スーパーJr.で金本が7年ぶり3度目Vを達成=新日本プロレス

高木裕美

ジュニアの祭典を制したのは金本! 7年ぶり3度目のV 【田栗かおる】

 新日本プロレス「BEST OF THE SUPER Jr.XVI〜The Hard Luck Soldiers〜」最終戦となる14日の後楽園ホール大会では、超満員札止めとなる2005人を観客を動員した。

 メーンイベントでは5.30同所で開幕して以来、約2週間に渡って各地で激闘が繰り広げられてきた「BEST OF THE SUPER Jr.」の準決勝戦及び優勝決定戦が行われ、金本浩二がプリンス・デヴィットを変形アンクルホールドで下して7年ぶり3度目の優勝を果たした。

金本が“妻子”に捧げる7年ぶりV

執念のアンクルホールドでデヴィットを振り切る 【田栗かおる】

 Bブロック1位で勝ち進んだ金本は準決勝戦でプロレスリング・ノアの青木篤志と対戦。青木の腕ひしぎ逆十字固めといった関節技攻撃に苦しめられながらも、アンクルホールドで締め上げ、ギブアップを認めない青木からレフェリーストップ勝ちを収めた。
 一方、Aブロック1位のデヴィットは準決勝戦でDDTの飯伏幸太と対戦。まさに超ハイスピードバトルと呼ぶにふさわしい、わずか8分14秒に凝縮された時間の中で濃密な攻防を繰り広げた末、飯伏のフェニックス・スプラッシュを間一髪でかわしたデヴィットが、カナディアンバックブリーカーの体勢に担ぎ上げてから捻りを加えて落とす新型プリンスズロウンで勝利。金本の「強い新日本を見せたい」という願い通り、新日本の選手同士の決勝戦となった。

 3年連続のスーパーJr.出場とはいえ、過去2年連続で試合中のアクシデントで負傷し、リーグ戦を途中リタイアしていたデヴィットは、初めて迎える決勝の舞台でも捨て身のファイトを敢行。しかし、「今年優勝できなければもう優勝できない」と背水の陣で今年のリーグ戦に臨んでいた金本は、ノータッチトペを2度ともかわして場外に自爆させ、デヴィットの肉体にダメージを蓄積させていく。
 さらに金本は顔面ウォッシュ、雪崩式フロントスープレックス、顔面蹴りなど危険度の高い技を次々と炸裂。デヴィットもプリンスズスロウンで反撃を狙うが届かず、最後は執念のアンクルホールド攻めからの足を絡めた変形アンクルホールドで締め上げ、デヴィットに自らマットを叩かせた。

 「今年が最後のチャンスだと思ってた」と、“絶対に負けられない”という執念の差で見事優勝の栄冠を手に入れた金本は、元女子プロレスラーの妻・Hikaruさんが現在妊娠中で、今年中にも第一子が誕生することを明かし、ダブルの喜びを激白。タイツに入れられたHikaruの文字を見せ、生まれてくる我が子のために優勝賞金を使うことを明かすと、今後の目標については「もうタイガーはいいやろ。オレがもう1回獲る」と、この勢いのままIWGPジュニアヘビー級王者タイガーマスクからベルトを奪い取り、名実ともにジュニアの頂点に君臨することを宣言した。

最後の前哨戦で棚橋と中西が大舌戦

最後の前哨戦、中西は棚橋をアルゼンチンで捕らえながら客席を練り歩く大技を敢行 【田栗かおる】

 セミファイナルでは、20日の大阪府立体育会館でIWGPヘビー級王座をかけて戦う王者・中西学と挑戦者の棚橋弘至が最後の前哨戦として6人タッグで対決した。

 試合前に行われた調印式では、IWGPのベルトをそれぞれ「元彼女」(棚橋)、「女房」(中西)と呼び、どちらも大切な存在であることを告白。せっかく手に入れた誰にも渡したくない“女房”と、別れた今もなお日夜恋焦がれる“元彼女”をめぐる争奪戦は、火花散るバトルと化した。
 開始早々、中西が棚橋のお株を奪うドラゴンスクリューを繰り出して挑発すれば、棚橋もドロップキックで強引になぎ倒して「これがお手本」とばかりにお返し。終盤ではリング上の試合そっちのけで場外戦を繰り広げると、中西が棚橋のアルゼンチンバックブリーカーで担ぎ上げた状態で場外を練り歩き、大阪決戦へ向けて強烈なデモンストレーションを敢行した。

