北照高が10年ぶりの優勝で出場確実=センバツ出場校予想・北海道地区編

松倉雄太

フォークを武器に10年ぶりの秋季北海道大会制覇に貢献したエース・又野 【写真提供:高校野球ドットコム】

 3月21日開幕するセンバツ高校野球大会の出場32校が1月29日に発表される。21世紀枠を除く出場校は昨秋の各都道府県大会、10地区(北海道、東北、関東、東京、東海、北信越、近畿、中国、四国、九州)に分けられた地区大会の成績を軸に29校が選出される。ここでは、選考において特に重要視される地区大会を総括し、各地区の出場校を予想。この項では、出場枠1の北海道大会を振り返る。

又野・西田のバッテリーが北照高の支えに

 台風の影響などで終盤に2日間順延した北海道大会。連戦にならず、投手にとっては休養を十分に取れた大会だった。
 10年ぶりに秋の全道王者となった北照高の河上監督は優勝を決めた直後に人目をはばからず涙。2000年のセンバツ出場後、毎年のように全道屈指の実力を誇りながら、壁にぶち当たってきた。不祥事に悩まされたこともあった。さらに旧チームでは春、夏と決勝で敗れていただけに、「(円山球場で負け続けて)河上ではもう勝てないのじゃないかと思ったこともあった」と話した言葉が全てを物語っていた。
 優勝の支えとなったのはエース・又野と主将・西田のバッテリー。旧チームではともに野手として出場していた2人がバッテリーを組んでチームを引っ張った。全試合に先発した又野は最速138キロの直球と、要所で使ったフォークが生きた。全道屈指の右腕といわれた武修館高・上田との投げ合いを1失点で制すると、準決勝の駒大岩見沢高戦では毎回のように走者を背負う苦しいピッチングにも崩れなかった。右中指のつめを割った決勝・札幌南高戦では5回でマウンドを降りたが、ライトにまわってリリーフの左腕・千葉を盛り立てた。
 捕手の西田も準決勝で足首を負傷。しかし、手負いとなってしまったエースを支えるため、決勝でも強行出場した。打撃でも3番、4番を任される2人は全試合2ケタ安打の打線をけん引。さらに1番として打率5割を記録した大野のセンスも目を引いた。キレのあるカーブが武器の千葉が好投したのも大きな収穫。1枠の北海道では優勝校が順当に選ばれそうだ。

札幌南高、創部108年目で初の決勝も敗戦

 準優勝は札幌南高。夏は00年に甲子園出場があるが、全道で決勝まで進んだのは創部108年目にして初めて。1万2千人を超える観衆がつめかけた決勝では、8割方が札幌南高の応援だった。1回戦から全試合41イニングを投げたエース・原口は球威こそないものの、粘りと頭脳的な投球が身上。1番・蝦名、4番で主将の沼口らが引っ張る打線は勢いに乗ると止められない。北照高には完敗したが、夏が非常に楽しみなチームだ。
 ベスト4は駒大系列の2校。駒大苫小牧高は期待の左腕・今崎が準々決勝の白樺学園高戦、準決勝の札幌南高戦と乱調で4年ぶりの優勝には届かなかった。秋から甲子園初優勝時に主将だった佐々木孝介氏が新監督に就任。捕手の糸屋、白樺学園高戦でサヨナラ本塁打を放った宮崎らパワーのある選手も多く、若い指揮官の指導に注目が集まる。
 駒大岩見沢高は制球力のある尾畑を中心に北照高を苦しめたが、打線にあと1本が出なかった。こちらも春から佐々木達也監督が指揮。まだ25歳の若さを垣間見たさい配があった
。  21世紀枠候補には144キロ右腕・上田を擁する武修館高。濃霧、低温、凍土などの厳しい環境ながら、近年の道内で安定した力を誇る同校が2年ぶりの候補選出となった。

<了>
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント