コービーらが選出 米国代表、北京に懸ける思い=バスケ
NBA07−08シーズンMVPのコービー・ブライアント(右)も米国代表に選出された 【Getty Images/AFLO】
そんな想像をめぐらせたことがあるバスケファンは多いのではないだろうか。個々の才能では劣るものの、レギュラーシーズンとプレーオフあわせて年間100試合前後を戦ってチームの成熟度が高いNBAチャンピオンに対して、寄せ集めチームのもろさを個々の選手の能力の高さで補おうとする米国代表。世界各国のレベルが上がり、かつては圧倒的な強さを見せていた米国代表が国際大会で苦戦するようになると、「寄せ集めのオールスター・チームより、NBAのチャンピオンを米国代表として送り込んだほうが勝てるのではないか」という意見が出てくるようになった。当然といえば当然の流れだ。
もちろん、NBAチャンピオンを五輪に派遣するという案は、実際にはまったく現実的ではない。だいたい、この数年で国際化が進んだNBAでは、主力に米国以外の国籍の選手を抱えたチームが大半なのだ。たとえば2007−08シーズンのウェスタン・カンファレンス・チャンピオン、ロサンゼルス・レイカーズは、先発5人のうち2人、チーム登録15人中5人が米国国外出身の選手だった。
もちろん例外もある。今年のNBAファイナルで、そのレイカーズを破ってNBA優勝を果たしたボストン・セルティックスは登録選手全員が米国国籍という、最近では珍しいチームだった。それでもセルティックスが米国代表として北京五輪に出場することにはならない。チームとして出場しないだけでなく、個々の選手としても、優勝チームの一員だから優先して米国代表に選出というわけではない。実際、6月23日に発表になった北京五輪の米国代表最終ロスターの中に、セルティックスの選手は一人も含まれていなかったし、選考の際の候補にも入っていなかった。実は、そのことこそ、米国代表が本気で国際大会に取り組んでいることの表れでもあった。
国際大会への本気の取り組み
セルティックスを支えたビッグスリーこと、3人のスター選手のうち、ケビン・ガーネットとレイ・アレンは3年前に打診されたときに断っている。また、NBAファイナルのMVPを受賞したポール・ピアスは、3年間の活動を約束し、いったん代表入りしたのだが、二年前、一年前のどちらも故障などのために活動に参加できず、その時点で、今回の北京代表の候補からは外れてしまったのだ。
「残念なことだけれど、この2年、故障で活動に参加できなかった彼(ピアス)を、今の時点で候補として考えることはできない」と、USAバスケットボールの最高責任者、ジェリー・コランジェロは言う。いくらNBAファイナルで活躍した選手でも過去2年まったく活動していなければ、同じポジションに過去2年活動している選手がいる以上、選ばないというわけだ。実際、選ばれた12人はカルロス・ブーザーを除いて全選手が日本で行われた世界選手権か、1年前にラスベガスで行われた米国大陸予選に出場している。ブーザーも4年前のアテネ五輪に出場しており、国際大会未経験選手は一人もいない。
シドニー五輪で優勝して以来、世界大会の金メダルから遠ざかっている米国。北京五輪は米国代表にとって、この3年間の集大成であり、新体制の真価を問われる大会だ。しかも、銀メダルや銅メダルでは成功とはいえず、金メダルを取って初めて成功と言える厳しい基準で北京に挑む。
コービー、ガソルに宣戦布告
ファイナルで敗れた後に、コービーはレイカーズのチームメートでスペイン代表のエースでもあるパウ・ガソルにこんな宣戦布告をした。
「僕ら、米国代表が北京で負けることはありえない。僕がそうさせない。(NBAファイナルとオリンピックで)2連敗だなんて、僕には我慢できないからね」
この宣戦布告にガソルとスペインはどう応えるだろうか。両チームは予選ラウンドでは同じグループBに属しており、8月16日に対戦することが決まっている。
<了>
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