宣教師ヒディンクの“教え”
再びクラブ監督に戻るが、レアル・マドリーでもベティスでもタイトルを獲れず。02年W杯のために強化を続けていた韓国代表の監督になる。18カ月で100万ドル(約1億円)という契約だった。韓国では未知の文化に適応しなければならなかったが、いつも通り彼流のやり方で立ち向かった。メディアやサッカー協会会長と衝突し、トレーニングをオフにするなど対抗手段もとりながら、最後は4位を勝ち取って韓国では永遠のヒーローになっている。
その後、PSVに戻ったヒディンクは良いシーズンを送った。だが、毎回主力選手を引き抜かれ、毎年チームを作り替えなければならなかった。06年W杯が近づくと、オーストラリア代表監督に就任し、PSVとの兼任となる。オーストラリアはベスト16に進出、イタリアには負けたが、わずかに0−1という十二分な成果を残した。大会後、彼をチェルシーの監督に推す声が多かったが、ロマン・アブラモビッチは同じ給料(年俸200万ドル/約2億円)を払ってチェルシーではなくロシア代表監督に就任させる。
期待に違わず、ロシアはイングランドを蹴落として予選を突破した。だが、ユーロ本大会の緒戦ではスペインに1−4と完敗。ロシアは若く、経験不足な面があり、こうした大会で戦うにはナイーブだったようだ。試合後、ヒディンク監督は、「2点目と4点目に関しては、学生のチームだってあんなミスはしない」とコメント。
残るはギリシャ戦、スウェーデン戦。果たして、ヒディンクの魔法は今回も発揮されるのか。
<了>