GHC新王者の杉浦が新日本出撃を示唆、丸藤が新技披露で復帰戦に勝利=ノア
メーンイベントでは杉浦貴が潮崎豪を破りGHCヘビー級王座を初戴冠。2000年の全日本プロレス入門からキャリア10周年でノアの頂点に上り詰めると同時に、GHC主要タイトル(ヘビー、タッグ、ジュニアヘビー、ジュニアタッグ)にGHCキャバを含めた5冠となるグランドスラムを達成した。
杉浦は今年の1.4東京ドーム大会に三沢光晴さんのパートナーとして出陣し、現在のIWGPヘビー級王者である中邑真輔、後藤洋央紀組と対戦。敗れはしたものの圧倒的な存在感を発揮すると、その後も“ひとり対抗戦”と称して殴り込みをかけ、棚橋弘至のIWGP王座挑戦や「G1クライマックス」出場などを果たした。
一方、潮崎は三沢さんが急逝した翌日の6.14博多スターレーン大会でGHC王座を初戴冠。デビュー5年というキャリアながら、ノアの新エースとして団体をけん引してきた。
観客の圧倒的な声援を受けた杉浦は、序盤に立体花道でのブレーンバスターを食らうも、トップロープを利用したネックスクリュー、サッカーボールキックで反撃。10分過ぎには潮崎のノータッチトペやムーンサルトプレス、雪崩式ファリコンアロー、さらにはショートレンジ豪腕ラリアット、ゴーフラッシャーといったフィニッシュ級の大技が次々と繰り出されるが、すべてカウント2でクリア。ターンバックルへのパワーボムやジャーマンスープレックスといった危険技で潮崎の頭部にダメージを蓄積させ、オリンピック予選スラム2発で追い込むと、最後は危険度満点の雪崩式オリンピック予選スラムでトドメをさした。
試合後、去っていく潮崎に対し杉浦は「ありがとう。最高だよ、おまえは」と呼びかけ、初体験となる武道館のメーンを最高の形で締めくくることができたことに感謝した。
アマレスでオリンピックに出場する夢に破れ、「ひと花咲かせたい」という思いからプロレス入りを決意した杉浦は、10年目でようやくたどりついた頂点に「夢は必ず叶うと思っています」と絶叫。初めて巻いたベルトの感触を確かめつつ、「最高ですね。でも、もっと輝けるように僕がもっと高めていきたい」と王者としての責任感を噛み締めた。
来年はノア10周年となる節目の年であることから「オレがノアを引っ張っていく」と胸を張った杉浦は、新日本から要求されている来年1.4東京ドーム大会での対抗戦について「直接話を聞いてないから分からないけれど」と前置きした上で、「新日本といえばオレ。オレがノア代表として出て行っても恥ずかしくないでしょう」と自ら出陣を志願。GHC王者として名実ともにノアの看板を背負って敵地に乗り込むことを誓った。
力皇&ヨネがタッグ王座を強奪 チーム存続へ
力皇とヨネは「オレたちがノアを全部変えておもしろくする」と宣言し、DISOBEYを結成。金丸たちを巻き込んでノアマットに刺激を与えてきたが、なかなか結果を出せず。閉塞した状況の中、今大会でシングルマッチを行って互いの気持ちを確認しようと決意していたところ、当初タッグ王座に挑戦予定であった小橋建太、秋山準組が秋山の欠場により辞退したことから、王座挑戦のチャンスを得た。
力皇とヨネは「負けたら解散」の覚悟を持って、佐々木健介、森嶋猛組の持つGHCタッグ王座に挑戦。圧倒的な人気とパワーを誇る王者組は、開始早々、トペ・スイシーダ2連弾を繰り出すなど絶好調。しかし、DISOBEYも花道を利用したランニング式ラリアットや、負傷した森嶋の左腕を徹底的に攻めるピンポイント攻撃でペースを握ると、20分過ぎに王者組がヨネに向かって繰り出した、健介の雪崩式ブレーンバスターによる森嶋爆弾やダブルインパクトといった大技も、抜群の連係で力皇がカットに入って突破。ここで2人は森嶋に対し合体キン肉バスターを決めると、さらにヨネがクォーラルボンバー、後頭部への回し蹴りとたたみかけ、3カウントを奪取した。
