エスポワールシチー砂の新王者に! 止まらんGI3連勝だ=JCダート

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エスポワールシチーがJCダート制覇! GI3連勝で新ダート王の座に就いた 【スポーツナビ】

 JRA砂の最強王者決定戦・第10回GIジャパンカップダートが6日、阪神競馬場1800メートルダートで開催され、佐藤哲三騎乗の1番人気エスポワールシチー(牡4=安達厩舎)が先手を取って逃げ態勢に入ると、最後の直線に向いても後続を寄せ付けず完勝。前々走のGIかしわ記念、前走のGIマイルCS南部杯に続きGI3連勝で新ダート王の座に就いた。地方交流重賞を含めればGIは3勝目、JRA・GIは初勝利となる。勝ちタイムは1分49秒9。
 また、佐藤哲、同馬を管理する安達昭夫調教師ともに同レースは初勝利となった。

 一方、3馬身1/2差の2着には田中博康騎乗の5番人気シルクメビウス(牡3=領家厩舎)、さらに1馬身1/4差の3着にはクリストフ・ルメール騎乗の12番人気ゴールデンチケット(牡3=森厩舎)。なお、GI9勝目を目指した武豊騎乗の2番人気ヴァーミリアン(牡7=石坂厩舎)は8着、2月のGIフェブラリーSの覇者サクセスブロッケン(牡4=藤原英厩舎)は4着にそれぞれ敗れた。

文句なし大勝!最大の試練・最内枠もクリア

文句なし! 後続に影も踏ませない3馬身半差の圧勝劇だった 【スポーツナビ】

 ダート界で長らく続いた2002年生まれ世代の時代に、ついに終止符が打たれることになった。2月のGIフェブラリーSでは4歳サクセスブロッケンが勝ち、そして、この日も同じ4歳エスポワールシチーの完全勝利。着差は3馬身1/2――文句なしの強さを見せつけた姿は、2010年代のダート界を牽引する王者のそれだった。

 「いやあ、ホッとしましたね。調教では“絶対に勝てる”という手応えを持っていたので、あとは自分がミスをしなければと思っていましたから」
 1番人気に応えた佐藤哲三がレース後、安堵の表情を浮かべた。レースは1コーナーでハナに立つと、そのままマイペース逃走。最後の直線に向いてもスピードは落ちることなく、後続に影も踏ませない完ぺきな競馬だった。
 外野から見ていれば『楽勝』以外の何物でもないが、レース前には佐藤哲を大いに悩ませる懸念材料があったという。それは1枠1番の枠順。
 「この枠が出たときは、最後に大きな試練が来たなと思いましたね。すごく悩みました。昨日まで悩んでいました」

 同じく安達調教師も「嫌だった」と頭を抱えた最内枠。まだ子供っぽさの残る気性だけに、この枠順で外から他馬にもまれこむのは良くない。「ゲートを出たなりで決めてほしい」とトレーナーからすべてを託された佐藤哲とエスポワールシチーはしかし、この“試練”を最大のアドバンテージに変えてみせたのだ。

道中は完ぺき、執念の付きっ切り調整が実を結ぶ

ファンの声援に応え、完ぺきな騎乗を見せた鞍上の佐藤哲はガッツポーズ 【スポーツナビ】

 「人馬ともにいい集中力でレースに臨めました。ゲートでも馬がすごく集中していましたし、1コーナーで頭半分でも出ていればうまく運べると思っていたので、その通りになりましたね。あとは折り合いには絶対の自信がありましたから」
 逃げ宣言をしていた米国のティズウェイを制し、敢然とハナを主張。人間だけが焦って先走らないようにと、慌てず騒がず淡々と運んだペースは最初の1000メートルが60秒7。このメンバーのGIということを考えれば、むしろ遅いくらいのペースだ。佐藤哲が道中の手応えを振り返る。
 「同じ1分のラップでもすごい楽でしたね。全然大丈夫でした」

 阪神コースだと見せてしまう手前替えに関しての悪いクセも、この日は鞍上の支持どおりにジャストのタイミング。「これを直すのにすごく苦労したんですが、調教でのイメージどおりでした。これまでやってきたことが間違っていなかった」。厩舎スタッフと付きっ切りで調教を課してきた成果が実を結んだ瞬間だった。

 あとは自慢のスピードで最後の坂を駆け上がるだけ。エスポワールシチーにとっては初のJRA・GI、佐藤哲にとっては2004年にタップダンスシチーで制した宝塚記念以来およそ5年ぶりのJRA・GIの美酒となった。

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