40歳の「オールド・ルーキー」誕生=高橋建が日本人最年長メジャーデビュー
「何でも必死にやれば、ちょっとでも結果がついてくる」
4回裏、高橋は先頭のラウル・イバネスに技ありの二塁打を許すが、主砲ライアン・ハワードから初めての三振を奪うなど無失点で切り抜けると、続く5回も無失点と好投。例えば、右打者の外角に投じたシュートは、チェンジアップとも取れる軌道で沈み、注文通りの内野ゴロに仕留めるなど、熟年の味を見せつけた。また、打者のインコースを巧みに攻める制球力と、度胸の良さも光った。
結局、メッツは延長10回の末、ショーン・グリーンの押し出し四球でサヨナラ負けを喫するという結果に終わったが、試合後のマニエル監督は「追いついて、逆転できたし、いい試合だった。特にタカヒシ? ……いや、タカハシは素晴らしい内容だった。ストライク先行で、左打者に対する投球もよかったし、チームのために、(ロングリリーフとは)別の起用法も可能だということが分かった」と、早速、メッツ投手陣の、特にブルペン陣の起用法について、何かしらの変革プランが浮かんだような口ぶりだった。
2回2/3を投げ1安打無失点、1四球、1奪三振。ストレートの最速は89マイル(約143キロ)。高橋は「日本人でも、(投げ合ったモイヤーのように)遅い球で抑えられる、コントロールで頑張っている投手がいるということを知ってもらえたらうれしい。ちょっとずつですけど、自信がついてきました。何でも必死にやれば、ちょっとでも結果がついてくると思いました」と、手応えをつかんだ表情を浮かべた。
ティンカーベルのリュックサック
ティンカーベルのリュックサックを背負い“新人”の仕事をこなす高橋 【カルロス山崎】
そんな高橋にとって、楽しみにしている試合が3週間もすれば訪れることになる。米国時間の5月22日(金)〜24日(日)、ボストンで行われるレッドソックスとの交流戦。レッドソックスには横浜高校の後輩、松坂大輔がいる。
「久しぶりに会いたいですね。最後に会ったのは、3、4年前のオープン戦(広島対西武)。そのときは、松坂と涌井(秀章)があいさつに来てくれたんです。こっちでは(リーグも違うし)無理だろうなと思っていたんですけど、それは楽しみですね。それには1試合1試合、しっかりこなしていかないと」
ところで今、高橋のロッカーには、ティンカーベル(ディズニーキャラクター)のピンクのリュックサックが「私物」のように置かれている。中身は、ブルペン投手陣が試合中に食べるスナック菓子、ヒマワリの種などで、試合開始直前には“新人”の仕事としてそれを担ぎ、ダグアウトからフィールドを横切ってブルペン入りしなければならないのだが、果たして、フェンウェイ・パークでも、しかも後輩の前で、この儀式を披露することはできるだろうか。