名門リバープレートが抱える矛盾=成績低迷、下部組織崩壊、暴力との癒着
会長選挙の行方
過激サポーターとの癒着は、リーベルが解決すべき問題のひとつだ 【Photo:AFLO】
12月5日には会長選挙が予定されているが、アギラールは立候補していない。もともとは20人近くが手を挙げており、最終的に5人が新会長の座を争う。その中には元リーベルの選手で監督も務めたダニエル・パサレラ、83年から89年にリーベルの会長を務めたウーゴ・サンティージ、ロドルフォ・ドノフリオらが含まれる。
また、ウルグアイ人の元“クラック”(名手)エンツォ・フランチェスコリが、候補者の1人を支持しており、マネジャーに就任するのではないかという話もある。ボカのカルロス・ビアンチ、ベレス・サルスフィエルドのクリスティアン・バセダス、インデペンディエンテのセサル・ルイス・メノッティといった元選手が、すでにゼネラル・マネジャーとしてクラブに中枢にいる。だが、この職業はアルゼンチンではいまだによく理解されていないのが現状だ。というのも、GMは選手を売却するより選手獲得により手腕を発揮するが、この国は選手の輸出国であって、決して輸入国ではないからである。
“バーラ・ブラバ”との癒着
現在のリーベルは初の2部降格という脅威にさらされている。ガジャルド、オルテガといったベテランはいるが、スター選手はもはや存在しない。最も珍しいケースは、98年のワールドカップ・フランス大会で活躍した元アルゼンチン代表のマティアス・アルメイダである。一度は07年に引退したものの、今年に入り現役復帰。今では、同じく90年代の伝説的選手の1人であるレオナルド・アストラーダ率いるリーベルに欠かせない存在となっている。
いずれにしても、リーベルには財政基盤を整える、暴力を排除するといった抜本的な改革が必要だ。その一方で、今後も首脳陣は資金を調達するため、若手選手を安価で売却し続けなければならないだろう。
面白い話がある。現在サン・ロレンソに所属するFWファン・カルロス・メンセゲスは、リーベルの下部組織出身だ。彼はトップチームでデビューすることなく、ボルフスブルクに期限付き移籍した(その後、活躍が認められて完全移籍を果たす)。そして、母国に戻った現在、メンセゲスは別のチームのユニホームをまとっているのだ。
リーベルは矛盾を抱えたままである。
<了>