中村俊輔、スコアレスドローに「良いタイミングでボールが来なかった」=第5節 エスパニョル 0−0 シェレス

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悔しがる中村。シェレス戦では先発フル出場を果たしたが得点を演出することはできなかった 【Photo:なかしまだいすけ/アフロ】

 勝ち点0、得点0、失点11で最下位に沈むシェレスをホームに迎えた第5節。3連勝を目指すエスパニョルのポチェッティーノ監督は、前節ベンチスタートだった中村俊輔を中盤の右サイド、イバン・アロンソをトップ下に入れて試合に臨んだ。

 試合は、前半からエスパニョルのペース。しかし、ゴール前に迫りながら、フィニッシュの精度の甘さとシェレスの守備陣の踏ん張りに阻まれ、得点できない。すると、次第にエスパニョルの選手に個人プレーとミスが目立ち始め、大味な内容になっていった。
 後半に入ると、前半、全くボールに触れられなかった中村が、しびれを切らしたように積極的にピッチ中央に顔を出し、攻撃に絡み始める。54分、ゴール前でボールを受け、ディフェンスラインの裏に抜けたイバン・アロンソに浮き球のパスを通したのを皮切りに、中村のプレーを起点にして何度か好機が生まれた。しかし、結局、最後までゴールが決まらず、0−0のまま試合終了。試合後、ポチェッティーノ監督はこの結果を「苦い引き分け」と評した。

良いタイミングのときにこっちにボールが来なかった

――開幕戦以来の先発フル出場だったが、試合の感想は?

 勝ちたかった、やっぱり、押していただけに。ホームだし、相手はまだ勝ち点が取れていなったんで。

――右サイドでの先発だったが、途中から中央でプレーする場面もあった。あれは意識的だったのか?

 カジェホンが左に寄って、イバン・アロンソも左に寄って、前半、僕の方にボールが全く来なかったので。メンバーによったり、試合の展開によったり、その日によって、左からの攻撃がすごく多かったり、全く逆のときもある。そこらへんは仕方がない。そこは考えすぎずに。

――前半に比べて、後半はチャンスを作ったり、ボールに絡むシーンはあったが?

(ボールに)触ればやれるっていう感覚はある。あとは良いタイミングのときにこっちにボールが来なかったり、このタイミングでボールが来れば、次の次ぐらいまで考えてるっていうときに来なくて、全く考えていないときにいきなり預けられたり。そのへんが……。でも、やっていけば時間が解決することなので、焦らずに。

――マラガ戦後には「サイドに張って待つ」と言っていたが、それは監督の指示?

 いや、中に入ってもいいし、むしろ、そうしろって言われているんだけど、(中央に)行くとイバン・アロンソがいるんだよ。イバン・アロンソはあそこ(中央)でボールが欲しいから。難しいんだよね。ニコ(パレハ)が持ったときにポーンっと欲しいんだけど。
 セルティックっていうか、そこが4−4−2の強みなんだけど、本当はサイドバックが上がって、そういう連動があって初めて(マークを)外せるんだよね。今日も一度、(右サイドでボールを持ったときに、右サイドバックのチカを)2回見たけど、全く上がらなかった。上がるとぽっと道ができる。うその走りでもいいんだけど、そこらへんが難しいね。

 どうぞ1対1をやってくださいっていう感じでしょ。中の人も、おれがボールが持ってもけっこう向こう(逆サイド)の方にいるから、結局、ボランチに斜めに下げるしかない。でも、それをあんまり嫌がらない方がいいんだよね、割り切って。こっち来いよって言っても、イバン・アロンソもカジェホンもコロ(コロミナス)の方(逆サイド)に流れている。でも、真ん中にルイス・ガルシアがくると、こっち(右サイド)に来るんだよね。それで、イバン・アロンソとタムードがいると、イバン・アロンソがこっち(右サイド)にくる。選手の配置によって、その選手が左に寄ったり右に寄ったりする。だから前半、あれで代えられてもおれはもう仕方がない。

ボールが来たときはやれる自信はある

――右サイドから右足でクロスを上げる場面もあったが?

 ニアに誰もいないから、ファーにふわっと上げるしかない。でも、あんまり(味方が)いないから、「おれあんなの無理だよ」じゃなくて、だったらドリブルで1人突破すればいいわけだし、あんまりネガティブにとらえないで、もっと自分がこうやったらこうなったんじゃないかとか、でもそっちも考えすぎずに、追い詰めずに。
 これを続けていけば、どこかでアシストになったり、貢献していけると思う。スーパースターじゃないから、全部が全部できるわけじゃないから、やれることを少しずつやって、どこかで少しずつパイプができていけばっていう感じ。

――中央に入ったときに出したイバン・アロンソへの浮き球のパスは中村選手らしいプレーだったが?

(ボールが)来たときはやれる自信はあるんで、来るかどうか。

――後半、ドリブルで切れ込んでいって、ルイス・ガルシアにパスを出したシーンは?

 シュートしようと思ったんだけど、思った以上にDFがこっちにきていなかった。ディフェンダーがもっとシュートコースに入ると思ってたんだけど。あれは、やっぱりニアにシュート(するべき)だった。

――40分のミドルシュートは?

 あれはもっとサイドにいったなと思ったんだけど、真正面だった。決めたいですね。

――試合終了間際、チカのクロスに飛び込んだシーンなど、得点が近い気もするが?

 あんまり考え過ぎずに。どんどん入れたら入って。そうやって、いずれ(点が)取れればいい。やっぱり、点が入って、そこからパッと道が明るく見えたりとか、いろいろ起きるんで。でも、そればっかり追うと前半みたいに全くボールが来なかったりするし、あんまり、ネガティブに考えずにやろう、こういうの(状況)を楽しもうかなと。

――次節はチャンピオンズリーグでも戦ったビジャレアル戦だが、印象は?

 すごくグラウンドが小さくて、むこうはサイドバックがガンガン上がるんで、こっちにはないスタイル。アウエーで(ボールを)回される時間が多くなると思うけど、今日のシュートシーンみたいなのがあるときは狙っていきたいですね。

<了>

(取材:川内イオ)
川内イオ/Io Kawauchi
1979年生まれ、千葉県出身。広告代理店勤務を経て、フリーライターに。某誌の連載企画で2006年1月より5カ月間、豪州、中南米、欧州の9カ国を回り、世界のサッカーシーンをリポート。その後、ワールドカップ・ドイツ大会での日本代表密着取材を経て、バルセロナに移住した。現在、サッカー専門誌を中心に幅広く活動中。09年1月に『サッカー馬鹿、海を渡る。―リーガエスパニョーラで働く日本人』を出版した
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