高橋不在でフレッシュな新王者誕生、中庭は10位に終わる=フィギュア男子

辛仁夏

今後の成長が楽しみな2位カリエール

2位のカリエールには、今後の成長に期待がかかる 【Getty Images】

 2位には昨季シニアデビューしたスティーブン・カリエール(米国)が入り、昨季のNHK杯3位に続き、GP大会の表彰台に上った。「SPよりもパーフェクトだった。結果を残せ、今季はいいスタートが切れて嬉しい」と素直に喜んだ。

 06−07シーズンの世界ジュニア王者のカリエールは19歳。次代を担う若手スケーターの一人で、安定感のあるジャンプが武器だ。FPでは3回転フリップでステップアウトしたものの、6種類のジャンプをすべて決めた。技術点は76.05点と高得点を出したが、演技構成点は69.20点に止まった。

 今後は技術点で4回転を取り入れるなどさらなる上積みをして、表現力に磨きをかければ五輪シーズンには優勝争いができるスケーターになりそうな気がする。同国の先輩で世界選手権で2度銀メダルに輝いたティモシー・ゲーブルにどことなく似ており、独特な雰囲気を醸し出す個性のある選手だけに、今後の成長が楽しみだ。

ベルネルは調子を取り戻せず3位

 高橋が抜けた今大会で優勝候補筆頭と見ていたベルネルが、今季初戦で3位と出遅れた。前哨戦の大会でもジャンプの調子が悪く、織田信成(関西大)に敗れていたので、どこまで調子を取り戻して初戦を迎えているのか注目されたが、悪い予感が当たってしまった。

 SPでは冒頭に予定した4回転トーループ+3回転トーループの連続ジャンプが2回転トーループだけになってしまい、大ブレーキ。基礎点で28.60点しか奪えず、4位発進となった。『タンゴメドレー』のFPでは、武器となる最初の4回転トーループを今季初めて競技会で成功させた。大技を決めて波に乗り、素晴らしいタンゴのステップを披露して観客を魅了する出来栄えで、この日一番の見せ場を作ったと言える。

 だが、最後のジャンプだった3回転フリップが不正エッジの判定の上に回転不足を取られ、転倒するという三重の大失敗を犯してしまった。これで4回転の成功が帳消しになってしまう減点となり、技術点が65.13点に伸びなかったのは惜しかった。それでも、SP4位からFP3位に食い込み、総合でも3位に滑り込んでメダルを手にしたのは、実力者の本領を発揮したからだろう。

 昨季の世界選手権では15位と振るわなかったが、中国杯で4回転が成功したことで、今季はこれから徐々に調子を上げてくるに違いない。日本勢のライバルになるだけに目が離せない選手だ。

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著者プロフィール

 東京生まれの横浜育ち。1991年大学卒業後、東京新聞運動部に所属。スポーツ記者として取材活動を始める。テニス、フィギュアスケート、サッカーなどのオリンピック種目からニュースポーツまで幅広く取材。大学時代は初心者ながら体育会テニス部でプレー。2000年秋から1年間、韓国に語学留学。帰国後、フリーランス記者として活動の場を開拓中も、営業力がいまひとつ? 韓国語を使う仕事も始めようと思案の今日この頃。各競技の世界選手権、アジア大会など海外にも足を運ぶ。

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