日立、レラカムイ北海道がベスト4進出=天皇杯・皇后杯バスケ オールジャパン2010 第4日

松原貴実

高確率なシュートで後半一気に勝負を決めたレラカムイ。初のベスト4入りを成し遂げた 【(C)JBA】

 全日本総合バスケットボール選手権(オールジャパン)大会4日目。男子準々決勝の2試合はリンク栃木とのタフなゲームを制した日立と、後半の怒とうの攻めで東芝を圧倒したレラカムイ北海道がベスト4進出を決めた。以下、準々決勝のダイジェスト。

積極的なリバウンドから流れを呼び込んだ日立

 波に乗れば爆発的なオフェンス力を発揮するリンク栃木に対し、精度の高いチームディフェンスが持ち味の日立。昨年同じ準々決勝で顔を合わせた時は55−76と、日立の守りの前にリンク栃木が敗れた。
 今年はその雪辱なるかと注目された一戦だったが、エース#1川村卓也、#0田臥勇太の連続得点などで22−17と幸先いいスタートを切ったものの、第2ピリオドは9得点と失速。今年もまた日立の執ような守りにリンク栃木が屈し、65−74で敗れる結果となった。

 敗因としてトーマス・ウィスマンヘッドコーチが真っ先に挙げたのは『リバウンドの積極性』。「オフェンスリバウンドはうちが6に対して日立は16。この差は大きかった。つまりはうちがフィジカル面で負けていたということ」と語る。
 確かに1回目を落としても、2回目、3回目とあきらめずに飛ぶ日立のリバウンドに対し、リンク栃木が競り負けてしまう場面は少なくなかった。
 これについて日立の小野秀二ヘッドコーチは、「昨年初めてファイナル進出を果たしながら敗れた。あの場所にもう1度みんなで行こうという気持ちが今日のゲームには表れていたと思う」
 持てる力を互角としたならば、日立の「勝ちたい」気持ちが勝敗を分けた一戦だったと言えるかもしれない。

東芝のお株を奪うディフェンスで勝機をつかんだレラカムイ北海道

 この日行われた男子準々決勝のもう一試合、東芝とレラカムイ北海道の試合は、リーグ戦での成績を2戦2勝としている『東芝有利』という予想を覆し、レラカムイが80−55の大差で初のベスト4進出を果たした。

 前半は決められたら決め返す一進一退の攻防となったが、東芝が30−29の1点リードで折り返した。しかし、この前半を見た東芝の田中輝明ヘッドコーチは「出だしから、うちのチームプレーがまったくできていなかった。ボールが動かないから1対1ばかり狙うことになる。それにより自分たちでフラストレーションを溜めていった」と、すでにチームの歯車の微妙なズレを感じ取っていた。
 その東芝をとらえ、レラカムイが一気にスパートをかけたのは第3ピリオドの残り3分。#1野口大介、#13クリスチャン・マラカー、#9折茂武彦の連続シュートで51−40とリードを奪う。第4ピリオドに入っても思うようにボールが回らない東芝は、そのいら立ちからか、残り4分に#33コーリー・バイオレットがテクニカルファウルを取られると、もらったフリースローを折茂が2本沈めて65−48。これを機にあとはレラカムイの独壇場となった。
「今日はディフェンスを頑張れたことがカギだった思う。前半だけで10取られたオフェンスリバウンドを後半は2つしか許さなかったことも大きい」と、レラカムイの東野智弥ヘッドコーチ。
 折茂と#8山田大治という内外のエースだけではなく、ここ1番にきっちりシュートを決めて15得点をマークした#16松井啓十郎の活躍も光った。
「準決勝では今日と同じく自分たちのバスケットをしっかりやり通すだけ。日立さんの胸を借りるつもりで思いきりぶつかっていきたい」(東野HC)

1月5日 男子準々決勝の対戦カード
17:00〜アイシン×三菱電機
19:00〜トヨタ自動車×パナソニック
会場:代々木第一体育館

<了>
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著者プロフィール

大学時代からライターの仕事を始め、月刊バスケットボールでは創刊時よりレギュラーページを持つ。シーズン中は毎週必ずどこかの試合会場に出没。バスケット以外の分野での執筆も多く、94『赤ちゃんの歌』作詞コンクールでは内閣総理大臣賞受賞。

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