エスポワールシチー砂の新王者に! 止まらんGI3連勝だ=JCダート

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佐藤哲が再び目指す夢……来年はドバイか、米国か

来年はドバイか米国か……エスポワールシチーの眼前には夢が広がる 【スポーツナビ】

 「エスポワールシチーは僕がケガをしたりしてモヤモヤしている時期に出会った馬だった。“この馬ならGIを獲れる”と思ってここまでやってきて、こういう結果が出て本当に良かったです」
 2000年代前半から中盤にかけタップダンスシチーとのコンビでターフを沸かせた関西の名手も、この2年ほどは苦しい時間が流れていた。07年に2度の落馬負傷があり、その影響からか、昨年は重賞1勝。大舞台での活躍から遠ざかっていた。そんなくすぶりかけていた佐藤哲の勝負師魂に再び火を点けたのが、このエスポワールシチーだったのだ。
 「もっと効率よく走れる馬ですし、ハナを切るだけの馬じゃない。そういった競馬が海外に行ってうまくマッチしてくれればと思いますし、この馬のことをもっと研究していきたいですね」
 ジョッキーの口から飛び出した“海外”という言葉。そう、佐藤哲がエスポワールシチーとともに見据える視線は、日本での王座防衛ではなく、世界のダート強豪が集うドバイ、米国の檜舞台に向けられている。
 「海外は僕の夢ですからね。凱旋門賞もああいう結果で終わってしまいましたし……。この馬だったらもっと楽しめる。これからもっとコミュニケーションをとっていきたいですね」
 2004年、タップダンスシチーとともに宝塚記念を制した勢いで世界一の芝レース・凱旋門賞に挑戦したものの、輸送用の飛行機のトラブルがあり、不完全燃焼のまま17着に敗れた。あの時に果たせなかった夢を、今度は同じ“シチー”の冠を持ち、“希望(エスポワール)”の名も併せ持つ相棒とともに目指していく。

 「今日はよく頑張った、そして、もっと頑張っていこうって、エスポワールシチーには伝えたい(笑)」
 師走の阪神に誕生した新ダート王と、再び夢への野望を燃やし始めた関西随一の勝負師が歩む蹄跡。2010年、この人馬の前にはどのような砂路が開かれているのだろうか。

ヴァーミリアンまさかの不発 武豊「状態は良かったが……」

GI9勝目を狙った武豊とヴァーミリアンだったが、まさかの不発に終わった 【スポーツナビ】

 一方、自らの持つ史上最多記録を更新するGI9勝(地方交流含む)を目指した武豊騎乗の2番人気ヴァーミリアンは、見せ場なく勝ち馬から1秒2遅れての8着と大敗した。

 まさかの結果だった。7歳にして再び上昇気流に乗り、目下GI連勝中。9つ目のタイトル奪取へ、陣営は自信を持って送り出したはずだった。
 道中は中団よりやや前めのポジションで脚をタメながらじっくり追走。引っ掛かる様子もなく、「馬の状態は良かったし、ペースも問題なかった」と武豊。だが、勝負どころの4コーナー。さあ、ここからエンジン全開で追い上げ態勢……となるところが、まったく前へ進んでいかない。
 「いつもだったら4コーナーでは引っ掛かるくらいに行く馬なのに、今日は逆に置かれてしまいました。うーん、どうしてだろう……」
 名人も首を傾げる直線不発。見せ場らしい見せ場を作ることもできず、8着でゴールするのが精一杯だった。

 もがくヴァーミリアンを尻目に、悠々の勝利を飾ったのはエスポワールシチー。2月フェブラリーSを制したサクセスブロッケンと同じく4歳馬。2、3着馬にも若い3歳馬が入り、ヴァーミリアンの失墜とともに、ダート世代交代を強烈に印象付ける結果となってしまった。

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