上原浩治、無敗のまま代表引退へ=星野ジャパン帰国会見リポート

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寂しげに五輪を振り返る

国際試合25戦無敗と日本代表を引っ張ってきた上原が代表引退の意向を示した 【スポーツナビ】

「手ぶらで帰ってきて本当にすみませんでした。この負けをいいきっかけにして、日本球界が盛り上がればいいと思います」
 投手キャプテンとして帰国記者会見に出席した上原浩治は、どこか寂しげな表情で北京五輪を振り返った。
 昨年12月の北京五輪アジア予選では“日本の守護神”として活躍した上原。星野仙一監督からは「あの緊迫した状況で、何食わぬ顔で初球にストライクを取れる。あれは本当にすごい」と絶賛された。しかし、先発に復帰した今季はこれまでにないほど苦しんだ。開幕から4連敗で、怪我以外では初めての2軍落ち。五輪への参加も不安視されていたが、星野監督の強い意向で日本代表に選出された。

WBC出場「まったく考えてない」

 迎えた北京五輪では1次リーグの台湾戦とカナダ戦に登板し、どちらも3者凡退に抑えた。緊迫した場面においても、テンポ良く、初球からストライクを取っていく。その姿は“上原復活”を感じさせ、決勝トーナメントでの登板が期待された。しかし、準決勝の韓国戦、3位決定戦の米国戦で上原がマウンドに上がることはなかった。
「準備はいつもしてたんですけど、消化不良な感じがありますね」
 抑えとして“試合を締める”役割を求められた以上、上原の登板機会は限られてくる。25戦無敗と国際試合で無類の強さを発揮していた男は、決勝トーナメントで投げることなく、チームの敗戦を見届けた。
「国際大会で勝つ難しさをみんな分かったと思う。韓国はシーズン中から国際球に近いボールを使っている。そういう面で日本は遅れていたと思う」
 星野監督から「将来は指導者になれる」と評される男は、北京五輪で得た日本野球の課題を挙げた。そして、来年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)出場については「まったく考えてない」と話し、無敗のまま代表を退く意向を示した。
 最後の大会で勝負どころに登板できず、メダルなしの4位。大学時代に当時151連勝中だったキューバを破り、国際大会で最高の輝きを放っていた上原にとってあまりに寂しい結末となった。

<了>
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