五輪出場権を目指す、男子バスケットの行方=NZ戦の悪夢から約1年、32年ぶりの悲願へ
NBAでのプレー経験を持つ桜木ジェイアールの加入で注目を浴びる日本代表。32年ぶりの五輪出場なるか 【鈴木栄一】
「世界バスケ」からの変化
先日発表されたアジア予選の代表メンバー12人を見ると、9人が昨年の世界選手権に出場している。そして、PG佐古賢一(アイシン)、C青野文彦(パナソニック)、帰化選手のC桜木ジェイアール(アイシン)が、新しく加わった構成だ。昨年と現在の日本代表を比べる時、この3人の存在は大きな違いとなっている。司令塔の佐古と鈴木HCはアイシンでも師弟関係にあり、佐古はHCの目指すバスケットボールを誰よりも理解している選手。37歳という年齢から全盛期のような体力、スピードはないが、安定したゲームメーキングと要所で決めるシュート力はいまだに健在。思い返せば1年前のニュージーランド戦の第4クオーター、日本は一度崩れたリズムを最後まで立て直すことができずに敗れた。試合が悪い流れとなった時、それを断ち切りチームに落ち着きをもたらすことができる選手として、佐古以上にうってつけの司令塔はいないだろう。また、20代前半から中盤という若い選手が大半を占める代表にあって、同い年の折茂武彦とともにチームのまとめ役として欠かせない。
秘密兵器、桜木ジェイアール加入の効果は?
実力発揮の鍵を握るのは佐古、折茂
アジア予選で北京五輪での切符をつかむには、やはり欧州遠征の経験を生かし、リバウンド争いでどれだけ渡り合えるかが鍵となるだろう。リバウンドをしっかり取ることでSG桜井良太(R北海道)やPG五十嵐圭(日立)らを中心とした速攻が出やすくなり、各選手が外角シュートを楽な気持ちで打つことができる。また、インサイドで桜木とコンビを組むことになるPF竹内公輔にも注目だ。「相手がジェイアールにダブルチームに行くと、自分がフリーになると思う」と本人も語っているように、桜木へのマークが集中した時、竹内がミドルシュートをしっかり決めることで相手は的を絞れなくなる。そして何よりも大事なのは、ここ一番の勝負所でいかに平常心を持ち、積極的に攻めることができるかだ。プレッシャーのかかった場面でこそ、これまで数々の修羅場を経験してきた37歳の佐古、折茂の2人の底力に期待したい。
<了>
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