“奪回”へ一番のライバルは澤村の中大=東洋大野球部・高橋昭雄監督インタビュー
今季も“戦国” 多くのチームに優勝の可能性
自ら身振りを交え、ピッチングを指導する高橋監督 【スポーツナビ】
――まず、リーグ全体の展望を聞かせて下さい。優勝争いの中心となるチームはどこでしょうか
優勝はうちも当然狙っていきますし、可能性は多くのチームが持っていると思います。しかし、中心というのであれば昨秋優勝の立正大、それと中大でしょう。
――その2校の名を挙げた理由というのは
まず、今の東都リーグの勝敗ラインというのは3点です。各チームの投手力が高く、5点以上の奪い合いというのはほとんどありません。つまり守り合い、ミスのない方が勝つ。そういう中で実際に(昨秋)勝っている立正大、屈指の投手力を誇り失点が計算できる中大が強いと思います。
――ほかの3チームについてはいかがでしょう
亜大、国学大は秋に上位に来てますし、(優勝の)チャンスはあると思います。ただ、国士大は久しぶり(30季ぶり)の1部ということで、厳しい戦いになるのではないでしょうか。決して(国士大を)軽んじているわけではないですが、1部のレベルはやはり高い。優勝を争うのは5チームになると考えています。
澤村を絶賛「大学球界を代表する投手」
日本代表の常連でもある乾。その左腕でチームを勝利に導けるか 【スポーツナビ】
澤村君は大学球界を代表するピッチャーです。真っすぐのキレがあるし、スライダーも素晴らしい。去年はうちも春、秋と2試合連続完封を食らいましたし、あの(球の)速さにはなかなかついていけない。
それに中大は2番手の山崎君(雄飛・4年=芝浦工大高)もいい。変化球は澤村君よりも多彩です。その点で中大が一番のライバルだと思っています。
――好投手といえば、ほかにも立正大の南昌輝(4年=県和歌山商高)、亜大の東浜巨(2年=沖縄尚学高)もいます
南君も澤村君と同じ速球派でスピードがあります。エースとして間違いなく立正大の中心になるでしょう。うちとしては、(ロースコアの)競り合いに持って行きたい相手ですね。
東浜君はまだ2年生ということもあり、球威という点では澤村君、南君ほどではないですが、いろんな変化球を持っているし、サイドを突くコントロールもある。本当にいいピッチャーだと思います。
――続々と好投手の名前が挙がりますが、何か対策は考えているのでしょうか
いや、東都リーグの(実力が)上の方のピッチャーは「こうすれば打てる」なんていうのはないですよ。やっぱり、基本のスイング。150キロが来ても変化球が来ても打てる、シャープにボールを叩ける。そういう技術を身に付けていくしかないと思います。
「もう1回優勝を味わわせたい」
やっぱりインフルエンザの影響もあってコンディションが悪く、勢いにも乗れませんでした。しかし、入れ替え戦になるかどうかの瀬戸際(1敗で迎えた青学大2回戦)の9回に追いついて、延長でサヨナラ勝ちという粘りを見せてくれた。連覇は途切れても土壇場の強さという伝統は生きてるな、と感じました。
――今季は2季ぶりの優勝を狙うことになります。キーマンは
大学野球はやっぱり4年生。野手では林崎(遼・4年=東洋大姫路高)ですね。彼は日本代表に選ばれたことでもわかるように、実力はあるんです。今季も今のところ4番で考えています。ただ、どうも気持ちが弱くて。凡打でもいいから、もっと相手に向かっていくようなスイングをしてほしいです。
――投手は昨年のメンバーが全員残っていますが、特に期待をしているのは
乾(真大・4年=東洋大姫路高)が秋に負けた悔しさを持ってやっています。ずっと線が細い印象がありましたが、下半身が一回り大きくなり、たくましさが出てきました。期待できると思います。ただ、彼は完ぺきに打ち取ろうとしすぎるところがあります。いい意味で大ざっぱになってくれれば、もっと良くなると思います。
――最後に、春季リーグ戦に向けての抱負をお願いいたします
原(辰徳・プロ野球巨人)監督ではないですが、「奪回」。今度の4年生は、入ったときから5連覇して、秋にそれが止まってとても悔しい思いをした。それだけに、もう一度優勝を味わわせてあげたい。監督としてそう思っています。
※学年は新学年
<了>
■高橋昭雄/Akio Takahashi
1948年6月8日生まれ。埼玉県出身。大宮工高−東洋大−日産自動車−東洋大監督。178センチ、78キロ。旧姓は佐藤。選手時代は捕手として活躍、東洋大4年時には副将を務めた。1972年、23歳の若さで東洋大監督に就任すると、76年秋に東都リーグ初優勝を飾り、以後通算14度のリーグ優勝のほか全日本選手権、明治神宮大会を2度ずつ制覇。2008年には春秋の東都リーグに加え全日本選手権、明治神宮大会も制し“年間グランドスラム”を達成した。09年春には戦後初の東都リーグ5連覇を果たした。今季で監督生活38年目を迎え、これまで元広島監督の達川光男氏、千葉ロッテの今岡誠をはじめ、多くのプロ選手を育成している。
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