直前のGHCジュニア・ヘビー級タッグ王座戦では、金丸、鼓太郎組が6度目の防衛に成功。因縁の深い石森太二、リッキー・マルビン組に対し、鼓太郎がいきなり開始1分とたたずに必殺技のブルーディスティニーを放つなど、「差を見せ付けてやろうと思った」(鼓太郎)という意気込みそのままに、最初から全開モードに突入。メキシコ仕込みのルチャ・リブレをベースとする挑戦者組の空中技に翻弄され、20分を超える激闘となったものの、鼓太郎が元タッグパートナーのマルビンをエルボー連打からのローリングエルボーで下し、単独2位記録となるV6を達成した。
これでタッグベルト独占となったDISOBYは5人で祝杯をあげると「自分たちでノアを盛り上げていく」と宣言。さっそく、金丸、鼓太郎組は「ベストタッグもいけるかも。実力的にはオレたちでしょ」と今年の「プロレス大賞」での最優秀タッグ賞獲りをアピールした。
一方、観客からは祝福の歓声ではなくブーイングを浴びせられるなど、新王者としてイバラの道を歩くことになったヨネは「いつか小橋、秋山と決着をつけたい。それまでベルトを守っていく」と、今回挑戦権を手放した2人に、秋山の体調が完治次第、対戦を要求した。
完全復活の丸藤が三沢さんに捧げる新技を披露
丸藤は3.11SEMディファ有明大会の試合中、ロープに飛び乗ってスワンダイブ式合体パイルドライバーを狙おうとしたところ、不自然な形で着地。4月9日に手術が成功後、リハビリを続けていたが、10.31JCBホール大会で復帰を宣言した。
丸藤は02年3月に左ヒザを負傷。左ひざ亜脱臼及び前十字じん帯完全断裂により、この時も9カ月間の欠場を余儀なくされている。
7年前はケガによりGHCジュニアヘビー級王座を手放すことになったが、今回は欠場中の6月13日に、かつて付き人を務めていた師匠・三沢さんが死去。ノアの社長であった三沢さんの遺志を受け継ぎ、7月6日にノアの新取締役として副社長に就任したが、9月と10月に行われた三沢さんの追悼興行には参戦することができなかった。
1万2000人の大歓声に迎え入れられた丸藤は、いつも通りにトップロープを超えて華麗にリングインすると、試合でも右足への不安を感じさせることなく、走ったり、跳んだりといったいつものスタイルを貫き、トップロープ越えのドロップキックやフロムコーナートゥーコーナーなどといった難易度の高すぎる技も難なくクリアしてみせる。
トラースキックをカウント2で返され、必殺技のポールシフトを阻止された丸藤は、「いつか三沢光晴を倒す秘密兵器として使ってやろうと思っていた」という、新技のタイガー・フロウジョン(タイガードライバーの体勢で持ち上げてエメラルドフロウジョンの形で落とす)を初公開。ブランクへの不安を吹っ飛ばす、インパクト大な完全復活を果たした。
バックステージに戻るや、開口一番「キツイよー」と漏らした丸藤は、「不安はなかった」と、相変わらずの強心臓ぶりを発揮。さらに、花道を共に引き揚で、コメントスペースにも連れてきた青木に対し「全力以上の力を出すぐらい手ごたえがあった」とタッグパートナーに指名すると、「丸藤KENTA以上のタッグチームになるかも」とGHCジュニアタッグ初代王者コンビにして9度の最多防衛記録を保持している伝説のタッグ超えをブチ上げた。
欠場中の思いを三沢さんに捧げる新技を通じてすべてぶちまけた丸藤は、今後は選手として、そして副社長としてさらにノアマットを盛り立てるべく、「お客さんの期待に応えられるよう、外でも中でも暴れ回りますよ」と宣言。青木もこれに対し「ノアだヶではなく、世界や他団体ともやっていきたい」呼応し、どんどん外部へと打って出る意気込みを激白した。
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