中村、タイトルに一歩届かず=ジャパンオープン
ジャパンOPテニス最終日 女子シングルス決勝で逆転負けした中村藍子=有明テニスの森公園 【共同】
狂いが生じた自然体
そして迎えた第2セットは、バルトリの逆襲を大いに受けることになった。まず、前日同様にファーストサービスの成功率が落ちた。第1セットも51%と低かったが、第2セットには45%まで低迷。そしてラリーの駆け引きでは左右に走らされ、ショットミスを誘発させられた。特に、ウイニングショットを意識し過ぎたのか、ベースライン際に放たれるハイバウンドボールの処理を誤る場面が多かった。また、バルトリが「私はフィジカルのトレーニングを積んでいるし、メンタルには自信がある。第3セットはスタミナの面で私が勝っていたと思う」と話すのに対し、中村はサポーターが巻かれた右足の太ももが悲鳴を上げていた。「ウォーミングアップをしている時に右足に痛みがあって、試合の序盤は大丈夫だったけど、第2セット辺りから走らされて踏ん張れなくなってしまった。影響があったかもしれない。そういう状況でも何とかしなければならないけど、対応ができず経験不足だと思った」――手繰り寄せた勝機の綱は、みるみるうちに相手に引き戻されていった。第3セットの終盤には、再び力強いショットでバルトリに打ち勝つ場面も見られたが「少し調子が戻ってきたけど、ちょっと遅かった」(中村)。最後は、中村の放ったバックハンドショットが「アウト」とコールされて試合は終わりを告げた。
もう一段を上がる確かな足がかり
前日、準決勝後の会見で「明日は中村藍子というプレーヤーを見てほしい」と語った中村。結果としては負けたものの「気持ちよくプレーできた。課題はあるけれど、現時点でのベストは尽くせた。全米オープンの前には精神的に落ち込んだ時もあったけど、ファイナリストになることができて得た自信は大きい。来年にも生きると思う」と、もう一段上へと目を向けた。杉山愛(ワコール)、森上亜希子(ミキハウス)に続く日本女子テニス界の第3勢力は、飛躍の真っただ中にいる。
初優勝の知らせはお預けとなった。しかし、今大会は次なるステップへの足掛かりを確かにつかんだ1日だったと、振り返る日が来るはずだ。
<了>
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