「歴史的惨敗」は、なぜ起きたのか=北京五輪の切符を逃し、過去最低の8位に
運命の分岐点だったカザフ戦の第1Q
大会の初黒星を喫したカザフスタン戦から、風向きは悪化した 【Getty Images/AFLO】
「史上最低の成績」の要因は、守備の崩壊
史上最低の成績に終わった一番の要因は、守備の崩壊に尽きる。ジェリコ・バブリセビッチが率いていた世界選手権時の代表チームには、相手を60点台に抑えてロースコアの展開に持ち込んで勝利する、ディフェンス重視の明確なコンセプトがあった。しかし、今回の代表チームは、二次リーグのカザフスタン、韓国戦でともに93失点を喫するなどディフェンスで踏ん張ることができなかった。今回は相手にイージーシュートの状況を簡単に提供するなど、1年前の代表にあった粘り強さやフットワークの軽さがほとんど見られなかった。日本には個人技で20点、30点をコンスタントに取れるスコアラーはいない。また、コート上の4〜5人がみな精度の高い外角シュートを持ち、ハイスコアリングゲームで相手を圧倒できるほどチーム全体のシュート力は高くない。だとすれば、日本が国際試合で勝つには、相手の得点を出来るだけ抑えるロースコアの展開に持ち込むしかない。しかし、今回の代表にディフェンスへの高い意識があったかと言えば疑問符がつく。日本の生命線はディフェンスであることをもう一度、再徹底させるべきだ。
大ブレークの川村らが育つためには?
折茂の後を継ぐシューターへと成長を見せた川村 【Getty Images/AFLO】
鈴木HCは、今後の課題について以下のように述べている。
「日本の選手たちは、海外の選手たちに比べて試合経験が少ない。今大会は6日連続での試合と過密日程でコンディションの調整が難しかった。普段から試合を多くこなしている選手は、調整の仕方のコツを自分でつかんでいるもの。練習でいくら鍛えても、試合をこなさないと身につかないものがある」
「ルーズボールやリバウンドを何としてももぎ取るといったハングリーさに欠けている。また、選手は一次リーグの格下相手の試合でも全力でプレーしてしまった。二次リーグに備え、力を抜くべきところでは抜くようなしたたかさも必要」
この分析は的確であり、協会には課題を改善できるような強化プランの作成を一刻も早く行ってもらいたい。
たとえば、試合経験を積むという面では今年NBAのサマーリーグに中国代表チームが参加したように、日本代表も積極的に海外の試合に参加すべきだろう。また、クラブレベルでも近年参加をとりやめているアジアクラブ選手権に、JBLの優勝チームを参加させるなど、代表、クラブの両方で国際試合を多く組むことが必要ではないだろうか。今回の大敗は、チームとしての失敗もさることながら、選手の経験不足、精神力の弱さとジェリコの時代から言われ続けてきた欠点を克服するための具体的な手を打てなかった強化プランの失敗でもある。川村卓也、竹内公輔(アイシン)と譲次、五十嵐圭(ともに日立)、桜井良太(レラカムイ北海道)、柏木真介(アイシン)など今の日本バスケットボール界には、将来が楽しみな選手が少なくない。しかし、彼らの才能を開花させるためには、しっかりとした計画が不可欠であることを忘れてはならない。
<了>
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