2戦目を迎えるキム・ヨナに注目 ライザチェクは優勝なるか=フィギュアスケート、スケートアメリカ見どころ
好調キム・ヨナが2戦目
しかしこの高得点が、多少なりともキム・ヨナにとってプレッシャーになるのではないか、とも思う。彼女は今、試合に勝つこと、自身の満足のいく演技をすること、それに加えて、「あのとんでもない点数にふさわしい演技を見せてくれるだろうか」――そんな期待に応えるというまったく別次元の緊張感を抱えているかもしれない。
そんなプレッシャーをものともしないくらいに素晴らしい演技をスケートアメリカでも見せてくれたら……今年のキム・ヨナは本物だろう。ひょっとしたら五輪までこのまま突っ走ってしまうかもしれない。「五輪優勝候補ナンバーワン」、「金メダル大本命」のキャッチフレーズを第1戦で得て4週間。彼女がどんな風に過ごしてきたのか、スケートアメリカではキム・ヨナの演技とともに、彼女のメンタルの強靭(きょうじん)さにも注目してみよう。
フラット、村主の仕上がりは?
また、同じく中国杯で7位と苦戦した村主章枝(Ak)も2戦目。ほかの日本選手たちがファイナル出場に向けてシーズン最初から飛ばしてきたのに対し、村主だけは全日本選手権に狙いを定め、ゆっくりと仕上げる道を選んでいる。この時点で彼女がどこまでジャンプの調子を戻しているか、モダンテイストのプログラムをどこまで滑り込めているか、じっくり見てみたい。
そのほかには実力的に飛び抜ける選手はなく、女子の表彰台争いは混とんとしそうだ。このなかで少し注意して見てみたいのはエレネ・ゲデバニシビリ(グルジア)とエミリー・ヒューズ(米国)のふたり。ともに4年前のトリノ五輪は10代で経験し、バンクーバーでのメダル争いを期待された選手たちだ。しかし女子選手にとって、10代後半は難しい時期。ヒューズは初の五輪出場(トリノ五輪7位)後、負傷の影響もあって世界選手権出場を2回逃し、ゲデバニシビリ(トリノ五輪10位)も練習環境の変化などがあり、一度は世界選手権で20位まで落ち込んだ。それでも迎えた2度目の五輪シーズン。特にヒューズは今回欠場したサーシャ・コーエンに代わっての緊急出場となる。輝けばそれぞれ魅力的な選手だけに、今季の取り組み具合に注目したい。