 試合後も両者はマイクアピール合戦を展開。「もう挑戦者は飽きた」という“進化が止まらない”棚橋に対し、中西は「進化もクソもあるか」と一蹴すると、中西コールを送る観客の声援を糧に「皆さんのこの思いを全身全霊で叶えます!」と“女房”を愛し、守り抜くことを誓った。
 しかし、棚橋もまた「オレを誰だと思ってるんですか」とニヤリ。「他人の恋人も女房も関係ないですよ」と、堂々と“略奪愛”を予告した。

三沢社長急死にもノア勢が気丈にファイト

試合開始前にはノアの菊地(右)、青木が遺影を抱き、三沢さんへ黙祷が捧げられた 【田栗かおる】

 今大会では前日に急逝したプロレスリング・ノア代表取締役社長・三沢光晴さんを悼んで試合前に1分間の黙祷が捧げられ、選手、関係者、ファンが三沢さんの冥福を祈った。
 また、試合ではほとんどの選手たちが腕や手首に黒い喪章をつけてファイトし、偉大なるプロレスラーであった三沢さんに哀悼の意を表した。

 全日本プロレス時代、「超世代軍」として三沢さんと共闘していた菊地毅は、、「三沢さんがやってきた事をこれからも自分のプロレスでやっていく。今後ともノアで頑張っていく事が三沢さんへの恩返しだと思う」と、三沢さんの意志を継いでいくことを約束。第1試合で新人の吉橋伸雄を火の玉ボムで粉砕し、「三沢さんが見てると思って最後まで気を抜かずに戦った」と、勝利を捧げた。

 また、ノアの生え抜きであり、デビュー戦(05年12.24ディファ有明)の相手を三沢さんに務めてもらった青木は「話でしか聞いてないので実感がない」と、まだ現実を受け止められずにいながらも、「大阪で試合をした時に交わした『頑張って来い』という言葉を考えながら試合に臨みたい」と、ノア代表として準決勝戦で金本と対戦するも、“ジュニアのカリスマ”の厚い壁を崩すことはできず。
 「絶対タップしないと思ってたけど、ガッチリ極められた。それだけ」とアンクルホールドでのレフェリーストップ負けという結果に悔しさをにじませた。
■新日本プロレス「Circuit2009 BEST OF THE SUPER Jr.XVI 〜The Hard Luck Soldiers〜」最終戦
6月14日(日)東京・後楽園ホール 観衆:2005人(超満員札止め)

<第8試合 BEST OF THE SUPER Jr. 優勝決定戦 時間無制限1本勝負>
○金本浩二
(19分55秒 変形アンクルホールド)
●プリンス・デヴィット
※金本が7年ぶり3度目の優勝

<第7試合 6人タッグマッチ 30分1本勝負>
中西 学、永田裕志、●平澤光秀
(12分47秒 昇天・改)
棚橋弘至、○後藤洋央紀、岡田かずちか

<第6試合 10人タッグマッチ 30分1本勝負>
天山広吉、井上 亘、ミラノコレクションA.T.、真壁刀義、●本間朋晃
(13分14秒 ランドスライド→体固め)
○中邑真輔、矢野 通、飯塚高史、石井智宏、“ザ・マシンガン”カール・アンダーソン

<第5試合 6人タッグマッチ 30分1本勝負>
タイガーマスク、獣神サンダー・ライガー、○AKIRA
(3分48秒 横入り式エビ固め)
ブラック・タイガー、●邪道、YAMATO

<第4試合 BEST OF THE SUPER Jr. 準決勝戦 時間無制限1本勝負>
○プリンス・デヴィット
(8分14秒 新型プリンスズスロウン→エビ固め)
●飯伏幸太
※デヴィットが優勝決定戦に進出

<第3試合 BEST OF THE SUPER Jr. 準決勝戦 時間無制限1本勝負>
○金本浩二
(6分27秒 アンクルホールド→レフェリーストップ)
●青木篤志
※金本が優勝決定戦に進出

<第2試合 シングルマッチ 20分1本勝負>
●田口隆祐
(1分28秒 トラースキック→エビ固め)
○タイチ

<第1試合 シングルマッチ 20分1本勝負>
●吉橋伸雄
(5分26秒 火の玉ボム→エビ固め)
○菊地 毅
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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