センバツ上位校敗れ混戦模様-夏の甲子園・見どころ

松倉雄太

センバツ4強・千葉経大付高の大黒柱は斎藤

千葉経大付のエース・斎藤は、投打の柱としてチームを勝利に導く 【写真は共同】

 第90回全国高等学校野球選手権記念大会の出場校が27日に出そろった。今大会は記念大会ということで、例年より6校多い55校が出場する。地方大会では、センバツ優勝の沖縄尚学高が決勝で敗退、さらに準優勝の聖望学園高と4強の東洋大姫路高が初戦で敗れるなど、夏を勝ち抜く難しさをあらためて実感した。そんな中、勝ち抜いてきた55校の中から、注目チームや選手を紹介していきたい。

 センバツ8強以上の中で夏の甲子園出場を決めたのは、千葉経大付高(西千葉)と智弁和歌山高(和歌山)の2校。千葉経大付高は、センバツで快投を見せたエース・斎藤圭祐が、夏は4番打者も務めるなどチームの大黒柱に成長。センバツ上位校がバタバタと消える中、西千葉大会を勝ち抜いた精神力の強さは、甲子園でも期待できる。
 智弁和歌山高は、大会までに4番・坂口真規が右くるぶし下を疲労骨折したが、出場を直訴した初戦から準決勝まで4試合連続本塁打という和歌山大会の新記録を樹立した。決勝では、プロ注目の日高中津高・木本幸広を攻略し4連覇を達成。現在、甲子園通算53勝の高嶋仁監督は、今大会で優勝すれば、PL学園高・中村順司元監督(現・名商大監督)の58勝を抜いて、最多勝監督となる。ナインもそのことは十分に意識しており、「高嶋先生に恩返しを」と意気込む。

浦添商高の150キロ右腕・伊波に注目

 昨夏の上位校で戻ってきたのが準優勝の広陵高(広島)と、4強の常葉菊川高(静岡)。広陵高は、林竜希、上本崇司の二遊間を中心に高い総合力で広島大会を連覇。決勝の総合技術戦では、序盤に7点差をつけられながら、すぐに追いついて逆転するなど驚異的な攻撃力を見せた。昨夏決勝での悪夢を振り払うべく、夏の甲子園に臨む。
 常葉菊川高は、大会前に監督が交代。不安要素が大きかったが、見事に静岡大会を連覇。春から大幅に組み替えた打線も機能し、攻撃力に厚みが出た。エースの戸狩聡希も試合ごとに勝負強さを見せた。
 好投手が多いのが九州勢。浦添商高(沖縄)は、150キロ右腕・伊波翔悟に注目が集まる。沖縄尚学高との決勝では東浜巨に投げ勝ち自信をつけた。宮崎商高(宮崎)の左腕・赤川克紀も、決勝でライバル・日南学園高を破っての甲子園出場。やや猫背気味の投球フォームにも特徴がある。初出場の飯塚高(福岡)の辛島航は、福岡大会での防御率が0.39と抜群の安定感が光る。

 センバツ大会で優勝候補と言われながら、初戦敗退した横浜高(南神奈川)と慶応高(北神奈川)の2校が夏も甲子園出場を決めた。相手校のデータが少ない全国大会でどう勝ち抜くか、真価が問われる。春の近畿大会を制した福知山成美高(京都)も全国制覇を狙える戦力を誇っている。京都大会では全試合で初回に得点。特に大会終盤では、その初回に大量点を奪い、相手校にダメージを与えた。投手も近藤均、植田秀志と2枚看板が安定。田所孝二監督も、密かに頂点を意識しているようだ。
 南北海道大会で、駒大苫小牧高の6連覇を阻んで出場を決めたのが北海高(南北海道)。プロも注目するエースの鍵谷陽平は、7試合を1人で投げきった。三重大会決勝で、宇治山田商高を破った菰野高(三重)。エースの西雄輝は球速が昨年から10キロ以上アップ。甲子園でどんなピッチングを見せるのか楽しみだ。

 今大会では、組み合わせ抽選会を各地方大会の決勝戦終了後に行ったため、すでに対戦カードが確定。浦和学院高(南埼玉)―横浜高、浦添商―飯塚高、智弁学園高(奈良)―近江高(滋賀)など、同一地区同士の対戦カードが目立つ。昨年から東西地区に分けず、フリー抽選となったことでこのような抽選結果となった。手の内を知り尽くしたチーム同士がどんな試合をするのか見ものである。

<了>
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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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