを決めており、ようやくエンジン全開。独特のステップワークから繰り出されるドリブルと、シャープなスイングから生まれる強シュートで、今年は全国のライバルを震え上がらせそうだ。

東海の注目はやはり中京大中京の宮市亮

 星稜王国だった北信越では早くも激震が走っている。開幕戦で日本航空石川を8−0で一蹴したが、第2節で富山第一に1−3の敗戦。早くも土がついてしまった。さらに“ストップ・ザ・星稜”の一番手だったアルビレックス新潟ユースも開幕戦で富山第一に0−2で敗れて以降は、2連勝しているが、厳しい戦いを強いられている。
 この激震の主役となっている富山第一は、昨年のディフェンスラインの大半が残り、エースストライカー・鈴木勇二が前線に君臨する。鈴木は昨年も3トップの頂点としてゴールを量産。爆発的なスピードを生かした裏への飛び出しで、今年もゴールを重ねそうな予感だ。星稜はけが人に苦しんでいる。しかし、守備の要・水谷練の離脱は痛いが、FW中野春樹、MF河浪啓介らのコンディションが上がってくれば、十分に巻き返せるだろう。

 東海地区に目を向けると、やはり中京大中京の宮市亮が際立つ。U−19日本代表の宮市は、180センチを越える長身だが、足元の技術が非常に高く、トップスピードの速さだけでなく、瞬間的な速さも併せ持つ。フィニッシュに行くまでのイメージをもっと増やすことができれば、世界に通用するプレーヤーになる可能性を秘めている。期待のスーパールーキーFW藤橋弘貴とのコンビは必見だ。
 名古屋グランパスユースも面白い。ジュニアユースから全国の頂点を見たメンバーが多く昇格し、1年生から名古屋の守備を支えるDF岸光ら3年生に対し、抜群の決定力を誇るFW高原幹ら1、2年生のタレントががっちりとかみ合えば、東海王者に返り咲く可能性は大いにある。

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著者プロフィール

1978年2月9日生まれ、岐阜県出身。5年半勤めていた銀行を辞め単身上京してフリーの道へ。高校、大学、Jリーグ、日本代表、海外サッカーと幅広く取材し、これまで取材で訪問した国は35を超える。2013年5月から2014年5月まで週刊少年ジャンプで『蹴ジャン!』を1年連載。2015年12月からNumberWebで『ユース教授のサッカージャーナル』を連載中。他多数媒体に寄稿し、全国の高校、大学で年10回近くの講演活動も行っている。本の著作・共同制作は12作、代表作は『走り続ける才能たち』(実業之日本社)、『15歳』、『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、『ムサシと武蔵』、『ドーハの歓喜』(4作とも徳間書店)。東海学生サッカーリーグ2部の名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクター

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