リーグ戦の勢いそのままに、アイシンの3連覇成るか!?=天皇杯バスケ展望

松原貴実

バスケ天皇杯が元日に開幕! 柏木(左)、佐古など、リーグトップを行くアイシンが3連覇を目指す 【(C)JBA】

 バスケットボールファンに新春の訪れを告げる第85回天皇杯、第76回皇后杯(通称オールジャパン)が元日から1月11日まで、東京体育館と国立代々木第一体育館で開催される。
 この大会にはJBL、WJBLをはじめ、社会人、大学、高校、地区ブロックの大会を勝ち抜いた男女それぞれ32チームが出場。カテゴリーを超えた対戦や、なつかしい選手の雄姿が見られるのもこの大会ならではの楽しみだ。だが、そんな和やかな雰囲気が漂う序盤戦から、後半は優勝を争う白熱戦へと大会は変ぼうする。2010年最初の栄冠を勝ち取るのはどのチームか?
 まずは男子による天皇杯の見どころを探ってみたい。

優勝候補アイシン、対抗馬はパナソニックか

『オン・ザ・コート・ワン』(各チームの外国人選手は、コートに1人のみ出場を認められる)のルールが導入されて3年目、チーム力のレベルから見て、今大会も上位争いはJBL勢が占めることになりそうだ。
 中でも注目されるのは、3連覇を目指すアイシン。竹内公輔、桜木ジェイアール、網野友雄、柏木真介ら2連覇を達成したメンバーに、シューター朝山正悟が加わった今季はチーム力により安定度が増した。16勝4敗のトップで折り返したリーグ戦の戦いぶりを見ても、今大会優勝候補NO.1と目されるのは間違いない。

 そのアイシンにとって第一関門となるのは準々決勝で対戦する確率が高い三菱電機。主力の故障が響いてリーグ戦ではまだ2勝と苦戦が続くが、11月23日のアイシン戦ではオーバーゲームも演じている。ようやくけがから復帰した柏倉秀徳が光明となるか。そのリード力に期待したい。

 アイシンの行く手を阻む一番手として名が挙がるのはパナソニック。210センチの青野文彦を柱に、永山誠、大野篤史のベテラン勢、成長著しい2年目の広瀬健太、得点力が光る木下博之とチームバランスは申し分ない。リーグ戦では4戦1勝3敗とアイシンに負け越しているものの、1点差、5点差など接戦が目立つ。ここにきて青野をサポートする大西崇範が戦列復帰したのも大きなプラス材料と言えるだろう。

 そのパナソニックと準決勝で当たる可能性が高いトヨタ自動車は、長年チームを支えてきたベテランメンバーに加え、3年目の正中岳城、岡田優介、2年目の熊谷宣之が頼れる存在になったのが心強い。懸念されるのはポイントガードとして新加入した五十嵐圭のケガ。『走るトヨタ』の先陣を切る存在なだけに復調の具合が気になるところだ。

第2シードで出場の東芝はディフェンスが光る

09年の決勝はアイシンと日立の組み合わせとなった。今大会、決勝の舞台に立つのは果たして!? 【(C)JBA】

 組み合わせが決まる12月7日の時点でリーグ2位につけ(その後パナソニックに2敗して現在3位)第2シードに入った東芝は、12勝のうち失点60点台以下が7試合、70点台が3試合と鍛えられたディフェンス力が光る。ルーキーシーズンからスタメンに名をつらね、3年目の今シーズンではしっかり柱となった石崎巧、菊地祥平がどこまでチームをけん引できるか。

 準々決勝で対戦する公算が高いレラカムイ北海道は現在リーグ7位と出遅れているが、シューター折茂武彦を筆頭に桜井良太、山田大治など高い能力を備えた選手がそろい、新人のKJ松井も早々と戦力になっている。リーグ戦2戦2勝とはいえ、東芝にとって決して侮れない存在だ。

 同じく準々決勝で顔を合わせそうなのはリンク栃木と日立。リンク栃木は新チーム創部2年目ながらシューター川村卓也を中心に竹田謙、大宮宏正、伊藤俊亮など内外に高いオフェンス力を誇る。ケガが長引いた田臥勇太も大会前にコートに戻りチームのモチベーションはさらにアップ。波に乗れば一気にファイナルの舞台に躍り出る可能性は十分だ。

 一方、日立は武器と言える精度の高いチームディフェンスでリンク栃木の勢いを抑え込みたいところ。攻めては大黒柱・竹内譲次を援護する菅裕一、佐藤稔浩、酒井泰滋、上山博之らの高確率シュートに期待がかかる。リーグ戦では1勝1敗と星を分けているだけにベスト4を懸けた注目の一戦になりそうだ。

JBLに挑む大学、高校チームの全力プレーに期待

 これらJBL勢に立ち向かうチームとして名前が挙がるのはインカレ優勝の日大と準優勝の慶応大だろう。順当にいけば3回戦での対戦(日大がレラカムイ北海道、慶応大は三菱電機)が予想されるが、地力で勝る先輩たちとどこまで渡り合えるかが見どころとなる。また、青山学院大が勝ち上がれば3回戦でトヨタ自動車と対戦。4人のOB(岡田、正中、熊谷、荒尾岳)との対決が楽しめそうだ。

 高校チームとして唯一の出場となった福岡第一は初戦で横河電機(社会人1位)に挑む。インターハイを制した『超高速プレー』で初戦突破となるか。大会初日の必見カードと言えるだろう。

 高校、大学の最上級生にとってはこれがチーム最後の大会、ファンにとってもこれが見納め。悔いのない全力プレーで新春の舞台を盛り上げてくれることを期待したい。

<了>
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著者プロフィール

大学時代からライターの仕事を始め、月刊バスケットボールでは創刊時よりレギュラーページを持つ。シーズン中は毎週必ずどこかの試合会場に出没。バスケット以外の分野での執筆も多く、94『赤ちゃんの歌』作詞コンクールでは内閣総理大臣賞受賞。

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