関西からやって来る注目投手たち=全日本大学野球選手権直前リポート
メジャーもうなる台湾人右腕に注目
近畿学生リーグ・奈良産大の目玉は高校時代に甲子園のマウンドも経験した蕭一傑(しょう・いっけつ/4年=日南学園高)だ。昨年までは桑原謙太郎(現・横浜)ら先輩投手が在籍していたこともあり、チーム事情でリリーフとして起用されるケースが多かったが、ことしは藤原忠理監督から「エースとして頑張るように」と背番号3から18への変更を勧められた。
右上手から常時140キロ台を計時するストレートはシュート回転する欠点がなくなったことで力強さが増し、タテに鋭く落ちるスライダーの制球も良くなりうまさも加わった。尻上がりに調子を上げていくタイプで先発投手としてのスタミナにも不安はなし。リーグ戦中は右手人さし指のマメをつぶすアクシデントなどもあったが、タフなハートでそれを言い訳にすることもなく、6勝無敗とシッカリと結果を残した。米大リーグのスカウトもうならせる台湾からやって来た右腕に要注目である。
佛教大は右腕2枚、龍谷大は小さなエースが君臨
京滋大学リーグ勢は2000年の第49回大会以来、勝利(佛教大が札幌大に勝利)から遠ざかっているだけに、意地も見せたいところだ。また、谷掛も古田も全国の舞台で力量をアピールする絶好の機会。特に谷掛は投球が一本調子になり崩れてしまう悪癖を克服したことをアピールしたい。
毎シーズン、混戦ゆえに“戦国関六”と呼ばれる関西六大学リーグ代表は大経大の3連覇を阻止した龍谷大。開幕から6連勝(最終成績は8勝3敗、勝ち点4)というスタートダッシュを支えたのは、小柄(173センチ)な右横手の松岡裕也(2年=広島商高出身)。躍動感のあるフォームとテンポのいい投球を持ち味に、シーズン4勝のすべてを完封勝利(3試合連続)で挙げ、文句なしでMVPを獲得した。
また、ヤクルト(現・東京ヤクルト)でセットアッパーとして活躍したOBの山本樹氏が今春から投手コーチに就任。“1球の持つ意味”を常に強く意識できる野球観が浸透し、これまでリーグ戦未勝利だった古野正人(報徳学園高出身・4年)も4勝を挙げるなど、投手陣全体がレベルアップしている。