春高バレー、20日開幕! 男女の注目校は!?=見どころ

田中夕子

いよいよ20日に開幕する、第41回春の高校バレー。今年はどのような激戦が繰り広げられるのだろうか 【Photo:築田純/アフロスポーツ】

 3月20日から26日までの7日間、東京代々木第一体育館にて「第41回全国高等学校バレーボール選抜優勝大会(以下、春高バレー)」が開催される。来年度から、開催時期が1月に、会場は東京体育館へ変更されることが決まっており、1、2年生のみが出場する従来の「春高」は今回が最後となる。
 最後の「春」を制し、メモリアルタイトルを手にする高校は、一体どこなのか。

東の横綱・東洋、西の横綱・鎮西

東洋のエース、柳田将洋 【坂本清】

 男子の優勝候補筆頭と呼び声が高いのが、東京代表の東洋だ。その中心が、エースであり主将の柳田将洋。昨年はノーマークながら、柳田の高い攻撃力を軸に、優勝候補筆頭とされた佐世保南(長崎)を破り、ベスト8進出を果たした。同じ東京代表としてしのぎを削る東亜学園・小磯靖紀監督も「高さだけでなくキレのあるシャープなスパイクを打つ選手。同じ地区で戦うのは大変な存在だが、間違いなく、将来の宝となる選手」と太鼓判を押す。昨年9月の世界ユース選手権(イタリア)では、全出場選手の中で最も得点を挙げ、ベストスパイカーにも選出された。国際大会での活躍で自信を得たことに加え、セッターには中学時代に全国制覇を経験した関田誠大もメンバー入りし、柳田自身の攻撃バリエーションも広がった。最後の春高の「顔」、金の卵と呼ぶにふさわしい存在であるのは間違いない。

 絶対エースを軸に初優勝を目指す東洋だが、実は、その道のりはそれほど容易ではない。なぜなら、東洋の入ったブロックは北京五輪代表の朝長孝介や菅直哉(JT)を輩出した西の名門・大村工(長崎)や、越川優(パドヴァ)らを擁した岡谷工(長野)を全国優勝へと導いた壬生義文監督が指揮を執る創造学園(長野)、柳田と同じく世界ユースに出場した193センチのエース・山田脩造を中心とする福岡大大濠(福岡)など強豪がひしめき合う地獄ブロック。22日の初戦が、大きなキーポイントになりそうだ。

 東の横綱が東洋ならば、西の横綱は鎮西(熊本)。身長191センチ、最高到達点330センチの高さとジャンプ力を武器とする世界ユースメンバーの池田隼平をはじめ、技術、フィジカル両面に優れた選手を多く擁する。平均身長も187センチを越え、他チームを圧倒。2007年以来3大会ぶりの決勝進出、1997年以来の優勝を狙う戦力は整った。名門鎮西が虎視眈々(たんたん)と王者の座を狙う。

三連覇を目指す、東九州龍谷

東九州龍谷のウイングスパイカー、村田しおり。チームの中心として、三連覇を目指す 【Photo:築田純/アフロスポーツ】

 女子の優勝候補は、昨年、おととしに続いての三連覇を狙う“東龍”こと東九州龍谷(大分)がやはり本命だろう。昨年末の天皇・皇后杯でNEC、パイオニアを打破したチームの大黒柱であった3年生の長岡望悠、栄絵里香は抜けたが、同大会にレギュラーとして出場した村田しおり、鍋谷友理枝が中心になりチームを引っ張る。相原昇監督も「昨年とは違う、小さなチームでどう勝つか。最高のバレーを展開したい」と抱負を語る。相原監督が「チームの中心」と位置付けるセッター、比金桃子のトスワークを軸にしたコンビバレーは今季も健在。三連覇へ向け、今季も盤石の体制が整った。

 “ストップ・ザ・東龍”の筆頭は、昨年決勝で敗戦を喫した古川学園(宮城)だろう。エースの佐々木美麗、180センチを越えるツインズプレーヤーの大野果歩、果奈姉妹の高さと破壊力で、99年以来の王座奪還を目指す。さらに、同じ九州で東龍に苦汁を飲まされ続けてきた九州文化学園(長崎)も守備を基軸とした組織力を築き上げてきた。古川学園とともに、東西の強豪が東龍の三連覇に待ったをかけられるか。

 また、昨年の世界ユースでベストスパイカーに輝いたサウスポーエースの堀川真理を擁する共栄学園(東京)や、同じく世界ユースに出場し、センターに加えサイドも経験して攻撃力に厚みが増したエース・二見梓を擁する大和南(神奈川)、元全日本代表の父・秀之氏のDNAを受け継いだ1年生エースの大竹里歩がいる下北沢成徳(東京)など関東勢も注目校がズラリと顔をそろえる。例年以上の激戦が繰り広げられることになるだろう。

 7日間にわたるトーナメント戦だけに、各校の地力に加え、勢いを手にした学校が一気に突っ走り、勝者と成り得るのも春高バレーの見どころの一つ。最後の春に、未来を担うニューヒーロー、ニューヒロインが誕生するか。勝敗の行方とともに、楽しみは広がる。そして何より、この場にたどり着いた高校生バレーボーラーの一人一人に、代々木のコートに立つ喜びと誇りを抱き、最高の戦いを繰り広げてほしい。

<了>
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著者プロフィール

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。著書に『高校バレーは頭脳が9割』(日本文化出版)。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)、『青春サプリ』(ポプラ社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など女子アスリートの著書や、前橋育英高校硬式野球部の荒井直樹監督が記した『当たり前の積み重ねが本物になる』『凡事徹底 前橋育英高校野球部で教え続けていること』(カンゼン)などで構成を担当

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